† Mirror, Mirror on the Wall †
夜が明けて、ドアを開けるとそこは・・・花畑だった。 「・・・臨死体験かと思ったぜ」 驚いた・・・と、大真面目な顔で吐息した神田の隣で、リナリーが床に転がって笑い出す。 「笑い事かよ!」 「だって!!」 神田が苛立たしげに投げつけたタオルで、リナリーは目尻に浮いた涙を拭った。 「バレンタインにたくさんお花をもらっておいて、臨死体験とか言うのは神田くらいだよ!!」 言うやまた、ケラケラと笑い転げるリナリーに、神田が舌打ちする。 「興味ねぇんだよ、こんな風習!」 毎年、この時期になると教団中で花束がやり取りされることは知っていたが、興味のない神田にとっては、もらっても煩わしいだけだった。 「今年はまた、すごい量だったぞ。 増えるような理由ってあったか?」 ころころと笑い転げるリナリーに蹴りを入れながら聞くと、むくりと起き上がった彼女は、くしゃくしゃになった頭を傾げる。 「んー・・・? 人数の増強で女子団員も増えたけど、みんなが一目惚れでもしない限り、そんなに増えたりしないよねぇ・・・?」 どうしてだろう、と、反対側に首を傾げた目の端を、訓練場所属のナース達が通り過ぎた。 「あ!ねーさーん!!」 大きく声をあげて手を振ると、気づいた二人は早足に寄って来る。 「どこ怪我したの?」 「神田君は?動けないの?」 注意深く身体の状態を見つめながら、彼女達は床に座り込んだままの二人の傍らにしゃがみ込んだ。 と、リナリーは『怪我してない』と首を振る。 「じゃあなんで呼んだのよ」 ムッと眉根を寄せたナースに、神田が先ほどの疑問をぶつけた。 「量が・・・・・・ふふ 「そう言うことかぁ・・・ふふ 意味深な笑みを交わす彼女達に理由を尋ねると、二人は身を乗り出して神田に迫る。 「わかってるくせに、色男 「アンタも罪な男よねェ 「わかんねぇよ!どういうこった!!」 苛立たしげに言えば、一瞬、きょとんとした二人は更に身を乗り出した。 「え?!ホントに知らなかったの?!サイアク!!」 「アンタそれ、男としてどうかと思うわよ!!」 「だからなんでだ!!」 押し倒しそうな勢いで迫ってくるナース達を仰け反って避けると、彼女達は不満げな顔をして身を起こす。 「ホントにわかってないのね! まぁ・・・あんたらしいっちゃあんたらしいけど」 肩をすくめたナースの傍らで、もう一人が声を潜めた。 「エミリアよ、エミリア!」 「・・・あいつがなんだよ」 嫌な予感を覚えつつ神田が問うと、彼女は更に声を潜める。 「だから・・・最近になって突然やって来た彼女がさ、女子団員の憧れの君だったあんたに堂々と迫った上、強引に一緒にいるでしょうが!」 「おかげで今までは、『遠くから見てるだけで幸せ だから増えたんだ、と教えてやると、神田はきつく眉根を寄せた。 「あいつのせいか・・・!」 忌々しげに舌打ちする彼に、ナース達は苦笑する。 「んー・・・でもぉ?」 それまで興味津々と聞き役に回っていたリナリーが、首を傾げた。 「神田陥落の危機だからって、いきなりみんな奮起したの?」 唐突すぎやしないかと、リナリーが呟くと、神田が顔を引き攣らせる。 「誰が陥落の危機だっつーんだよ!」 「陥落しないの? エミリアなら神田にも負けてないし、お似合いだと思うけどなぁ?」 にんまりと笑って、リナリーは神田の髪を引いた。 「気が強くて意地っ張りな所とか、我がままで負けん気が強い所とか 「・・・お前、なんか言いたいことがあんならはっきり言ったらどうだ?」 暗い声音で呟くと、リナリーは笑って舌を出した。 「いちいちみんなから構われるのがめんどくさいんなら、一人に決めればいいじゃない」 エミリアに決めろと笑うリナリーにしかし、ナース達は複雑な表情を浮かべる。 「どうしたの? エミリアじゃダメ?」 また首を傾げると、二人は苦笑した。 「エミリア・・・いい子なんだけどねぇ・・・・・・」 「まぁ・・・美人だし、さっぱりした性格だから、わからなくもないんだけど・・・」 「一人に決めて欲しいのはむしろ、彼女の方なのよ・・・」 「へ? そうなの?!」 「・・・なんで俺に聞くんだよ」 リナリーに腕を掴まれて、神田はうんざりと言う。 「だ・・・だってそれ、浮気なんじゃ・・・」 「そもそもそんな関係じゃねぇだろ!」 きっぱりと言った神田に、ナース達は苦笑を深めた。 「まだ浮気じゃないなら・・・移り気?」 「おかげで彼女、かなり微妙な立場よ」 女の嫉妬は怖いから、と、頷き合ったナース達を、リナリーはきょとんとした顔で見つめる。 「・・・どういうこと?」 エミリアの移り気と、神田が大量の花をもらった件がどうすれば繋がるのか、さっぱりわからずに眉根を寄せたリナリーに、ナース達がクスクスと笑った。 「あんた、まだ女になりきれてないのねェ・・・」 「ふぬっ?!」 「それはそれで可愛いけど 「なんだよ馬鹿にしてっ!!」 悔しげに唸ると、更に笑声が沸く。 「むぅ〜!!」 ぱんぱんに膨らんだリナリーの頬をつついて、ナース達は楽しげに笑った。 「つまりね、女の子達としては、新参者が長年トップアイドルの地位にいる神田に手を出したことも許せないけど、彼だけでなく、他の男達にもちやほやされて、その度にあちこちつまみ食いしてるってのが更に気に入らないのよ」 「他の男でいいんなら、神田は自分が奪ってやろうと思ってもしょうがないわよねぇ。 ここにいる女の子の大部分は、エミリアより先に入団してるんだし」 「・・・・・・俺は女どもの景品か」 ようやく事情を理解した神田に、ナース達が大きく頷く。 「あんな蝶々娘に神田をやるもんか、って、みんな息巻いてるわよ」 パタパタと、手をはためかせた同僚の隣で、もう一人もクスクスと笑い出した。 「よかったわねぇ、選り取り見取りじゃない 「まぁ、選ぶといっても、このままじゃバトルロワイヤルの優勝者があんたを奪う、てことになりそうだけどね 「わぁ・・・!楽しそう・・・!!」 キラキラと目を輝かせたリナリーを、神田がぎくりと見遣る。 「まさか・・・お前も参加するとか言わねぇよな?!」 「どーしよーかなー とは言いつつ、明らかに乗り気なリナリーの両肩に、ナース達の手が乗った。 「あんたは防衛頑張りなよ」 「あたしたちが見ただけでも、ウォーカー君は食堂で、お皿以上に花束を積み上げてたわよ」 「うそっ!!」 ぴょこんっと立ち上がったリナリーに、二人は意地悪く笑う。 「油断大敵よ、リナリー。 敵はいつだって、あんたの隙を窺ってるんだからね」 「う・・・うんっ!!」 慌てて踵を返し、駆け出て行ったリナリーを見送ったナース達は、改めて神田に向き直った。 