† New World T †
「中央庁チキチキ最終試験開始ー!!!!」 紙吹雪が舞う中、異常なハイテンションで言い放ったルベリエに拍手が沸いた。 「ここまで残った諸君! 諸君の優秀さは誇るべきである! 残るは実技のみ! 涙ながらに散っていった仲間達のためにも、諸君にはぜひともがんばって、合格を勝ち取って欲しい!!」 中央庁長官自らの激励に、受験者達は表情を引き締め、ぎゅっとこぶしを握る。 「では! 諸君の健闘を祈る!!」 開始の笛が鳴るや一斉に持ち場へと駆けて行った受験者達へ、ルベリエは満足げに頷いた。 材料にかけていた布を取り払ったリンクは、道具類まで全て揃っていることを素早く確認した。 課題はタルトとシュー生地、スポンジのプティフール3種にピエスモンテ。 プティフールに乗せるものは決まっているが、ピエスモンテは自由課題だ。 パスティヤージュでもショコラでも飴細工でも良しと、かなり自由にやらせてもらえる。 頷いた彼は、オーブンが十分に温まっていることを確認して、素早く形成した生地を焼き始めた。 その間に、溶ける心配のないパスティヤージュでピエスモンテの基礎を作り始めた。 ちらりと隣の作業台を見ると、テワクが小さな手で一所懸命ショコラを湯煎している。 あちらは基礎をショコラにするつもりかと、やや緊張しつつ、リンクは自分の手元に集中した。 ・・・が、中央庁の影の部隊と呼ばれる『鴉』の最終試験がなぜお菓子作りなのかと、疑問に思う者は受験者にも少なくない。 しかしリンクは、この部隊がルベリエの直属である以上、彼の意に添うことは当然なのだと思っていた。 むしろ、その程度のことに疑問を抱くような者は鴉にふさわしくないのだと。 そんな彼の作るピエスモンテは、真っ直ぐな忠誠心を表すかのような棒を連ねて三角錐を作り、上部を赤いリボンで結んだ。 あえて斜めに置かれた棒の、杯のように広がった先端にはキラキラと光を弾く丸い飴細工が置かれ、先進的なクリスマスツリーのようだ。 課題は他にも、『装飾も含めて10種類以上の菓子を製作』とあるため、リンクはそのツリーにわたあめの雪を巡らせ、プラリネやフルーツガナッシュのショコラをオーナメントのように飾る。 そうする間にオーブンに入れていた生地が焼きあがり、手早く取り出して粗熱を取った。 シューにカスタードクリームを絞り入れ、タルトにフルーツを飾り、軽く粉砂糖を振って皿に乗せた後、スポンジにブリュレを乗せて軽く炙る。 紅い木苺のソースと緑のキウイソースで皿を彩り、リーフパイを飾った上に先ほどのパスティヤージュのツリーを被せた。 ほんの1時間ほどで全てを作り上げた彼は、それを得意げに長官へ捧げる。 「これは見事です!」 白いクリスマスツリーの中に収まった三種のプティフール、ピエスモンテの飾りも申し分なく、ルベリエは存分に目で味わったのち、ショコラを摘んだ。 「・・・ふむ、リキュールの配分も素晴らしい。 こんなにおいしいショコラは、中々味わえるものではありませんね!」 「恐れ入ります」 しかつめらしい表情に嬉しさを精一杯隠して、リンクが一礼する。 と、彼の背後に出来上がった皿を持った受験者達が並んだ。 脇にどいたリンクが眺めるそれらはどれも素晴らしい出来で、ルベリエは味見する度に満足そうに頷く。 その様に、リンクはそわそわせずにいられなかった。 最も早く作り上げた彼の作品は、味でもルベリエを満足させたことだろう。 しかし最初に味わったからこそ、それが基準となって、1位を取ることは難しいように思えた。 ―――― とうとう来ましたか・・・! リンクが一番のライバルと目すテワクが、重たげに抱えたショコラのピエスモンテはまるで、影絵の世界のようだ。 木や枝だけでなく、花や人形までもが黒いショコラで出来ていながら、その背景にステンドグラス風の飴細工があり、見事に対比を描いていた。 しかし、 ―――― 課題は『装飾も含めて10種類以上の菓子を製作』ですよ、テワク。見たところ、少ない気が・・・。 訝しく思いながらもリンクは、他の受験者の評価を気にしつつ、彼女の順番が回って来るのを待つ。 するとやはりルベリエも同じことを思ったのだろう、訝しげに『これでいいのか』と問うた。 「はい」 こくりと頷き、テワクは重たげに皿を載せる。 ルベリエは目で十分に楽しみながらも、まだ訝しげにショコラの樹に生った実を摘んだ。 