† ヤマトナデシコ †
それは、アレンが黒の教団に受け容れられて、翌朝のことだった。 初手から闘った相手と、朝っぱらから喧嘩し、険悪なまま共に任務に赴くことになった時の気分と言うものを、ちょっと想像してほしい。 少なくとも、晴れやかな気持ちではあり得ない。 共に任務に赴く相手のことで頭がいっぱいの時に、何の悪気もなさそうな青年から『ほい』と、手渡された団服を、アレンが無意識に着てしまったとしても責めないで欲しい。 だって、団服を渡した青年は、本当に悪気はなかったわけだし、アレンだって、そのデザインを確認する心の余裕に欠けていたのだから。 「・・・・・・あのっ!」 服に袖を通し、襟元からボタンを二つ三つ留めた辺りで、ようやく、アレンはそのデザインに気づいた。 黒地に白の縁取り、ゴシック調の銀のボタン。 そこまでは、昨夜、問答無用で斬りかかって来た相手が着ていたものと同じだ。 しかし、丈の短い服を改めて見れば、それは、室長の妹が着ていたのと同じ、女性用の団服だった。 「あの!!ちょっとこれ、僕には合わないんじゃないかと思うんですけど!!」 アレンが着替えを始める前に、そそくさと部屋を出て行った青年を、廊下で慌てて呼び止めると、彼は濃い隈に縁取られた、充血した目を向けた。 「サイズが合わないんだったら、クローゼットの中に色々あるはずだから、合うのを探してくれ。 短いデザインがイヤなら、どっかにロングサイズもあるはずだから」 後は自分で探してくれ、と言い置いて、彼は忙しそうに去って行った。 「自分でって・・・・・・」 いくつものクローゼットが壁面を埋めた部屋の中心に、アレンは呆然と立ちすくんだ。 「・・・どう見てもここ、女子更衣室なんですけど・・・・・・!」 早速新人いびりか、と、アレンはとてつもなく暗い気分に陥った。 「え?!キミ、男の子だったの?!」 未だ半分夢の中にいたらしい科学班室長は、外したメガネを念入りに拭いて掛け直した。 「ゴメンゴメン、クロスの弟子だって言うから、てっきり・・・・・・」 「・・・僕、師匠の愛人じゃないですから・・・!」 言葉を濁し、曖昧に笑うコムイに、アレンは冷たく断言する。 「だぁってぇー。あの破戒坊主のことだから、弟子もやっぱり女の子かなぁって、思ってたんだもんー」 「それには反論しません。僕は頭蓋骨を破壊されそうになりましたから」 さり気に問題な会話を交わして、アレンは今度こそ、男性用の団服を受け取った。 「うーん・・・ちょっと大きいね」 苦笑交じりの評価に、『どうせ、貧弱ですよ』と、暗く呟く。 「大丈夫大丈夫、男の子はすぐ大きくなるからー」 自分で振ったネタのクセに、殊更慰め口調なのが妙に癇に障るのは、自分の心が狭いせいだろうか、と、アレンは自問した。 「けど・・・! 僕が女の子だと思っていたのに、あんな凶暴なのをけしかけたりしたんですか?」 アレンの言う、『凶暴なの』は、彼からやや離れた所から、殺意のこもった視線を送ってくる。 「それに、腕の修理とかヘブラスカのこととか・・・。 僕が男だったからよかったものの、レディに対しても同じ事をやっているとしたら問題ですよ!」 「さすがクロスの弟子・・・!フェミニストは師匠の教えかい?」 「なに言ってるんですか、常識でしょう!!」 「テメェの常識はどうでもいいから、早く乗れ!」 ごぅんっ!と、『凶暴なの』に、容赦なく刀の柄で後頭部を殴られて、目の前に星が散る。 「・・・っ何するんですか・・・!また頭が割れたらどうするんですかっ・・・!!」 「そんときゃ別のヤツを連れて行く。来るか来ないか、今決めろ」 「行きますよっ・・・!」 なんて先輩だろう、と、目に涙を浮かべながら、アレンは心中に毒づいた。 と、コムイが、舟のへりに足をかけようとしたアレンの二の腕を掴んで、くい、と引き寄せる。 「なんですか?」 