「ホラ、そろそろ意地はるのやめて」 「リナリーの前では我慢してたみたいだけど、あんたが動けないってことは、相当辛いんでしょ」 そう言って二人は、両脇から神田を支える。 「とりあえず、ここの診療室に運ぶわ。 内臓やられてたら、しばらく入院ね」 「・・・・・・・・・ちっ」 二人に支えられた神田は舌打ちして、苦しげに歩を踏み出した。 「また負けたさ・・・・・・」 そう言ってラビは、ぐったりとテーブルに突っ伏した。 「なんで・・・? ユウに負けんのは・・・まぁ、在籍期間長いし、超絶美人だし、漢前だから理解できっけど、なんでこんな腹黒子豚に花束の数で負けるんさ・・・?」 「・・・誰が腹黒子豚ですか、失礼ですね!」 ラビの言葉にムッとして、アレンは自分の顔よりも大きな巨大肉まんに噛み付く。 「在籍期間短くっても、ヘタレウサギなんかよりも断然強いし漢前だし、可愛いからじゃないですか?」 もごもごと言ったアレンが、また大きく口を開けた瞬間、起き上がったラビが巨大肉まんをアレンの口に詰め込んだ。 「むーっ!むぅぅー!!」 「ホンット、生意気な子豚さ!! ちったぁ年長者を敬えええええええええ!!!!」 弾力性のある生地に鼻まで塞がれ、悶え苦しむアレンの様子をリンクは、興味深げに見つめる。 しばらくして、 「そろそろ放してはどうですか、Jr. チアノーゼが出始めています」 ようやく言った彼の勧めで、ラビは不承不承手を放した。 「かはっ!!!!」 窒息状態から解放されたアレンは、肩で息をしながら二人を涙目で睨む。 「酷い!! 本当のこと言っただけなのに!!」 「もっかい逝けー!!!!」 「ぶみゃああああああああああああああ!!!!」 肉まんよりも更に密閉性に富んだパンを押し付けられて、アレンがくぐもった悲鳴をあげた。 と、その声を聞きつけて、トレイを持ったミランダが慌てて駆け寄る。 「ラ・・・ラビ君、ダメよ! アレン君が苦し・・・そうっ?!」 「マンマッ!!!!」 どうすればそうなるのか、自分の足に躓き、ダイブしたミランダへリンクが手を伸ばした。 が、手が届く寸前、彼女の身体は横合いから伸ばされた手に奪われ、抱き寄せられる。 「危なそうだな、って見てたら、案の定だったな」 左手に自分のトレイを掲げたまま、右手でミランダを抱えたリーバーへ、周りから熱い拍手が送られた。 だがその中で、 「こっ・・・こっ・・・公衆の面前でレディを小脇に抱えるとは何事ですか、この略奪者が!! 今すぐ!! マンマをお放しなさいっ!!!!」 熊を前にした猟犬のように吠え立てるリンクに、リーバーは眉根を寄せる。 「しかたねぇだろ、片手が塞がってたんだからさ。 おい、立てるか?」 「は・・・はい・・・・・・」 恐る恐る足元を探ったミランダは、ゆっくりと立ち上がった。 「あ・・・ありがとうございます・・・!」 「なんの。 しかしお前、せっかくの朝食が・・・」 「あ?!」 トレイを持っていたはずの手が空になっていることにようやく気づいたミランダは、スープとお茶の熱さに悶えるアレンとラビの姿に悲鳴をあげる。 「すすすすすっ!!!! すぐに病棟に!!!!」 「こんなのはレタスでも当てておけばよろしいのですよ、マンマ! それより、お怪我はありませんでしたか?!」 明らかにアレン達の方が重傷だろうに、リンクはむしろ、かすり傷ひとつないミランダを気遣った。 「差別だ・・・!」 「無情さ・・・!」 リンクとは逆に、慌ててタオルと氷を持って来てくれたジェリーに縋って二人が泣く。 「ホラ! アンタ達泣いてないで、痛いとこあるならちゃんとおっしゃいな!」 料理長だけに、火傷の応急処置には慣れた彼女の手際は素晴らしく、痛みは既に引いていた。 それでも念のためと、二人は互いの身体を見回したが、大きな怪我を負った様子はない。 「大丈夫みたいさ。 アレンがコンソメくさいけど」 くんくん、と、アレンの髪を嗅ぐラビにムッとして、未だ滴を滴らせる髪を引いた。 「ラビは、紅茶を浴びても元々赤毛だからわかんないね!」 言うや、ほとんど同時に舌を出した二人に苦笑し、ジェリーは背中を押してやる。 「大丈夫ならお風呂に入ってらっしゃいよ、あんたたち」 「あーい!」 素直に挙手した二人を、ミランダが申し訳なさげな上目遣いで見つめた。 「ご・・・ごめんなさい、二人とも・・・! 私、危うく大怪我させるところだったわ・・・・・・」 しょんぼりと肩を落としてしまったミランダへ、首を振った二人が何か言う前にリンクが進み出る。 「お気になさることなどありませんよ。 この子供達はまったく、丈夫だけが取り柄ですから!」 「お前な・・・!」 「他の人から言われても腹立つけど、リンクに言われると更に腹が立つよ・・・!」 揃って顔を引き攣らせた二人は、わずかに頷きあって、いきなり踵を返した。 「あ!! 待ちなさい、ウォーカー!!」 「やーだね!!」 脱兎の勢いで駆け出したアレンを、リンクが猟犬の素早さで追うが、突然立ち止まったラビに勢いよくぶつかり、無様に転げる。 「なっ・・・! なにをするのですか、Jr.!!」 「足止め 意外と体格のいいラビは、リンクを弾き飛ばしても倒れることなく、また駆け出した。 「風呂くらいゆっくり入らせてさー 「こっ・・・このクソガキども・・・!!!!」 ぶつけて赤くなった鼻をおさえたリンクの暴言に、ミランダが眉根を寄せる。 「ハワードさん・・・。いけませんよ、そんなことを言っては」 「はっ・・・し・・・しかし、マンマ・・・!」 「そういう言葉を使い慣れてしまうと、うっかり出てしまうものです。 ねぇ、リーバーさん?」 同意を求めて見遣ると、彼は思いっきり顔を背けていた。 「・・・・・・・・・あら?」 「暴言王には身につまされるお言葉だったようですよ、マンマ 意地悪く笑ったリンクを、リーバーがムッと睨みつける。 「監視対象、逃げたぞ?」 「あ!!!!」 アレンを追って駆けて行ったリンクの背に、リーバーは意地悪く舌を出した。 と、ミランダが呆れ顔で小首を傾げる。 「本当に・・・駆け引きまでお上手ですね」 「あー・・・いや、その・・・・・・」 気まずげに口を濁すリーバーに苦笑し、ミランダは肩をすくめた。 アレン達がいなくなるまで厨房に隠れていたリナリーは、応急処置を終えて戻って来たジェリーの手を引いた。 「アレン君に花束あげたの、誰?!」 怒りの炎が灯る目に見据えられたジェリーは、ちらりと笑って自分を指す。 「・・・なーんだ、ママからか」 ほっとしたリナリーに、しかし、ジェリーは笑みを深めた。 「アジア支部の子も来てたわよぉん?」 「なにぃっ?!」 蝋花か、と、ライバルに先攻されてしまったリナリーが顔を強張らせる。 