「・・・ほう、これは・・・!」 全て同じ形の丸いプラリネと見せて、中身はリキュールだったりクリームだったりフルーツソースだったりと、実に変化に富んでいる。 「この実だけで、既に10種類以上はあるのですね! しかも、見た目は全く同じだけに、次はなにが出てくるのかと楽しみで仕方がない」 よくやったと頭を撫でられ、嬉しげに頬を染めるテワクに、リンクが眉根を寄せた。 臨機応変さが求められるこの課題の最大の目的は、『相手の心を読む』というものだ。 リンクのものから始まって、次々に受験者達の菓子を試食していたルベリエは、顔に出さずとも甘味に飽いて来た頃だ。 各自創意工夫があるにせよ、課題から大きく逸脱しないピエスモンテも見飽きた所だろう。 そこへ、一見なんの工夫もないショコラと思いきや、意外な愉しみを差し出されて、感動はより大きくなったはずだ。 見事にルベリエの心を捕らえたテワクへ、リンクは悔しげに唇を噛む。 ―――― 私は・・・2番手かもしれませんね・・・・・・。 今回は『鴉』への最終試験というだけでなく、この中からルベリエの『側近』を選ぶための試験であることは、言われずともわかっていた。 そんな大事な試験を2番手で通過するということは、リンクにとって屈辱というよりも悲しく思える。 ―――― ようやく・・・ここまで来たのに・・・・・・。 幼馴染とは言え、自分よりも小さなテワクにその地位を取られることが悔しく、彼女に勝てなかった自分が情けなく思えた。 「・・・それでは、結果を発表しましょう」 ルベリエ他、数人の審判が審議の結果を見て頷く。 「鴉へは全員合格! そして、現在空席となった私の側近には・・・」 信じがたいことに自分の名を呼ばれ、リンクは頬を紅潮させた。 「・・・という厳しい審査を勝ち抜いて、ようやく長官のお側に仕えることができましたのに、今はこんなクソガキの監視役になるとは。 左遷もいいところですよ」 「・・・それが言いたいばかりに長々と下らない話をありがとう」 リンクの嫌味に嫌味で答えて、アレンはケーキを頬張った。 チョコレートスポンジの上に乗ったブリュレは表面をカリカリに焼いてあって、文句なしのうまさだ。 お菓子作りを趣味とする長官のメガネに適った腕は、リンクに反感を持つアレンですら認めずにはいられなかった。 「・・・これってさ、長官のレシピに載ってんの?」 リンクが今も読んでいる、長官のサイン入りレシピ本を指すと、彼はふるりと首を振る。 「基本はそうですが、そのケーキは私のオリジナルです。 長官は、ご自身の作られたもの以上を私達に求めていらっしゃったので」 「へーぇ」 影の戦闘集団と畏怖される『鴉』に、なぜお菓子の腕が必要なのだろうと訝しく思いながらも、アレンは空になった皿を差し出した。 「おかわり」 「自分でよそいなさい、生意気な」 ムッと睨まれて、アレンは舌を出す。 「なんだよ、意地悪」 残ったケーキを全部引き寄せたアレンは、カリカリの表面をフォークでカツカツと叩いて、飴にひびを入れた。 「これ、なんて名前?」 大きな塊を口いっぱいに頬張って問うと、再三読書を邪魔されて不機嫌なリンクがしかし、照れたように口ごもる。 「・・・私のオリジナルが多分にありますが・・・基本はサン・マルクですよ」 「サン・マルク・・・」 フランス語で『聖マーク』のことかと、アレンは何度も頷いた。 「長官のファースト・ネームって・・・」 「黙って食べてしまいなさい!皿を片づけますよ!」 真っ赤になったリンクに意地悪く笑って、アレンは残ったケーキを全部口に入れる。 「おふぁわひ!(おかわり!)」 頬袋があるのかと思うほど口いっぱいに頬張ったアレンが大皿を差し出すが、リンクはそんな彼を睨みつけて、皿だけ回収した。 「おやつの時間は終わりです! 早く今日の分の課題を済ませてしまいなさい! まったく、なぜ私が君の家庭教師までやらなきゃいけないんでしょうね!」 「・・・そんなに文句言うならやらなきゃいいじゃん。 別に頼んでないしさー・・・」 「無学な!エクソシストは!教団の!恥です!!!!」 「痛い!痛い!痛いですってば!暴力反対ー!」 一言ごとに本で頭を叩かれて、アレンは憮然としつつもフォークをペンに持ち替える。 「もぉっ!やればいいんでしょ!この暴力教師!!」 