目を丸くして問うアレンの耳元に、コムイが口を寄せた。 「ゴメン、君が男の子なんだったら、先に言っておかなきゃ。 神田君、ああ見えて傷つきやすい女の子だから、あんまり、胸がないこととか言わないでやってね」 早口で囁かれた言葉に、アレンは眼球が飛び出さんばかりに目を見開く。 「ええっ?!嘘でしょう?!」 「ホントだよ。 彼女は日本の、ヤマトナデシコって種族の出でね、美貌だけど気性が激しくて胸がないのが特徴なんだ。 君も、アマゾネスの伝説は知っているだろう?」 アマゾネスは、ギリシャ神話にも登場する女だけの部族で、気性が激しく、男以上に戦うために、自ら乳房を切り落とすと言う。 「そ・・・そんなっ・・・・・・!!」 「あの子もかわいそうな子だから、優しくしてやって」 「お前ら!!いい加減にしろ!!汽車に遅れるだろうが!!」 男顔負けの怒声に身を竦ませ、アレンはまじまじと神田を見つめた。 「てめェ!!なにガンつけてやがんだ!!来るのか来ねェのか、はっきりしやがれ!!」 ―――― っこ・・・怖っ・・・!!! 初めて見たアマゾネスに、心底怯える少年の背を押して、コムイはにこにこと手を振る。 「行ってらっしゃい」 するすると水路へと滑り出した舟上の少年の、引きつった顔を見送ったコムイの笑みが、邪悪に歪んだ。 「あー!ティムの報告が楽しみ――――!!!」 「・・・・・・いい趣味っすね、室長。また、神田に半殺しにされますよ」 新人が入る度、同じ手で楽しみを得る上司に、リーバーはしくしくと痛む胃を撫でた。 ―――― じょ・・・女性なんだ・・・・・・。 コムイからもらった調査書越しに、アレンは、コンパートメントの正面に座った神田をまじまじと見つめた。 『今回の任務について質問する』という口実を設けたため、アレンがその、険悪な顔を見つめていても、先程のように怒鳴られることはない。 しかし。 ―――― 日本のヤマトナデシコ族って、こんなに怖いんだ? いきなり舌打ちされるわ、『めんどくせ』と呟かれるわ、感じ悪いこと甚だしい。 それでも、 ―――― 美人・・・ではあるな。 艶やかな黒髪、切れ長の目元、整った顔立ちに、アレンは素直にそう思った。 リナリーもかわいいとは思ったが、彼女も彼女で美しい。 「だぁら!なに見てやがんだ、てめェは!!」 ―――― ただし、この言葉遣いさえなければ・・・! 口元に刻まれた、引きつった笑みを、資料の陰に隠して、アレンは次の話題を探した。 「・・・そう言えば、今向かっているのって、イタリアですよね? 神田、イタリア語得意ですか?僕、日常会話くらいなら何とかなると思うんですけど・・・」 欧州に拠点を置くエクソシストである以上、欧州の言語は一通りマスターしておけ、と、修行の合間に詰め込まれた言語は3つや4つではない。 「幸い・・・というか、僕には言葉遣いには厳しいガヴァネス(女家庭教師)がいましたから、変な発音をしたら容赦なく噛み付か・・・いえ、怒られていたんで、通じるとは思うんですけど、まだ実践したことがなくて・・・」 不安げに窓の外を見遣ると、頬に、強い視線を感じた。 「なに?」 見れば、神田が剣呑な表情で、じっとアレンを見つめている。 「・・・欧州の言語は多様で煩雑だ。めんどくせぇから、俺はどこでも英語で通している」 「えぇ?!英領の国以外でもですか?!」 「俺がなんとか話せるのは、英語だけだからな」 更に剣呑になった顔を、アレンは、呆気にとられたまま見つめた。 「あれ・・・?もしかして日本って、英語を話さないんですか?」 「日本は日本語だ!!勝手にてめェらの属国にすんじゃねぇ!!」 「だって!!あなたがあんまり(悪口雑言を)流暢に話すから、ネイティブじゃないなんて思わなかったんです!!」 腰を浮かし、抜刀しそうな勢いの神田に、アレンが必死に言い募ると、『流暢』といわれたことに気を良くしたのか、神田は座席に座りなおした。 