「他にはナースの子達や・・・あぁ、ファインダーからももらってたわねぇ」 「なんでそんなにっ?!」 出遅れるにも程がある、と、蒼褪めたリナリーにジェリーは、呆れ顔で肩をすくめた。 「アンタだって、コムたんが握りつぶしてさえいなかったら、たくさん手元に届いたでしょうよ。 なんたって、アンタやアレンちゃんはアタシ達の命の恩人だものん にこりと笑ってリナリーの頭を撫でたジェリーは、彼女の手を取って、厨房のテーブルにまで連れて行く。 「ハイ、アンタにもチョコレートケーキねん テーブルの隅に置いてあった、きれいにラッピングされた箱を渡されて、リナリーは頬を紅潮させた。 「わっ・・・私もっ?!」 「そぉよん にこりと笑って頷いたジェリーから、リナリーは目を輝かせて箱を受け取る。 が、 「・・・なんか、バレンタインの趣旨が変わってるんじゃないかな」 リナリーは、チョコレートケーキの箱を見下ろしてポツリと呟いた。 本来英国のバレンタインとは、恋人たちがお互いに贈り物をしあう日だ。 お礼とか・・・ましてや告白の手段なんかに使っていいものだろうかと、蝋花の顔を思い浮かべながら眉根を寄せたリナリーの手から、箱は無情に取り上げられた。 「じゃあ、あげない」 「やああああああああああああああああん!!!!」 悲鳴をあげてリナリーは、頭上高くに逃げた箱へ手を伸ばす。 「アンタね、嫉妬するのは結構だけど、だからって悪口を言うのは醜いわよん?」 「わっ・・・悪口なんて言ってないよっ!!」 顔を真っ赤にして、ぴょんぴょんと跳ねるリナリーは今、イノセンスを発動していないために、常人より少し高く飛べるに過ぎず、それでは長身のジェリーが伸ばした手には届かなかった。 その上、ジェリーが意地悪く彼女の手を避けるために、箱はゆらゆらと二人の頭上を揺れている。 「ねえぇ!!ジェリー!!!!」 もどかしげな声をあげるリナリーの鼻を、ジェリーが指先で弾いた。 「ぷにゃんっ!!」 「アタシが止めなきゃ言ってたでしょ。 先を越されて悔しいって、素直に言えばいいのに、先に理論武装しようなんてひねくれてるわよん!」 めっ!と、怖い顔で言われて、リナリーが涙ぐむ。 「ごめんなさいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 とうとう言った彼女に笑い出し、ジェリーはリナリーの手にケーキの箱を載せてやった。 「正々堂々戦いなさいよん エクソシストでしょ」 「はい・・・・・・」 しゅん、とうな垂れたリナリーの、俯いた頭を軽く叩いて、ジェリーは顔をあげさせる。 「それにね、アレ、御覧なさいな 食堂を指した彼女に視線を導かれたリナリーは、その先を見つめてむっと眉根を寄せた。 「大忙し同士のクセに隙あらばいちゃいちゃする班長とミランダの破壊工作、了解であります!」 「破防法っ!!」 「ぎゃふんっ!!」 目にも止まらぬ早業で振り下ろされたお玉にしたたか打ち据えられ、リナリーは頭を抱えてうずくまる。 「い・・・痛いであります、隊長〜〜〜〜!!!!」 「誰が隊長よ! アタシが指したのはそっちじゃないでしょ!」 もう一度食堂へ向かったジェリーの指先を辿って見ると、リーバーとミランダが座るテーブルの手前に、アレンがもらったらしい花束が積んであった。 「今のうちに処分だね!」 「破壊工作やめなさいっ!!」 再びのお玉攻撃に、リナリーはまたしゃがみこむ。 「〜〜〜〜なんでぶつのぉ?! あんなの、メッセージカードごと焼却処分でいいじゃないかぁ・・・・・・!」 「・・・・・・アンタいつからそんな、悪い子になっちゃったの」 ジェリーがため息をつくと、リナリーはぱんぱんに頬を膨らませた。 「みんなに満遍なく優しいアレン君が悪いんだよ! 誰にだっていい顔するから、徹底的にやらないと次から次から沸いて出てくるんだもんっ!」 「虫か!!!!」 「悪い虫じゃないかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 こぶしを握って絶叫するリナリーを見下ろし、ジェリーは呆れ顔で首を振る。 「ホントに・・・アンタ達って兄妹なのねぇ・・・。 コムたんと言うことがそっくり!」 「私は兄さんほど無茶じゃないよ!」 「程度の差こそあれ、十分無茶よ」 もう何度目かのため息をついて、ジェリーはみたび食堂を指した。 「アレンちゃんが、慌てていたとは言え、ここに花束を置いて行ったってことは、そのどれに対しても特別な思い入れがないってことでしょ!」 「え・・・? でも、ジェリーのは・・・?」 恐る恐る問うと、彼女はにこりと笑う。 「アタシはママだもの。 そう言う特別とは、ちょっと違う特別ねん 堂々と胸を張ったジェリーを、リナリーは悔しげに見あげた。 「ま・・・負けないもんっ!!!!」 「ホホホ そう言うことは、お料理の一つもちゃんとできるようになってから言うのねぇん 「くぅっ!!!!」 悔し涙を振り払ったリナリーは勢いもそのままに駆け出し、テーブルに積まれた全ての花束から全てのカードを抜いて破り捨てる。 「・・・なにやってんだ、お前」 あまりのことに、反応も薄くリーバーが問うと、リナリーは鼻を鳴らした。 「害っ虫駆除だよ!!!!」 食堂中に響き渡る声をあげたリナリーを、目を丸くして見遣った何人かが、気まずげに目を逸らす。 「絶対!!防衛してやるんだからね!!!!」 ダメ押しに宣言してやると、彼女達はもう、リナリーを見ようとしなかった。 「まずは一勝!」 満足げに頷いたリナリーは、唖然として声もないミランダに親指を立てる。 「グッジョブ!!」 「はぁ?!」 何のことかと慌てるミランダに力強く頷き、リナリーは同じく呆れ返ったリーバーを睨んだ。 「邪魔しないでよね!」 「・・・そんな、悪魔みたいな顔で言われて承知できるか」 乾いた声で言ったリーバーは、リナリーの訴えかける目を見てため息をつく。 「・・・・・・怪我人を出すな。精神攻撃も不可。絶賛人手不足のスタッフを辞職させたら塔から逆さづりにしてやる」 「おっけ! その条件さえ守れば、なにしてもいいんだね!」 「そんなことは言ってな・・・!」 「がんばるよ!!!!」 リーバーの反駁を更なる大声で遮ったリナリーが、勢いよく踵を返した。 瞬間、彼女の声を聞きつけて寄って来たペックが、彼女の体当たりをまともに受けて吹っ飛ぶ。 「お前言ってるそばからぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「あ!ごめんなさーい!」 リーバーの絶叫に軽く答えて、リナリーはそのまま食堂を駆け出て行った。 ために仕方なく、リーバーがペックへと歩み寄る。 