「ケーキを食べさせたらやると言ったのは君でしょう! ぐだぐだ言わずにさっさとやる!!」 本を辞書に持ち替えられ、アレンは渋々ペンを走らせた。 ・・・本ならまだしも、辞書で殴られたくはない。 眉根を寄せ、頭を掻きながらペンを走らせるアレンに時折、リンクのため息が降りかかった。 「なんだよっ!」 「別に。 このままだと0点ですね、と呆れているだけです」 「じゃあもっとわかりやすく教えてよっ!!」 従順な生徒ではないアレンに舌打ちし、リンクは椅子を引いて隣に座る。 「いいですか、まずはこのXの値を求めて・・・」 「Xのあたいをどうやって求めるかわかりません。 てか、『あたい』って何?」 「そこからですかっ!!」 学がないにも程があると頭を抱えるリンクに、アレンがムッと口を尖らせた。 「このご時世、英語の読み書きが出来て、外国語も話せれば十分だもん! 数学なんて、今までなんの役にも立たなかったもん!」 「開き直るんじゃありませんよ、ウォーカー! その程度は、団員として当然の教養です!」 エクソシストなら更にその上を行けと叱られて、アレンは渋々問題集に向き直る。 「で?あたいって?」 「君にはこの問題は高度すぎたようです。 どの程度の知識があるのか、まずはテストをしましょう」 「えー・・・・・・」 更にまずいことになった気がして、アレンは椅子に沈んだ。 「任務でもいいから、なんかこの状況から逃げ出すことって・・・」 ブツブツとぼやきながら、アレンは心待ちに耳の無線機を弄る。 と、救いの手は別の方向からやって来た。 いきなり窓が開き、寒風と共に紅い髪がひょっこりと部屋に入ってくる。 「アレンー! ジェリー姐さんが、ヒマなら手伝えっつってんけどー!」 「行くっ 「いけません!!」 窓を乗り越えようとしたラビを、リンクが容赦なく突き落とした。 「ちょっ・・・リンク!!ここ2階!!2階!!」 慌てて窓辺に駆け寄ったアレンは、首根っこを掴まれて椅子に戻される。 「そこへ座って、この問題集をわかるところまで解きなさい!」 厳しく命じて窓辺に寄ったリンクが、外を見遣った。 「無事ですか、Jr.?」 「無事なわけあるかいー!!」 すぐさま返って来た元気な声に、アレンもホッとする。 「ウォーカーは勉強中ですので、終わったらお手伝いに行かせると、料理長へお伝えください」 「それは俺を突き飛ばさなきゃ言えねーことさ?!」 アレンは尤もだと頷いたが、リンクは軽く鼻を鳴らした。 「邪魔をされては時間を食いますので。 苦情はのちほど!」 ぴしゃりと窓を閉め、寒風ごとラビの喚声を塞いだリンクが振り返る。 「さぁ! 余計な期待をせず、ちゃっちゃとやってしまいなさい!」 「ふぁい・・・」 たとえ助けが来てもまた追い返されるのだろうと察して、アレンは渋々ペンを進めた。 「お前、なんで頭に枝つけてんだ?」 食堂へ戻って来たラビに神田が不思議そうに問うと、彼は憮然として頭を払った。 「アレンを呼びに行ったら、リンクに窓から突き落とされたんさ! あんのホクロ2つめ、俺の優秀なおつむがダメージ受けたらどうしてくれんさ!」 「優秀かどうかはおいといて」 「おいっ!」 余計なことを言う口を背後から引き伸ばしてやると、リナリーが慌てて首を振る。 「まっ・・・窓から突き落とすなんて酷いね!」 ラビの手を振り解き、言い直したリナリーは、お菓子のクリスマスリースにリボンを結びながら頬を膨らませた。 「あの人達って、いつもそうなんだよ! 自分達だけが正しいと思って、他の団員をいじめるんだ!」 「・・・・・・ぶっ潰してぇよな」 リナリーと同じく、彼らにはいい思い出を持たない神田がぽつりと呟いてジンジャークッキーを置く。 続いて立ち上がった彼を見上げて、リナリーは声を弾ませた。 「殴りこみ?殴り込んじゃう?」 期待に目を輝かせた彼女の頭をしかし、神田が呆れ顔で掻き回す。 「なんでそうなるんだよ。 お前、奴らに対しては容赦ねぇよな」 「三つ子の魂百までだよ!!」 こぶしを握って立ち上がったリナリーの肩を叩いて座らせ、神田はリボンをかけ終えたジンジャークッキーの籠を取った。 「終わったからジェリーに届けんだよ」 「もう終わったの?!速いなぁ!」 「どうせまた次々に来るんさ。 アレン、さっさと課題終わらせて、手伝いにこねぇかね」 リナリーの隣に座って、キャンディーケーンにリボンを結び始めたラビがため息を漏らす。 