「・・・日本語は、欧州の言語と全く違うんだよ」 任務のため、英語だけはなんとか覚えた、という神田に、アレンは手にした資料を握り締めた。 ―――― そうか・・・それで、言葉遣いが妙だったんだ・・・・・・。 黒の教団に受け容れられて、ごく日の浅いアレンでも、食堂などで飛び交う言葉が、柄のいいものだとは言えないと感じていた。 その上、極端に女性の少ない場所だ。 聞き覚えた言葉が、男性的な、粗雑なものになるのも仕方がない。 「・・・ごめんなさい、神田。僕、君の事を誤解していました・・・・・・」 きっと、国では少々気が強いだけの、普通の女性であるに違いない、と、大勘違いをしたアレンは、深々とこうべを垂れた。 一方、いきなり謝られた神田は、眉間に深く皺を寄せ、訝しげにアレンの後頭部を見下ろす。 「あ?ナニ言ってんだ、てめぇは?」 「だって僕、君がネイティブだと思っていたから、言葉に不自由しているなんて気づかなくて・・・」 ごめんなさい、と、再び言うアレンに、神田は鼻を鳴らして窓の外に目をやった。 ――――・・・怒ってないかな?もう、怒ってないみたいだな・・・・・・。 そっと、上目遣いに見上げると、秀麗な横顔がアレンの正面にあった。 ―――― いくら怖くても、気が強くても、ロザンヌ様に比べたらいい方だよね。 神田と同じく、窓の外を見遣りながら、アレンは思った。 ―――― 同じ人間だし、言葉は通じるし・・・噛み付かれはしないだろうし。 もう一度、神田の横顔に目をやって、アレンは微かに微笑む。 ―――― 仲良くなれるよね、きっと。 が。 現地に到着した二人は、仲良くなるどころではなかった。 ―――― ごめんなさい、神様・・・!僕は、博愛の教えを守れそうにありません・・・・・・!! アレンは、小さく十字を切ると、心中に懺悔した。 ―――― そして、ロザンヌ様・・・。僕、初めて貴女以上に凶暴な女性に遭いました・・・・・・。 マテールに着いた途端、レベル2のアクマに突っ込んでいってしまったのは、確かに早計だったと思う。 そして、そんな自分が、任務優先の神田に見捨てられたのも仕方ないと思う。 しかし、 「・・・いくらアクマだと思ったからって、僕の姿をしているのを、何のためらいもなくバッサリって、ひどいじゃありませんか・・・」 自身の負った傷の痛みを紛らわすため、小声でブツブツと呟きながら、アレンはアクマに重傷を負わされ、意識のない神田と、負傷したトマを担いで、迷宮内を闇雲に逃げていた。 「大体、なにが痛いって、神田にやられた傷だし・・・!」 アレンの皮を被せられたトマを庇うため、神田の攻撃を受け止めた左手が、とてつもなくしびれて、涙まで出そうだ。 しかし、ここでへばっては英国紳士の名が廃る。 ほとんど意地で、迷路をさまよっていると、どこからか、美しい歌が聞こえた。 高く、細く、儚く響く声に導かれ、辿り着いた場所には、イノセンスを宿した人形がいた。 「―――― 可愛いコ相手に戦えませんよ」 問答無用で攻撃を仕掛けてきたララへのその一言は、彼女の動きを止めるのに十分な効果があったようだ.。 彼女の心臓に宿るイノセンスを奪おうという、エクソシストにあるまじき、必殺の台詞に、さしもの彼女も、胸をつかれたようだった。 抵抗をやめた彼女に、魅惑の笑みを振りまき、アレンはなんとかここまで運んできた、二人の怪我人を示す。 「すみません、ここで、あの人達の傷の手当てをさせてもらっていいですか?お二人の邪魔はしませんから」 そう言うと、人形は微かに口元をほころばせる。 ――――・・・ロザンヌ様の教育は、人形にまで通用するのに、なんで神田嬢には通用しないんだろう。 笑みを浮かべたまま、アレンはコートを脱ぎ、神田の頭の下に敷く。 「止血止血・・・っと。 トマ、救急キットってありますか?」 「はい、ウォーカー殿。