「・・・あの。 班長? ペック班長? まだ生きていますか?」 疾走するリナリーに近づくという、この教団では誰もがやらない危険行為を犯してしまったペックは今、血まみれの肉塊となって床に転がっていた。 だが、時折吐血することで、まだ呼吸があることを報せている。 「・・・・・・しゃーねぇな。病棟に運ぶか」 そしてリナリーは塔に吊るす、と、リーバーはため息混じりに呟いた。 一方、湯上りでほかほかになったアレンとラビは、またリンクから逃げて、談話室の隅にある、長いソファへ転がっていた。 入り口に背を向けたそれに沈めば、大きな背もたれが身体を隠してくれる。 リンクをうまく出し抜いたことに、二人はくすくすと笑いあった。 「出口は脱衣所だけじゃないんだよねー 「逃げるために服隠してたなんて、あいつも思わんかったろうさ 逃げられたと気づいた時のリンクの顔を想像して、二人はまた笑い出す。 せっかくのヴァレンタインデーに監視つきは嫌だと泣きついてきたアレンにラビが協力して、逃げる手はずを整えていたのだが、 「何か理由をつけてケンカするつもりでしたけど、ミランダさんのおかげでスムーズに行きましたね グッドタイミングで現れてくれた彼女には、礼の言いようがなかった。 「ケド、ここまで逃げて来れたんは、俺のおかげだってことも忘れちゃ困るさね 恩着せがましく言ったラビが、にんまりと笑う。 「さぁ 俺に、リンクにも言ってねぇ情報話すさー 「・・・・・・やっぱりそう来たか」 ため息と共に頭をクッションに沈めたアレンがぼやくと、ラビは何度も頷いた。 「系統立てなくてもいいんさ、そりゃ俺らがやるから お前は好きなことをテキトーにしゃべってくれればいいんさね さぁ、と、嬉しげに急かすラビに、アレンはまたため息をつく。 「僕が好きなのはみたらし団子でー・・・」 「お前の好きなもんは聞いてないさねっ!」 ぱしんっと頭をはたかれて、アレンが忌々しげに唸った。 「そんなこと言われても、僕だってまだなにがなんだかわかんないもん・・・! 14番目が性格悪いってことくらい?」 「そいつもお前にだけは言われたかないと思うさ」 容赦なく指摘されて、アレンはクッションに顔をうずめたまま黙り込む。 「お?拗ねたさ? 人間って本当のこと言われると、一番腹立つって言うしさ♪」 「・・・・・・うっさい。 性格悪くてもラビよりモテるも・・・っぎゃふぁふぁふぁふぁふぁふぁ!!」 無防備なわき腹をくすぐられて、アレンが奇妙な笑声を放った。 「なにふんっ・・・ふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇ!!!!」 万が一にもリンクに聞きつけられては困るため、一所懸命顔をクッションに押し付けたアレンのくぐもった笑声が響く。 「ひゃめれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「お前が謝ったらくすぐんのやめてやるさ」 「やだっ! ひゃーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!!」 「おーぃ? 早くしねーと、お前が窒息するか、リンクが駆け込んでくるか、どっちかさね♪」 意地悪な声の警告に息をつめたアレンは、小さな声で『ごめんなさい』を言った。 「全っ然!きっこえないさねー?」 「ごめんなさ・・・ひーっひひひひひひひひひ!!!!」 うっかりクッションをはずしてしまったアレンの甲高い声が響き渡り、二人は動きを凍らせる。 ややして、 「だ・・・大丈夫みたいさ・・・・・・」 リンクの足音がしないか、耳をそばだてていたラビに、アレンも頷いた。 「も・・・加減してよ!」 「だってお前にムカついたからさー♪」 「僕の方がモテるってのは、ラビが言ったんじゃん・・・ぎゃんっ!!」 容赦なく頭をはたかれて、アレンが悲鳴をあげる。 「なにすんだよっ!!」 「ムカつく小僧にお仕置き」 「ふぬー!!!!」 大声をあげたアレンの前で、しかし、ラビはにんまりと笑って口に指を当てた。 「お静かにさ、アレン君♪ リンクが来ちゃうさねー 「うう・・・・・・」 両手で口を覆い、ソファに転がったアレンを、ラビが愉快げに見下ろす。 「そういえばお前、花束はあのままでよかったんさ?」 食堂に置いたままの花束のことを思い出して問うと、アレンはあっさりと頷いた。 「残ってたら、ジェリーさんが水につけておいてくれるんじゃないかなぁ」 「残ってたら、って?」 誰も奪ったりはしないだろうに、と、不思議そうなラビにアレンは嬉しそうに笑う。 「えへへー あぁいうの、リナリーは嫌いですから。 少なくとも、メッセージカードは捨てられてますね 「・・・お前それ、いつから知って・・・・・・」 「とっくに知ってましたとも!」 はしゃいでパタパタと足をばたつかせるアレンを、ラビは奇妙な動物でも見るような目で見た。 「何がそんなに嬉しいんさ?」 喜ぶようなことだろうかと、訝しげなラビの目の前で、アレンはクッションを抱いてころころと転がる。 「だって僕、嫉妬してもらうなんて初めてで すっごく嬉しかったんです 今回も、戻ったらカードがなくなってるといいなぁ・・・ あ、笑っちゃわないように気をつけないと・・・ぎゃふっ!」 転がりすぎてソファから落下したアレンを、ラビは呆れ顔で見遣った。 「そぉ言うもんかね・・・?」 理解しがたい、と、首をひねるラビに、むくりと起き上がったアレンが大きく頷く。 「きっと元帥は、1mmも嫉妬してくれないだろうけどね」 「うっさいさ!!」 「いてっ!!」 まともに顔でクッション爆弾を受け止め、アレンがひっくり返った。 「なにすんだヘタレ!!」 「まるっきり相手にされなくったってがんばる俺のグラスハートに爪立てた仕返しさっ!!」 大声をあげたラビに顔を強張らせたアレンは、彼に飛び掛ってクッションで顔を塞ぐ。 「しっ!! 僕達、追われる身なんですよ?!」 「・・・っ追われてんのはお前だけさっ!!」 窒息寸前でアレンを押しのけたラビが、荒く息をついた。 「お前、これ以上無体を働いたら、即刻リンクにちくって・・・!」 「しっ・・・嫉妬って言えば、どうなんですかね、神田とエミリアさんって?!」 慌てて別方向へと話を曲げて、早口に続ける。 「なんかお互いに好き勝手やってるみたいだけど・・・嫉妬とかしないのかな?! 神田のやろう、エミリアさんが誰と一緒にいても、まったくなーんにも言いませんよねっ?!」 食いつくだろうかと、餌を撒いて様子を窺うアレンにため息をつき、ラビは軽く首を振った。 「エミリアは・・・ユウが他の女と一緒にいると嫌がるけど、自分はちやほやされてすげー喜んでるもんな。 