「まったく・・・学習能力ってないんさ?」 窓の外を次々と通過していく、まだ飾りのない樅ノ木に、リナリーもげっそりと吐息した。 「今年は一体、どれだけ仕入れたんだか・・・生木でも、火をつけたら燃えるかな?」 大きな目でじっと見つめられ、ラビは居心地悪げに身じろぐ。 「放火は・・・よくないと思うさ・・・」 「・・・・・・ちぇっ」 意気地なし、と小声で呟いたリナリーは、ラビに頭をはたかれて泣き声をあげた。 「・・・なにやってんだ、あいつら」 リナリーの泣き声に振り返った神田は、呆れ顔で食堂を見遣った。 「いつものことじゃないのん?」 くすくすと笑うジェリーに肩をすくめ、神田は彼女の肩越しに厨房の奥を見る。 「あっちはいつものことじゃねぇだろ。なんでいんだよ」 忌々しげな声に、奥で作業をしていたサード・エクソシスト達がムッと振り返った。 「お忙しいようでしたのでお手伝いをしているのですが、なにか?」 嫌味ったらしいトクサの声に、神田は鼻を鳴らす。 「妙なモン盛ってんじゃねぇかと思ってな。 お前らが作ったのはぜってぇ食わねぇからな」 「んなっ・・・!」 「アンタはいつもお菓子なんて食べないでしょ!」 ジェリーに頬をつねられ、神田が憮然と黙り込んだ。 「この子の事は気にしないで続けちゃってん ホントアンタ達、手際がいいわぁん おかげで助かると、ジェリーは厨房の更に奥へ目を向ける。 「長官の仕込がいいんでしょうねぇん 「あぁ、彼らは私の目に適った者達だからね。 お菓子作りは玄人裸足だよ」 パイ生地を練りながら満足げに言ったルベリエに、サード・エクソシスト達が恭しく一礼した。 「・・・いつからここは中央庁に支配されちまったんだ?」 忌々しげな神田に、ルベリエが肩をすくめる。 「人聞きの悪い。 私達はちゃんと、邪魔にならない隅で作業しているじゃないかね。 そんな所に突っ立って、シェフ達の通行を妨げている君に言われたくないものだよ」 ルベリエの嫌味にサード・エクソシスト達が一斉に頷き、神田はムッと眉根を寄せた。 「長居するつもりなんざねぇよ。 ジェリー、さっさと次の寄越せ」 「ハイハイ。 もーゴメンなさいねぇ、皆さん この子、悪い子じゃないんだけど、口が悪いのん 母親のように場を取り成して、ジェリーがジンジャークッキーの詰まった籠を神田に渡す。 「ハイ、これよろしくねぇん アンタ達はお仕事早いから、ホントに助かるわん おだてることも忘れずに、早々に神田を食堂へ帰したジェリーへルベリエが感心した。 「あの神田を手懐けるとは、さすがに料理長だね」 「アラン 内心ではお互いに舌を出しつつも、表面上は和やかに会話する二人の間で、サード・エクソシスト達は黙々と作業する。 その手元では、とても戦闘集団とは思えない繊細さで、細々としたお菓子が次々と出来上がっていた。 クッキーにアイシングし、ショコラで人形を作り、飴細工で色とりどりのオーナメントを作って、既に出来上がっていたケーキやピエスモンテのツリーに飾りつけられる。 「おっと、私も早く作ってしまわねば間に合わないな」 にこりと笑ったルベリエが、葉型にくり抜いたパイ生地に葉脈を描き、オーブンに入れた。 「リーフパイはすぐにできるとして・・・マンマはガレット・デ・ロアがお好きだから、新年には少し早いが、アーモンドクリームのパイを作りましょう」 珍しくも蕩けるような笑顔でアーモンドクリームを作るルベリエに、テワクが眉根を寄せる。 「・・・長官といいリン兄様といい、なぜミランダ・ロットーにあんなに・・・」 小さくくぐもった声は、上機嫌で鼻歌を口ずさむルベリエには聞こえなかったが、傍らのマダラオにははっきりと聞こえた。 兄の苦笑に気づいて、テワクは頬を紅くする。 「・・・ごめんなさい」 「いや。 我らは長官のために作ればいい」 それが最終的にミランダの口に入るのだとしても、ルベリエが自慢に思ってくれるのならば栄誉なことだと囁かれて、テワクは小さく頷いた。 「では・・・私も少し、工夫することにします」 最終試験の時、リンクでさえ悔しがらせた才能をここでも発揮しようと、テワクは小さな指先を器用に動かして、ショコラのバラを咲かせる。 「食べるのがもったいないって、言わせてやるのです」 少し楽しげに言った妹の頭を、マダラオはバニラの香りがする手で優しく撫でてやった。 