ただいま・・・」 「あぁ、動かなくていいですから。どこにあるか、言ってくれれば僕が・・・」 手当てする、と、言いかけて、アレンは硬直した。 アクマによって、神田が深い傷を負わされたのは胸元。 大出血しているのも胸元。 そこを止血するには、当然、服を脱いでいただかなければならない。 ―――― 年若い未婚女性の服を脱がすって・・・それって、絶対やっちゃいけないことですよね、ロザンヌ様?! そんなことをしようものなら、間違いなく食い殺されるだろう行為に、少年らしい羞恥心も相俟って、指一本動かすことができない。 「ウォーカー殿?」 神田の傍らに跪いたまま、凍ってしまったアレンを、トマが訝しげに見遣る。 「トトトトト・・・トマ・・!!わわ・・悪いんですけど!も・・・もし、動けるようなら、かか・・・神田の手当てを・・・・・・っっ!!」 「は・・・はぁ・・・」 薄暗い部屋でもはっきりとわかるほど、顔を真っ赤にしたアレンに、トマが首を傾げる。 「では・・・」 と、歩み寄り、手早く救急キットを取り出して、手当てをしようとした彼の傍らで、甲高い悲鳴が上がった。 「なっ・・・なんでございますか?!」 驚いて、悲鳴の発生源であるアレンを振り返ると、彼はトマと神田に背を向けて、顔を覆っている。 「ダメです!!トマだって男の人じゃないですか!!触っちゃダメです!!」 「はぁ?!」 「そうだ!ララ!!君、女の子ですよね?!」 「え・・・?えぇ・・・」 突然、錯乱状態に陥ったエクソシストに戸惑うララへ更に詰め寄り、アレンは真剣な顔で頼み込んだ。 「お願いです!神田の手当てをしてあげてください!!僕達には無理なんで!!」 「え?!ウォーカー殿、手当てなら・・・」 「ダメです!!いくら緊急事態とはいえ、万死に値する行為です!!」 「ば・・・万死・・・?!」 ものすごい剣幕で怒鳴られ、トマが言葉を失う。 一方、 「ララ・・・!!」 と、縋るような目で見られた人形は、アレンの勢いに呑まれたように、彼女を抱き上げていたグゾルの膝から降り、神田へと歩み寄った。 「止血すればいいのね?」 「はい!お願いします!!」 「でも・・・やり方がわからないわ」 「では、やり方はトマがお教えしますので、その通りに・・・」 アレンが錯乱している理由がわからないまでも、ララ同様、逆らってはいけない雰囲気に呑まれたトマが、神田に背を向けたまま、ララに止血法を指導する。 その傍らで、未だ顔を紅くしたまま俯くアレンを、グゾルは不思議そうに眺めていた。 「これでいいの?」 ララの声に、そっと背後をうかがうと、包帯を厚く巻かれて、ぐったりと横たわった神田がいた。 「はい、ありがとうございます・・・!!」 助かった、と、深く吐息するアレンに、状況を見守っていたトマが、はた、と、手を叩く。 「ウォーカー殿、もしかしてコムイ室長に何か言われませんでしたか?」 「え・・・?」 何かって、と、引きつった顔で問い返すアレンに、トマは深く吐息して首を振った。 「コムイ室長の、悪い癖でございます。 以前も、新人のファインダーが、神田殿は女性だと吹き込まれて、半殺しの目に・・・・・・」 「え・・・嘘だったんですか――――?!」 アレンの甲高い絶叫が、地下迷宮に響き渡る。 「・・・いくらなんでも、こんなに体格のいい女性はおりませんでしょう?」 トマの呆れ声に、アレンは更に錯乱した。 「だってっ!!コムイさんが、神田はヤマトナデシコ族のアマゾネスで、気性の荒いフジヤマだってー!!!!」 その甲高い声に、最悪の人物が目を覚ました。 「誰が女だ、このヴォケッ!!」 絶叫と共に、枕代わりにしていたアレンの団服が叩きつけられる。 「てめぇの目は節穴か!!抉っぞ、ゴラ!!」 凄まじい怒声に、アレンだけでなく、その場にいた全員が身を竦ませた。 「ごごご・・・ごめんなさい!!