でもユウはそれで嫉妬するよーな奴じゃねぇし・・・やっぱ、どうでもいいって思ってんのかな。 なによりも・・・・・・」 ラビの言わんとするところを理解して、アレンも頷く。 「めんどくさいことが大嫌い!」 声を揃えて、二人は苦笑した。 「大変だ、エミリアさん・・・。 今、男の人達みんなにいい顔してるのってきっと、神田の気を引きたいからでしょ?」 僕でもわかる、と笑うアレンにラビが大きく頷く。 「敵の情報収集を誤ったんさ、あいつは。 ふっつーの男みたいにユウが嫉妬してくれるだろって、他の男にもイイ顔してたらユウは完全無視してくれた上、女子からも反感買うとか、笑えねぇ」 「あ、やっぱり買ってんだ、反感? そうじゃないかなぁって、レディ達の様子見て思ってはいたけど・・・」 途端に不安げな顔をしたアレンに、ラビも苦笑した。 「同じ新参者でもさ、ミランダはエクソシストの仕事をこなしている上に、一人だけに一途じゃん? それに比べてエミリアは、ティモシーの家庭教師ってだけで、特に教団の仕事してるわけじゃねぇし、なのに男共にはちやほやされて、その上ユウを独占しようなんて、バタフライにも程があるってことさ」 情報と名のつくものならば、井戸端会議でさえも収集するラビの言うことだ。 きっと誰かが話していたことなのだろうと察し、アレンはまたクッションに顔をうずめる。 「おんなのひと、こわい・・・・・・」 「そっか? 俺は面白いと思うけどなぁ・・・。 仲良しの振りして裏ではお互いの悪口言い合ってるなんて、ホントすげーと思うさ。 アレ、どう言う脳の構造してんだろうな!」 だから女好き!と、こぶしを握って断言したラビに、アレンは深々とため息をついた。 「視点が違いすぎる・・・」 「そっかぁ?」 面白いのに、と、また言ったラビは、はたと手を打つ。 「じゃあさ、取材いかね?! エミリアに、今の心境を特別インタビュー!」 「・・・なんでこの流れでエミリアさんに特別インタビュー? 話、飛んでるよ?」 無気力に言ったアレンの頭を、ラビがくしゃくしゃと撫でた。 「ちゃんと繋がってんさ! 教団で純粋培養されたリナや、善良を体現するミランダと違って、エミリアはマジ『生身の女』じゃん あいつの話聞くと、きっとオンナゴコロを理解する一助になると思うんさね 「なんだそれ」 知ってどうするんだ、と言う問いには、あっさりと『興味があるから!』と返される。 「さぁ、そうと決まったらレッツゴー!」 「えぇー・・・・・・!」 せっかくの安全地帯から引きずり出されて不満げなアレンの手を引き、ラビは談話室を飛び出した。 同じ頃、リナリーによってひき肉にされたペックをストレッチャーに乗せて、病棟へ運びこんだリーバーは、診察着姿で歩いてくる神田を見て眉根を寄せた。 「お前確か・・・リナリーと訓練場にいたよな? やられたのか?」 気の毒そうに問われた神田は、ムッとした目でリーバーを睨む。 「・・・たいしたことねぇよ!」 そう言う声がいかにも苦しげで、なおも問おうとした時、 「コラ――――!!!! 内臓損傷してるのに勝手に帰るなっ!!!!」 病棟中に響き渡る怒号に、神田がびくりと飛び上がった。 「バ・・・ババァ・・・!」 「誰がババァだクソガキ!!!!」 駆けつけた婦長に容赦なく耳を引っ張られ、神田が悲鳴をあげる。 「今日は入院!絶対安静!!面会謝絶!!!!」 耳を摘まれたまま、ずるずると引きずられて行く神田を唖然と見送り、リーバーは通りかかったナースを呼び止めた。 「あら、リーバー班長。 治療?」 「神田、どうしたんだ?」 彼女の問いには答えずに質問を発すると、ナースは気を悪くした様子もなく苦笑する。 「リナリーと組み手してて、蹴りを避け損ねたんだって。 クリーンヒットしたらしくて、内臓損傷してるから回復するまで入院しろって言われてたんだけど・・・お腹すいたんでしょうね」 そろそろ昼食の時間だ、と、時計を見るナースにリーバーは呆れた。 「治療とか・・・しないんだな」 「神田になにしろっての」 あっさりと言われて言葉に詰まったリーバーも、それには反論のしようがなく頷く。 「ところでそれ、治療するの?火葬するの?」 笑って血みどろのストレッチャーを指したナースに、リーバーはため息をついた。 「まだ生きてるから、火葬で・・・じゃない、治療で!」 慌てて言いなおした彼に、ナースはケラケラと笑い出す。 「ホントは火葬したいのね?」 「まさか、そんなことはないとも」 努めて平静を装ったリーバーから、ナースはストレッチャーを受け取った。 「じゃあこの変た・・・ううん、ペック班長の治療は任せて もう会えないかもしれないけど 冗談口の端々に黒さを滲ませる彼女に、リーバーは大きく頷く。 「こんな所にいりゃあ、一期一会は覚悟しているさ」 これが今生の別れでもかまわないと、しかつめらしく言った彼にまた笑い出し、ナースはのんびりとした足取りで、肉塊を乗せたストレッチャーを押して行った。 その背を見送ることなく、リーバーはさっさと踵を返す。 「・・・ったく、変態のせいで時間を無駄にしたぜ」 せっかくのバレンタインデーにようやく空けた休憩時間を15分も無駄にしてしまった。 「けど・・・肉塊に怯えるミランダを連れてくるわけにもいかねぇし・・・」 「肉塊?!」 突然間近で大声があがって、リーバーが目を丸くする。 「肉塊って、どういうこと?! 大怪我なの?!」 カツカツと踵を鳴らし、足早に歩み寄ってきたエミリアの形相にリーバーが歩を引いた。 「あ・・・あぁ、リナリーにやられて・・・」 「んまぁ!! あの子ったら、塔から吊るしてやんなきゃ!」 顔を真っ赤にして怒るエミリアに、リーバーが眉根を寄せる。 「いや、それは俺も思ってんだが・・・なんでお前がペック班長のこと、そんなに心配するんだ?」 どんな関係だろうかと、訝しげなリーバーにエミリアはムッと目を吊り上げた。 「なんであたしがあんな変態の心配すんのよ! 神田よ神田!!」 言いながら、エミリアは気遣わしげな目を周囲に配る。 「さっき訓練場に差し入れ持って行ったら、そこにいた人達が、神田が病棟に運ばれたって教えてくれて・・・! あいつが自分で歩けないなんて、よっぽど重傷なんでしょ?!」 どこにいるのかと、詰め寄られたリーバーは思わず苦笑した。 「まぁ・・・目撃証言はその通りだったんだろうが、あいつはもう、自力で歩けるまでには回復してたぜ。 けど婦長に入院と絶対安静を命じられたから、どっかの病室に連行されて、縛り付けられてんじゃないかな?」 くすくすと笑うと、エミリアはほっと吐息してリーバーから歩を引く。 「そっか・・・。 