厨房と食堂で皆が忙しくしている一方、自室に閉じ込められたままのアレンは、恐る恐る提出した問題集の採点が終わるのを待っていた。 窓の外に枯葉が舞う様をぼんやりと見つめていると、大きなため息がして、アレンは嫌々リンクを振り返る。 「・・・あのさ、言い訳してもいいかな? 僕、学校って行ったことなくって・・・」 「私もですよ。 それでも自分の努力と向上心で、学問は身につくものです」 アレンの言い訳をあっさり封じて、リンクは一面に『×』印のついた問題集を突きつけた。 「辛うじてティモシーよりはマシというレベルですね。 まったく・・・クロス元帥は科学者でしょうに、弟子になにも教えなかったのですか?」 嫌味ったらしく問われて、アレンはこくりと頷く。 「師匠が教えてくれたのは、借金取りから逃げる方法と博打とイカサマ・・・」 「嘆かわしい!」 ビシリと遮られ、アレンは気まずげな上目遣いでリンクを見た。 「・・・生きるためには数学よりも役に立ちましたよ?」 「そう言う問題ではありません!」 またも厳しく叱られて、アレンが肩を落とす。 と、リンクは加減するどころかますます声を荒げた。 「いいですか、黒の教団に所属するエクソシストとは、神のイノセンスに適合した聖職者なのですよ! ヴァチカン直属の聖職者ともあろう者が、学がない上に借金だの博打だのイカサマだの! 敬虔なる在家信者の皆様に対して恥ずかしいと思わないのですか! いえ、思いなさい!恥ずかしいと! 今後は清廉潔白に生きるのだと、今すぐ主に誓いなさい!!」 ビシィ!と指差され、アレンは居心地悪げに首をすくめる。 「ヤダー・・・。 そんな誓いして、破ったら雷に打たれちゃうも・・・」 「破る前提で言うのはやめなさい!!!!」 「だって無茶すぎるよ! やんちゃ盛りのティーンに清廉潔白とか、最初から無理だもん!」 じたじたと足をばたつかせて金切り声をあげるアレンに、リンクのこめかみが引き攣った。 「君の行為が・・・いえ、君達の行為が『やんちゃ』なんて無邪気なものですか!! 私は誠実に任務遂行するつもりでいますが、君達の凶悪なイタズラには何度命を落としかけたか! あまりに不従順ならこちらにも考えがありますよ!」 リンクの手が、呪符を収めた胸ポケットへ伸びる様に警戒したアレンは、緊張気味に身動ぎする。 「な・・・なにするんだよ・・・!」 ちらりと覗いた白い札から目を離さず、問うたアレンにリンクは鼻を鳴らした。 「君、両手ききでしたよね。 ならば目と右手以外の全身を札で封じ、牢に閉じ込めて勉強させます」 「人権侵害――――!!!!」 「清廉潔白でない聖職者に人権などありませんっ!!」 窓から逃げ出したアレンを、呪符を掲げたリンクが追う。 「なんつー無茶苦茶な! 人権くらい尊重してくれたってさー・・・・・・」 と、苦情をあげる声は、途中で力なく寒風に流された。 「・・・ここに来てから・・・ううん、師匠の弟子になってから、僕に人権なんてなかったよねー・・・」 みんな意地悪だと、ぼやきながらアレンは唯一、彼を庇ってくれるジェリーの元へ走る。 宿舎の裏を駆け抜け、壁を登って屋根伝いに棟を渡り、裏庭を潅木に隠れつつ横切って、厨房の勝手口を開いた。 「ジェリーさん! かくまってくださいいいいい!!!!」 四つんばいになったまま、背後を気にしつつしがみついた足は、普段の彼女と感触が違う。 「ひょ?」 シェフの誰かかと思って顔をあげたアレンは、吊り上った目に見下ろされて、その格好のまま凍りついた。 「ウォーカー・・・! 君は監視対象でありながら、リンク監査官から逃げて来たのかね?」 厳しく問われたアレンは、頷くこともできずに強張った手をルベリエから離す。 ぎこちない動きで辺りを見回すと、唖然とするサード・エクソシスト達と目が合った。 「ひゅ・・・!」 四面楚歌ってこういうことかと、以前、ラビに教えてもらった故事を思い出したアレンは、また視線を巡らせて、必死に『味方』を探す。 と、開いたオーブンの扉の向こうに、ジェリーの長い髪が覗いていた。 「ジェリーさぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!」 「あ!コラ!待ちたまえ!!」 アレンは四つんばいのままちょろちょろとテーブルの下を駆け抜けて、ジェリーに泣きつく。 