麗しくあでやかでいらっしゃいます、ミス・・・じゃない!!ごめんなさいー!!!」 ロザンヌの世話をしていた時の癖で、つい、美辞麗句を吐いてしまったアレンに、六幻の刃が迫る。 「まだ言うか、ゴラ!! 女顔はテメェの方だろうが、このモヤシっ!!」 「いや、神田だって十分美人・・・って、きゃ――――!!!!!」 大上段に構えられた剣に、怯えたアレンが悲鳴を上げる・・・と、それに呼応するように、地下迷宮に破壊音が響いた。 「イノセンスもーらいっ!!」 甲高い笑い声と共に、アクマが現れる。 その爪の先には、ララの心臓に埋め込まれた、イノセンスが掛かっていた。 「あ・・・ララ!!グゾルさん!!」 「てめぇ!!話を逸らすんじゃねぇ!!」 アクマへと気を逸らしたアレンへ、更なる怒声が降り注ぐ。 「そ・・・そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!ララが・・・!」 「あ゛ぁっ?!」 視線で人が殺せるのなら、間違いなく即死だろう、凶悪な眼光を受けて、イノセンスを手にしたアクマが怯んだ。 「も・・・もう、もらっちゃったもんねー・・・・・・」 まるで、怒った教師の前で、怯えながらも開き直る、幼児のような言い様が、神田の逆鱗に触れてしまったらしい。 「てめぇ・・・!なに人の話、邪魔してやがる・・・!」 そっちかよ!と、突っ込むアレンの手が虚しい。 「こ・・・こわ・・・壊すんだもん・・・っ!!イノセンス、壊すんだもんっ!!」 それが役目だもん、と、言い募るアクマの声が、神田の、あまりに凄まじい形相に、確実に弱弱しくなっていく。 「ざけんなよ、テメェ・・・そのイノセンス、返しやがれ!!」 「怖・・・っ!!」 「なっ・・・なんと凄まじい殺気でございましょう・・・・・・!」 室温さえも急降下させる神田の怒りに、アレンとトマは、手を取り合って震えた。 が、イノセンスの破壊が使命であるアクマは、ただ怯えているだけではいられない。 「やっ・・・ヤダッ!!」 と、イノセンスを胸元に抱き込んだ途端、 「グダグダ言ってんじゃねぇぞ、ゴラ!!嫌ならテメェが消し飛びやがれっ!!!」 瀕死のはずの神田が放った界蠢に吹き飛ばされ、灰燼と消えた・・・・・・。 代わりに、とす、と、砂の上に落ちたのは、ララの心臓に埋められていたイノセンス。 「あ・・・・・・」 思わず、手を伸ばしたアレンの前に、しかし、神田が仁王立ちに立ちはだかった。 「邪魔は消えたぜ!さぁ!きっちりナシつけっぞ、モヤシ!!」 あまりに恐ろしい形相に、アレンは、手を伸ばした体勢のまま、硬直した。 ・・・それから後。 イノセンスを教団に持ち帰ったアレンは、同時に、神田の伝言をもコムイに渡した。 「次に帰って来る時が、テメェの命日だ・・・・・・だそうです・・・・・・」 「・・・・・・神田君には何年か、任務から任務へと渡ってもらおうっと」 そう言って、力なく笑ったコムイの顔は、心なしか、やや蒼ざめて見えた。 Fin. |
| 実はこれ、最後にはラビに出てもらおうと、4巻発売まで待とうとしたお話です(^^;) しかし、よく読んで見たら、別にこのまま終わっていいじゃん、って内容だったので、ラビはまた次回★(アンタ・・・そんな適当な;;) ところで、私自身は、JC1、2巻を一気読みしたので、『神田=男性』を疑ってもいなかったのですが、WJで読んでいた方々の間には『神田女性説』というものがあったそうで(笑) お気に入りのD.グレサイト様が『神田嬢』で盛り上がってらっしゃるのを見て、書きたくなったお話でした(笑) ちなみに、コムイの言っていることは適当です(笑)>言うまでもないし。 ですが、ギリシャ神話などに出てくる『アマゾネス』が、弓を引きやすくするために片方の乳房を切り落とした、という伝説は本当です。(伝説、ですからね!(笑)) |