じゃあ婦長を探すわ」 邪魔してごめん、と、見透かされたようなことを言われて、リーバーはぎくりと顔を強張らせた。 「・・・エスパーか、お前は」 思わず言うと、既に背を向けていたエミリアが肩越しに微笑む。 「簡単な推理よ、班長。 こんな日に、忙しいあなたが仕事をしていないのは、目的があって時間を空けたためでしょ。 そして病棟の入り口では、ミランダが所在なげに立ってたし? きっと班長を待ってるんだろうなぁって、思ったダケ 軽く手を振って去って行くエミリアに、リーバーは肩をすくめた。 「さすが、あの警部の娘だな」 少しの嫌味を込めて呟いたリーバーは、ミランダが待っていると言う入り口へと足を速める。 と、あっさり見つけた彼女はなぜか、アレンとラビに囲まれていた。 訝しく思いながら、声は掛けずに歩み寄っていくと、二人の甲高い声が聞こえてくる。 「・・・そんでここに来る間にどっちか、って話になったんさ!」 「答えてください、ミランダさん!!」 「恋人は年上がいいだろ?!」 「年下だっていいですよね?!」 「え・・・あの・・・・・・」 二人して詰め寄られ、困り果てたミランダが口を濁すと、彼らは更に詰め寄った。 「女の子なら誰だって年上がいいに決まってるさ!なぁ?!」 「そんなことないもん!年下だってラビより頼りになるんだから!」 「俺限定で話しすんじゃないさ!」 どうやら恋人にするなら年上と年下のどちらがいいか、と言う話らしいと理解して、リーバーは更に耳をそばだてる。 が、歩み寄って行く彼に、興奮状態の彼らは気づく様子もなく、仔犬のようにきゃんきゃんと喚いていた。 と、ミランダがようやく口を開く。 「私は、お・・・同い年・・・が・・・いいかしら・・・・・・」 選択肢外のことを言われ、ぽかんとする二人とは逆に、リーバーは詰めていた息をほっと吐いた。 「もういいか、ガキども?」 内心の嬉しさを押し殺したリーバーが、できるだけ平静を装った声をかけると、ミランダはほっと微笑んで振り向き、アレン達は不満げに黙り込む。 「病棟になんか用か?」 見たところ、元気そうな二人に問うと、彼らは大げさに首を振った。 「病棟にゃ用はないさ!」 「僕達、エミリアさんを追っかけてきたんです!」 「エミリア?」 なぜ、と言う問いには答えず、二人は彼女を見なかったかと畳み掛ける。 「それならついさっき、中で会ったぜ。 神田が入院したって聞いて、血相変えてた。 今頃見舞ってんじゃないか?」 そう言った途端、また不満げな顔をして黙り込んでしまった二人を、ミランダまでもが不思議そうに見つめた。 「エミリアさんが、どうかしましたか?」 「あ!いえ・・・!」 「ちょっと聞きたいことがあったんけど・・・ユウと一緒なら、邪魔できんしさー 早々に退散を決めたラビに腕を引かれ、アレンがずるずると引きずられて行く。 「・・・なんなんだ、あいつら?」 不思議そうな顔をするリーバーの傍らで、ミランダも首を傾げて駆け去る二人を見送った。 「邪魔するわよっ!!」 「邪魔だから来るな」 とうとう神田の病室を探し当てたエミリアに、冷たすぎる一声を浴びせた神田は次の瞬間、容赦ない力で首を締められた。 「アラ? 泡吹いちゃって、大丈夫?」 いかにも気遣わしげに顔を覗き込んだエミリアを、神田が睨みつける。 「てめぇがいきなり裸絞めしたんだろうが!!」 「ごめん、ついうっかり てへ 「・・・うっかりで済むことと済まねぇことがあるよな?!」 「元気そうでよかったわぁ、ダーリン 一人で歩けなかったって聞いて、すごく心配したんだから!」 「心配な重傷患者にいきなり裸絞めするのかてめぇはっ!!!!」 忌々しげに怒鳴ると、彼女はひらひらと手を振ってベッドに座る。 「過ぎたことをいつまでもしつっこいわね。 だからあんた、美形なのにあたしくらいしか相手がいないのよ」 至極あっさりと言われて、毒舌王の神田が声を失った。 その隙を突いて、エミリアはにこりと微笑む。 「あたしはあんたがいなくったって、バレンタインデーに花をくれる人くらい、たくさんいるけどね〜 色っぽく笑みを深めて擦り寄って来た彼女を、神田はムッと睨んだ。 「・・・それはこっちの台詞だ。 今までだって、困ったことなんざねェよ」 吐き捨てた途端、エミリアの顔色が変わる。 「知ってるわよ・・・! よくもあんな大量の花に囲まれて・・・全っ部処分してやろうかしら?!」 「それはかまわねぇが、なんでてめぇに言われなきゃなんねぇんだ、この蝶々女が!」 「誰が派手な浮気者よ!! こっちこそあんたに言われたくないのよ、来るもの拒まずが!!」 憤然と立ち上がったエミリアは、乱暴に神田の髪を引いた。 「いって!! なにすんだ、テメェ!!」 「・・・誰のせいであたしが皆にイイ顔してると思ってんのよ! 気づけ、バカ!!」 言うや、踵を返して部屋を出たエミリアが、乱暴に閉めたドアの震えを神田は呆れて見つめる。 「・・・・・・なんなんだ、あいつ」 その声には珍しく、力がこもっていなかった。 「あの鈍感が!!!!」 蛇のように威嚇音を上げつつ、病棟を闊歩するエミリアに、誰も声を掛けられない。 婦長までもが唖然と見送る中、本城へ戻った彼女をリナリーが捕まえた。 「アレン君知らないっ?!」 「知らないわよっ!!!!」 必要以上に大きな声で言われて、リナリーが目を丸くする。 「な・・・どうしたの・・・?」 おどおどとした上目遣いで見つめられたエミリアは、火竜のように熱い息を吐いた。 「神田って、昔っからああなの?! 鈍感で冷酷で、あったま来るったらないわ!!」 怒りのあまり、可聴音域ギリギリまで裏返った声に怯え、リナリーが首をすくめる。 「た・・・たぶん、エミリアが他の男の人達といるのが気に入らなかったんじゃないかなぁ・・・・・・。 エミリアには気にしてない振りしてたんだろうけど・・・組み手中とか、ずっと機嫌悪かったよ、神田・・・・・・」 「・・・・・・そうなの?」 突然、憑き物が落ちたように表情を変えたエミリアに、リナリーは何度も頷いた。 「今日だって、いつもなら避けちゃう蹴りをまともに食らって、動けなくなったんだ。 あの時・・・神田、窓の外に気を取られたみたいなんだよね」 エミリアの顔色を伺いつつ、情報を小出しにしていたリナリーは、頃合を見計らって小首を傾げる。 「もしかしてあの時、訓練場の向かいを通らなかった? ・・・・・・男の人達に囲まれて」 さり気なく、だが最大の爆弾を投げつけると、エミリアは気まずげに黙りこんでしまった。 「ね? 私、アレン君探してるの。 知らないなら行くね!」 「あ・・・うん・・・・・・」 反応の鈍いエミリアに、にこりと微笑んだリナリーは、うまくその場から逃げ出す。 