「アラン、アレンちゃんおはよぉ お勉強は終わったん?」 「う・・・そ・・・それがね・・・・・・!」 ルベリエ達が忙しく行き交うシェフ達に道を塞がれている隙に、アレンは早口にリンクの仕打ちを訴えた。 「ひどいでしょおおおおおおおおおお?!」 大声で泣くアレンに何度も頷き、ジェリーはポケットから出した大きなハンカチでアレンの顔を拭いてやる。 「よしよし、可哀想にねん! 大丈夫よん 言うやジェリーは、ようやくシェフ達を押しのけてアレンに迫ったルベリエ達に敢然と向き直った。 「長官! アタシ、アレンちゃんにお勉強をさせることは賛成いたしますけどん、拘束して無理強いするのは許せないわん!!」 「は?! 料理長、なんのことを言っているかは知らないが、私はウォーカーが監視をだね・・・」 「長官! 今がどんな時期か、もちろんご存知よねん?!」 大声で遮られ、一瞬、気を呑まれたルベリエが、気まずげに頷く。 「も・・・もちろん、わかっているとも! だから私達はクリスマスのお菓子をだね・・・」 「でしたら! クリスマスには戦争だってお休みになることもご存知のはずだわん!」 きっぱりと言われて、声を失ったルベリエにジェリーは更に畳み掛けた。 「学校も今は休暇中でしょおん?! なのに、アレンちゃんだけ拘束してお勉強だなんて、なんて酷いことするのん!」 「目と右手以外は全部呪符で封じて、牢屋でお勉強させるなんて言われたんです・・・! 僕に人権なんかないって・・・!」 ジェリーの背後に隠れたまま、彼女に縋って泣くアレンの声がわざとらしい。 が、そんな彼にも教団の母の愛は存分に注がれた。 「よしよし、怖かったわねん、アレンちゃん! ママンが絶対、そんなことさせないからねぇん!」 振り返った彼女に優しく抱きしめられて、アレンが子供のように泣き縋る。 「長官! このこと、ミランダが知ったらなんて言うかしらねぇん!」 「んなっ?!い・・・いや、それは料理長・・・! どうかマンマには内密に・・・!!」 大慌てで懇願するルベリエの姿に、テワクがまた、不満げに眉根を寄せた。 そんな彼女の背を、マダラオが宥めるように撫でる。 と、彼女はこくりと頷き、自分の作業場へと戻った。 これ以上ルベリエに幻滅したくないと言う思いもあったが、作業場のショコラを氷の上に置いたままで、放っておくと、せっかく湯煎したものが固まってしまう。 急いでボウルの中のショコラを確認すると、まだ十分な柔らかさが残っていた。 「良かった・・・」 ホッと吐息して、テワクは氷を下に敷いた台にショコラを垂らし、ヘラで薄く延ばす。 やや固まった瞬間に巻きつつ削り、あるいは花びら状に垂らしたショコラをすくい取って、バラの芯と花びらを作った。 「これだけあれば・・・」 小さな手で芯に花びらを巻きつけ、いくつものバラを咲かせる。 花びらの端には銀色のアラザンの粒を置いて露に見せ、軽く金粉を降りかけると華やかさも増した。 食べるのがもったいないと、誰もが言うに違いない。 頬を染めて満足げに頷いたテワクの肩越しに、誰かがバラを覗き込んだ。 「兄様・・・」 誉め言葉を期待して振り向くと、アレンが嬉しげに手を伸ばす。 「おいしそう!いただきます!」 ろくに鑑賞もせず、一口でバラを食べたアレンにテワクは唖然とした。 その目の前で、 「おいしいです! 中にバラのジャム?ジャムですよね? とってもいい香りです もう一個、と言いつつ、次々と口の中に放るアレンにテワクの頬が染まる。 「や・・・やめて!!!!」 大声で怒鳴るや両手で叩いたアレンの頬に、真っ赤な手形が浮いた。 「え・・・た・・・食べちゃダメでした・・・?」 「せっかく作ったのに・・・! 全然っ・・・見もしないで口に入れて・・・・・・!!」 顔を真っ赤にして、目に涙を浮かべるテワクに、アレンは慌てて頭を下げる。 「ご・・・ごめんなさい、つい・・!」 ジェリーは、少々のつまみ食いなら大目に見てくれるので、クセになっていた。 「えっと・・・おいしかったですよ、ホントに・・・」 「当たり前です!」 金切り声を上げたテワクが、マダラオに抱きついて泣き出す。 「あぁーあ、使徒様ともあろうものが、女の子を泣かすなんて酷いですねぇ」 トクサの嫌味な口調にもさすがに反論できず、なんとか取り成そうにも、マダラオが物凄い目で睨んでいて近寄れなかった。 