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今日は待ちに待ったハロウィンパーティーだ。
アレンはこの日の為にクロウリーから借り受けた黒のマントを勢いよく肩にかけると、仕上げとばかりに長い襟をピシッと整えた。
光沢素材のマントと、首に巻いた深緑のタイが中々良くマッチングしている。
「よし、完璧」
鏡に映った自らの姿を確認すると、アレンは満足そうに頷く。
少々ハロウィンには似つかわしくない大人びた装いのような気もするが、最近忙しくて衣装を用意する暇がなかったのだから仕方が無い。
急きょこしらえたカボチャの冠で勘弁してもらうしかないだろう。
「さて、それじゃ用意も出来たことだし、行って来るとしますか」
衣装棚の上に乗せてあったカボチャの冠をちょこんと頭に載せると、そのままアレンは扉に向って歩き出しかけた。
と、その時――――。
「あれ? アレン、こんな早い時間からどこいくんさ?
パーティーまではまだ随分と時間があるさー?」
背後から怪訝そうに声を掛けてきたのは赤毛の青年だった。
「あっ、ラビ」
アレンは肩越しに後ろを振り向くと、近付いてきたラビに向って笑顔で手をあげる。
「僕、今から食堂へ行くんです」
「食堂?」
「はい。食堂といっても、ジェリーさんのところですけど」
「その格好で行くんさ?」
「当たり前じゃないですか。この格好じゃないとお菓子がもらえないでしょう?」
「お菓子?」
頭を捻るラビにアレンは不敵に笑うと、彼の眼前で人差し指を左右にふって言った。
「Trick or Treat!
です」
「なるほどさ!」
ようやく納得がいったというようにラビは顔を輝かせ、それから「あれ?」という風に再び首を傾げる。
「なあ、アレン・・・・・・。こんな事言いたく無いんだけどさ、それ、子供がする事なんじゃ・・・・・・・・・・・・」
「何言ってるんですかラビ!!」
半分呆れ顔のラビに、アレンは心外だといわんばかりに目を見開くと、
「ラビは子供と呼べる年齢じゃないかもしれませんが、僕はまだ15歳ですよ!
立派な少年じゃないですかっ!!」
「えぇ――――」
「えぇ――――じゃないですよ。例え誰が何と言おうとも、僕は少年。だからお菓子を貰う権利は十分にあるはずですっ!!」
そう、15歳といえばまだ大人とは呼べない微妙なお年頃。だからまだ『子供』と主張してもおかしくないはずだ。
並々ならぬ気迫で力説するアレンに、ラビは何とも言いがたい顔で
「アレンがそう主張するならそうなんさ……?いや、でもそれはおかしいさー」
などと一人ぶつぶつ呟いている。
そんなラビを横目で見ながら、アレンはジェリー料理長がこの行事の為に作っているであろう様々なお菓子や料理を脳裏に思い浮かべてみた。
カボチャのプリンにケーキにタルト。クッキーやらチョコやらカラフルなお菓子が籠一杯に詰められているのを想像するだけで生唾ものである。
只でさえ競争率の高いジェリーさんの料理やお菓子。何としてでもこの手にゲットしなければ!!
邪魔する者は、この新たなイノセンスの能力『道化ノ帯』で撃退あるのみ!
「ふふふ……」
メラメラと燃え上がる闘志と断固たる決意のもと、アレンは黒い笑みを浮かべながら心の中で厳かに宣言した。
「いざ突撃」
Fin.
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