「へへ・・・ 何があったか、後で神田にきこーっと ここで余計な好奇心を起こしては逃げ場を失うからと、見事な判断力を示したリナリーは、回廊を駆けながら楽しげに笑った。 「・・・それにしても、どこに行っちゃったかな、アレン君は! 監査官からも逃げてるから、簡単には見つからないだろうけど・・・・・・」 通信機で呼び出そうにも、通信班はとっくに中央庁に押さえられている。 「く・・・! ティムがいればなぁ・・・!」 呟いたリナリーは、ふと思いついて手を打った。 「そうだよ! 直接アレン君は難しくても、ティムなら・・・!」 にんまりと、いたずらな笑みを浮かべたリナリーは、回廊の欄干を軽々と乗り越える。 「発動♪」 常人であれば、一瞬で地面に叩きつけられ、即死する高所を軽々と舞い、吹き寄せる風に乗って更に高く昇った。 「ティームー!」 城の最も高い塔の先端、冬の海風がやってくる方向から呼びかければ、長い時を待たずして、金色の羽根が向かってくる。 「あはは おいでティム とっくに手懐けていたティムキャンピーは、リナリーに呼ばれて嬉しげに擦り寄った。 「アレン君の居場所、わかるよね? 教えて 両手を合わせ、小首を傾げたリナリーに、ティムキャンピーは丸い身体ごと頷く。 くるりと旋回するや、パタパタと城の棟へ向かったゴーレムに、リナリーは軽やかについて行った。 と、間もなく降り立った屋根の下で、聞き覚えのある声がする。 先に欄干へ降り立ったティムキャンピーが、長い尾でアレンを招くと、彼はなんの疑いもなくゴーレムへと寄って来た。 「ティム、お前今までどこに行って・・・」 「わっ!」 「わあああああああ?!」 突然、逆さまに顔を出したリナリーに驚き、アレンが尻餅をつく。 「リナ・・・なんでそんなトコにいるんさ?」 やや離れたところから呆れ顔を向けるラビに、リナリーは得意げに笑った。 「えへへー ラビ、姫はもらっていくぞよ 「・・・・・・ひめ?」 芝居がかった台詞に、更に呆れたラビへいたずらな笑みを向け、リナリーはアレンへ手を差し出す。 「お手をどうぞ、姫 「・・・・・・姫じゃないです」 そうは言いながら、アレンが差し出した手を取り、意外な膂力で屋根へと引っ張りあげた。 「リ・・・リナリー・・・。 力持ちだね・・・・・・」 以前よりはだいぶ逞しくなって、背も体重も増えたのに、あっさりと引き上げられてしまったアレンが呆然と言う。 が、リナリーは得意げに笑って、更にアレンを引き寄せた。 「そんなに端にいると、落ちちゃうよ?」 「うん・・・ふぁっ?!」 ふと、下を見てしまったアレンが、思わぬ高さに悲鳴をあげる。 「んなっ・・・なんでこんなトコに・・・!」 ガタガタと震えつつ、四つんばいになって屋根に貼り付くアレンに、リナリーはにこりと笑った。 「だって、兄さんからも監査官からも見つからない所って言ったら、ここしかなかったんだもん 冬の海風に髪をなびかせながら笑うリナリーにつられて、アレンも強張った頬にほんの少し、笑みを浮かべる。 「でも・・・寒いし怖い・・・!」 またぷるぷると震えて屋根にしがみつくアレンの手を、リナリーが笑って引き剥がした。 「リッ・・・!!!!」 「大丈夫大丈夫♪」 のんきに言いながらリナリーは、アレンの手を引いて、急角度の屋根をさくさくと登る。 「ホラ! ここなら大丈夫でしょ!」 屋根の先端に、軽々と腰を下ろしたリナリーに続き、アレンは恐る恐る腰を降ろした。 「くっついてれば、寒くもないしね 並んで座ったリナリーが、アレンの腕に腕を絡めて、しっかりと支えてくれる。 「・・・・・・高い所、慣れてなくってすみません」 これじゃあ『姫』と呼ばれても仕方ないと、肩を落とすアレンにリナリーが笑い出した。 「まだ、もうしばらくは『王子』でいさせてよ どうせすぐに敵わなくなるんだから、と言う心情は声に出さずに、リナリーはポケットから小さな箱を取り出す。 「んー・・・リボン、よれちゃったかな・・・」 手の中で不安げに見つめた後、おもむろにアレンへ差し出した。 「Happy Valentine♪」 「あ・・・ありがと・・・!」 声の震えを懸命に押さえ込んで、アレンは嬉しげに笑う。 「い・・・今開けたら・・・落としちゃうかな・・・・・・」 声の震えは何とか押さえ込んだものの、手の震えは未だ治まらない。 そんなアレンに、リナリーはまた笑い出した。 「じゃあ、後でゆっくりね 「うん、僕も後で・・・」 あげるから、と、小さな声が風にさらわれて行く。 「う・・・直接渡す勇気がなくて、ごめんなさい・・・・・・。 こんな風に会えるってわかってたら、持ってきたんだけど・・・」 気まずげに言葉を切って、アレンは苦笑を浮かべた。 「今年もお花とプレゼントはジェリーさんに預けるから・・・取りに行ってくださいね」 高所よりも更に怖ろしいコムイの顔を思い出し、震え上がったアレンにリナリーは頷く。 「楽しみにしてるね!」 嬉しそうな中に、どこか得意げな感情を混ぜ込んで笑ったリナリーに、アレンはほっと笑みを浮かべた。 「あ、プレゼントって言えば・・・・・・」 ふと瞬いて、アレンは胸ポケットを探る。 「もらい物だけど、食べる? 僕、お酒の入ったチョコレートは食べらんないから・・・・・・」 そう言って彼が差し出した袋には、大きなハート型のチョコレートが入っていた。 「・・・・・・手作りだね。 誰にもらったの?」 低く冷たい声の問いに、ビクッと震えたアレンは、懸命に首を振る。 「し・・・知らない・・・! 朝ごはん食べてる時、いつの間にか積み上げられてた花束の中に入ってたから・・・・・・」 「ふぅん・・・。 でも、カードが一緒に入ってたんでしょ?」 更に問うと、アレンはまた首を振った。 「まだ読んでないから・・・! とりあえず、これは誰かにあげようかな、って取ったけど・・・・・・」 途端、気まずげに目を逸らしたリナリーを見て、アレンは嬉しげな顔をする。 「ねぇ、リナリー? 君が食べちゃってよ」 はい、と、再び差し出されたそれを受け取り、リナリーは無言で袋を開けた。 冷たい風の中ではわかりにくかったが、それでも良質のカカオとリキュールの香りが漂って、それが十分な準備と気合によって作られたものだと教えている。 「・・・・・・きっと彼女だわ」 「誰?」 リナリーの呟きに、きょとん、としたアレンには首を振った。 「苦手でも、一口は食べてあげたら? せっかく作ってくれたんだし」 そう言ってリナリーは、ハートの端をアレンの口に押し込む。 「どう?」 にこりと笑うと、アレンは難しい顔をして頷いた。 「食べられなくふぁないけろ、全部ふぁ無理。 