「料理長、これは君の躾がなっていないのではないかね?!」 ここぞと先程の恨みを返すルベリエに、ジェリーも恐縮して謝るしかない。 「テワクちゃん、そんなに泣かないでぇん! アレンちゃんはアタシがメッ!ってするからん!ね?! ホラ、まだショコラは残ってるから・・・もう作るのヤだったら、アタシ作るし!ねっ?!」 大声で泣くテワクを宥めようとするが、彼女自身の泣き声に掻き消されて、ジェリーの声など聞こえていないようだった。 「ホンットーにごめんなさい!! 僕あの、お手伝いを・・・あぁっ!!」 慌ててボウルを取ろうとしたアレンの手が滑って、中のショコラを全部ぶちまけてしまう。 大きな音に振り返ったテワクは、丁寧に湯煎したショコラが床に流れてしまったのを見て、無言で呪符を取り出した。 「待ちなさい、テワク!!」 驚いたルベリエの制止も聞こえないのか、炎を纏った呪符がアレンへ投げつけられる。 「ひっ・・・!!」 逃げる間もなく、アレンの眼前に炎の塊が迫った。 咄嗟に出した左腕に熱を感じるが早いか、アレンの身体が爆風に吹っ飛ばされる。 「なっ・・・なんさ、今の?!」 食堂にいたラビが椅子を蹴って立ち上がった瞬間、爆風と共に注文カウンターの向こうから炎が溢れた。 「厨房で爆発か?!」 神田が素早く駆け寄り、炎を透かして奥を見る。 「ガス爆発かなんかさ?!」 「ジェリーとみんなは無事?!」 炎は収まったが、未だ吹き寄せる熱風に目を細めながらラビとリナリーが厨房を覗き込むと、奥では暴れるテワクが、マダラオに羽交い絞めにされていた。 「おい、どうした?!」 「怪我人は?!」 神田とリナリーが声を掛けると、振り返ったサード・エクソシスト達が手にした呪符を払って首を振る。 「厨房の皆さんは無事ですよ。約1名を除いてね」 サード・エクソシスト達が守ってくれたのだろう、厨房の中にいたルベリエ始め、ジェリーやシェフ達、そして調理器具や食材までもがいつもと変わらずそこにあったが、トクサが意地悪く笑って指した先では、こんがりと焼けたアレンが目を回して転がっていた。 「アレン?!お前、部屋にいたんじゃ・・・!」 駆け寄ったラビに抱き起こされ、アレンはくるくると回る目の焦点を何とか合わせる。 「うぅ・・・ごめんなさい・・・! もう・・・つまみ食い・・・しません・・・・・・!」 それだけ言って、がくりと首を落としたアレンに呆れ、ラビは未だ興奮した牛のように暴れるテワクを見遣った。 「あのー・・・ゴメンさ。 こいつ、めっちゃ反省してるから・・・許してやって?」 「一生!!許しません!!!!」 泣きながらの金切り声に、ラビだけでなくリナリーまでもが眉尻を下げる。 「本当にごめんなさい。 アレン君はもう、ここには入らせないから・・・」 「今すぐ!!!! 私の視界から出て行きなさい!!!!」 絶叫するや、大声で泣き始めたテワクに首をすくめたラビとリナリーは、急いでアレンを病棟へ連行し、神田は馬鹿馬鹿しい騒ぎに呆れてため息をついた。 「ほら・・・もう、ウォーカーはいなくなったから・・・」 「そろそろ泣き止みましょうね、テワク ショコラならホラ、私が使っていない材料がまだありますから、これをお使いなさい」 しがみついて泣く兄からは優しく背中を撫でられ、他人には嫌味なトクサにも優しく声を掛けられて、テワクもようやく落ち着いた。 「う・・・りょ・・・料理長、取り乱して申し訳ありません・・・・・・」 テワクを困惑げに見つめていたジェリーにぺこりと頭を下げると、彼女は笑って首を振る。 「ウウン!いいのよぉ! 悪いのはアレンちゃんだもんねぇ。 本当にゴメンなさいねぇ、テワクちゃん! お詫びにアタシもお手伝いするからん、何かやることがあったら言ってちょうだい?」 小首を傾げて問うと、テワクは小さく首を振った。 「いえ・・・。 自分でやることに意味があるので・・・・・・」 そうでしょう?と、目で問いかけたルベリエが、満足げに頷く。 「料理長、お申し出はありがたいが、彼らは優秀なパティシエだ。 いかなる物も、独自の工夫をやりたいのだよ。 君と同じくね」 プロとして扱えと言外に言われ、ジェリーは大きく頷いた。 「えぇ、アナタ達の腕は、アタシもよくわかっていてよん じゃあ、食材が足りなくなったら言ってねん いくらでも使ってもらって構わないわん 「ありがとうございます」 もう一度ぺこりと頭を下げて、テワクは振り返る。 