らから・・・・・・」 不明瞭な発音で言って、アレンはリナリーを抱き寄せる。 「後は君が食べて」 口移しに渡されたチョコレートを咥えて、リナリーは頬を染めた。 「もう・・・!」 困り顔でリナリーは、ぱりんっと、ハートの欠片を噛み割る。 「こんなにおっきなの咥えてたら、レディらしくないってジェリーに怒られちゃうよ・・・」 もごもごと恥ずかしげに言うリナリーに、アレンが笑い出した。 「いいんじゃないですか? 誰も見てないし いたずらっぽく言ってアレンは、リナリーの頬についたチョコレートを舐め取る。 「うん、僕はこのくらいでいいや 「こ・・・こらっ! ほっぺ舐めるなんて、はしたないよっ!」 真っ赤になったリナリーに、アレンが舌を出した。 「ねぇ、もう少しちょうだい 今度は唇を舐められ、キスされて、リナリーが目を丸くする。 「えへへー チョコレート、ありがとう 楽しげに笑うアレンに吐息したリナリーは、いたずらばかりする彼の口に、チョコレートの塊を詰め込んでやった。 再び病棟の病室に戻ったエミリアは、身構える神田に構わずベッドに腰を下ろした。 「・・・・・・なんだよ」 ずっと黙り込んだまま、自分を見つめるエミリアを訝しく思って問うと、彼女はゆっくりと首を振る。 「傷・・・大丈夫なの?」 先程とは打って変わった深刻な声音で問われ、神田は無言で頷いた。 「さっきリナリーに会って・・・訓練場では動けなくなってたって聞いたの。 婦長も絶対安静だって言ってたし・・・・・・」 なぜか気を落とした様子の彼女をますます訝しく思い、神田が眉根を寄せる。 「お前・・・なんか悪いもんでも食ったのか?」 「ううん・・・・・・。 今日はまだ・・・・・・」 いつもと全く違う反応を返されて、神田の動きが止まった。 「お・・・まえ・・・・・・!」 軋みをあげそうにぎこちない動きで、神田がナースコールへ手を伸ばす。 「絶対どっか病んでるぞ!! ババァに連行されろっ!!」 「違うよ・・・」 今にもナースコールを押そうとした神田の手を取り、エミリアはうな垂れた首を振った。 「あたしはどこも悪くないから・・・。 あんたは・・・早く元気になってね!」 いきなり抱きしめられた神田は、傷口を更に痛めつけられ、息を詰まらせる。 「ごめんねっ!!」 顔を覆い、泣きながら駆け出て行ったエミリアへ伸ばした手は、途中で力尽きて落ちた。 「あいつ・・・・・・!」 ようやく絞り出した声には、明らかな苦鳴が混じる。 「俺を殺しに来たのか・・・・・・?!」 忌々しく呟きながら神田は、ここへ来て初めて、『絶対安静』の意味を正しく理解した。 今度は泣きながら駆け去るエミリアを、誰もが唖然として見守る中、本城へ戻った彼女を呼び止める者がいた。 「エミリア! 昼食がまだなら一緒に・・・どうかしたか?!」 目を真っ赤にして泣くエミリアに、彼だけでなくいつも彼女を取り巻く男達も寄って来る。 「なんでも・・・ない・・・っ!」 しゃくりあげたりしないように、抑えた声が震えていた。 「なんでもなくはないだろうに・・・」 困惑する彼らに首を振り、先に進もうとするが、視界が涙に覆われて、彼女を囲む男達にぶつかってしまう。 「あ、すまない・・・。 だ・・・大丈夫か?」 俯いて、また泣き出したエミリアの両肩に手を置き、気遣わしげに問いかけるが、彼女は頷くだけで何も言わなかった。 「エミリア・・・」 皆が困り果てて立ち尽くしていると、 「どけ」 傲慢にして冷酷な声がかかり、驚いた男達が道を開ける。 「エミリア・・・お前な・・・・・・!」 剣呑な目で彼女を睨み、歩み寄る神田が危険だとわかっていても、誰もがエクソシストの気迫に呑まれて動けなかった。 「ワケわかんねぇんだよ! 言いたいことがあんならはっきり言え!!」 エミリアの腕を取り、怒鳴りつけた神田は、そのまま彼女を抱き寄せる。 「な・・・なによ・・・!」 目を丸くするエミリアの周りで、彼女以上に唖然とする男達を神田は睨みまわした。 「俺のにたかるんじゃねぇよ。うぜぇ」 きっぱりと言うや、エミリアを小脇に抱えて踵を返した神田を、誰もが無言で見送る。 ややして、 「だ・・・誰が『俺の』よ! あたしは物か!!」 じたじたと暴れだしたエミリアの肘が傷に食い込んで、神田が息を詰めた。 「ごっ・・・ごめん!!」 苦しげに歩を緩めた神田を見上げ、慌てるエミリアに神田は吐息する。 「・・・・・・どうしてほしいかなんて、わかるかよ。 俺は美形だが過ぎたことをいつまでもしつっこく言う性質で、鈍感で冷酷なせいでお前しか相手がいないそうだからな」 「わぅ・・・・・・」 意外にも根に持つ性質だったかと、エミリアは気まずげに目を逸らした。 「だから今日は・・・・・・」 その言葉の続きをエミリアは、期待と言う光を灯して待つ。 「看病しろ、『俺の』看護師」 「なにいいいいいいいいいいいいいいいい?!」 いつの間に現れたのか、婦長率いる白衣の天使軍に包囲されたエミリアが絶叫した。 「私の聖域を二度も抜け出すとはいい度胸ね、クソガキ!! あなたも病棟を騒がせた罰として、このガキが回復するまで世話しなさいっ!!」 「ひいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 それぞれに怒りの表情を浮かべたナース達に拘束されたエミリアは、神田と共に哀れな捕虜となる。 「連行――――――――!!!!」 「いやあああああああああああ!!!! あたしの願いはこんなことじゃ・・・ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 医療器具で武装したナース達に脅されたエミリアは、淡々と隣を歩む神田に擦り寄った。 「きょ・・・今日くらいはラブラブしたかったのに・・・!」 本当はそれが願いだったのだと、今更言っても遅い。 「諦めろ」 「そんなああああああ!!!!」 既に抵抗を諦めた神田の言葉を最後に、せっかくのバレンタインデーは白衣の天使軍の監視の下、彼の看病で終了した。 Fin. |
| 2011年ヴァレンタインSSでした! これはリクエストNo.74『神田とエミリアの日常』を使わせてもらってます お互いに意地っ張りで、似たもの同士な神エミを書きたくて書いたお話でした(笑) その上、ニコさんがセルフィのリナリー&アレンコスで、ハートのチョコを咥えているのを見てカッとなりました! ほほえましく書けているといいのですが、どうでしょうか。 しかし、締め切りを守る、って抱負が早くもぎりぎりなカンジですみません;;;>出来上がったのは2/14AM4:30(^▽^;) リナリーお誕生日SSはなんとしても間に合わせなければ;;; |