と、アレンがこぼしてしまったショコラは既に片付けられ、すぐに作業ができるよう、材料も整えてあった。 同じ境遇にあっただけでなく、同じ日に最終試験を受けた者同士として、彼女の手順を知り尽くした仲間ならではの手際だ。 「ローズ・エリキシール、ここに置いておく」 「ショコラ・・・削っておいたから」 キレドリとゴウシが無愛想に、しかし、必要なものを十分な量揃えてくれた。 「あ・・・ありがとう・・・・・・」 恥ずかしげに頬を染めて、ボウルを手にしたテワクの傍に、兄が無言で湯煎用のボウルを置いてくれる。 「さ、ちゃっちゃと溶かしてくださいね」 笑い含みに言ったトクサは、テワクの炎で溶けてしまった氷を改めて敷き直してくれた。 「出来上がりが楽しみですね」 にこりと笑ったルベリエに頷き、テワクは小さな手を懸命に動かしてショコラを湯煎する。 「もっと・・・きれいなバラを咲かせます・・・!」 ほんのりと笑った彼女に笑って頷き、彼らも自身の作業に戻って行った。 「・・・ホントに馬鹿さね、お前は」 その頃、病棟に連行されたアレンは、軽度とは言え全身に火傷を負い、包帯でぐるぐる巻きにされてミイラのような姿になっていた。 その上、事情を知ったラビに心底馬鹿にした目で見られ、居心地悪げに身じろぐ。 「普段からつまみ食いばっかりしてるからだよ。 あのテワクって子、すごく泣いてたもん・・・よっぽどの自信作か、別の人に食べてもらいたかったんだろうな」 呆れ顔のリナリーに何度も頷き、ラビはベッドの上で動けないアレンの鼻を弾いた。 「きゃふんっ!」 「すんげー気合入れてたんだろうに、こんな子豚にパクパク食べられちったら、お菓子の代わりに子豚の丸焼き作ってやろうと思っても仕方ないさね」 「も・・・反省してるってば! そんなにいじめないでよう!」 泣き声をあげて、アレンは不自由な手でひりひりする鼻を撫でる。 「うう・・・! 呪符じゃないってだけで、ほとんどリンクの言った通りになっちゃった・・・。 この包帯、いつになったら解いていいのかなぁ・・・」 これじゃあハロウィンだと、しくしく泣き出したアレンにリナリーが吹き出した。 「あ・・・ごめん・・・!」 アレンにじっとりと睨まれて、リナリーは気まずげに咳払いする。 「・・・うん! 酷いよね、リンク監査官! アレン君に人権はないなんて!」 言い繕うと、アレンは何度も頷いた。 「でしょぉ?! 僕は学校行ってないんだから、数学なんてわからないって言ってるのに・・・」 「私も学校行ってないけど得意だよ、数学」 「俺も学校行ってないさー でも、おべんきょ全般得意 「・・・どうもすみませんね、無学で・・・」 学校に行っていないことなど、ここでは何の言い訳にもならなかったと改めて思い知らされ、アレンは憮然とする。 「そんなにリンクの授業がイヤなら、俺が教えてやっけど?」 クスクスと笑うラビに、アレンは深いため息をついた。 「できればそうして欲しいですよ。 でも、監視の一環だってリンクが・・・・・・」 「だよねー・・・・・・」 苦笑してリナリーが頷く。 「じゃあ、そろそろ来るんじゃないかな」 「あー・・・やっぱり?」 肩越し、病室のドアを見遣ったリナリーに、アレンが乾いた声をあげた。 「あの足音って・・・そうだろうさ、やっぱ」 ラビが苦笑するや乱暴にドアが開き、分厚い本を何冊も抱えたリンクが現れる。 「ウォーカー、続きをやりますよ!」 枕元に置かれた本の数に唖然とするアレンを睨み下ろしながら、リンクはリナリーとラビに手を払った。 「そこの二人、出て行きなさい!」 「えー!」 「俺らも見物・・・いや、見学するさ 不満げなリナリーの隣でラビがにんまりと笑い、枕元に置かれた本をめくる。 「歴史なら俺の方がぜってー詳しいぜ 「それなら私だって、数学は監査官より上手に教えてあげられるよ!」 退室断固拒否の二人に舌打ちし、リンクはベッドの傍に椅子を引き寄せた。 「では、決して邪魔をしないように! この邪悪な子供がようやくおとなしくなったのですからね!」 「いや、好きでおとなしくなったわけじゃ・・・」 「いいからペンを握りなさい! 左手は使えるのでしょう?!」 反駁を怒声で封じられて、アレンは渋々ペンを持つ。 そんな彼に頷くと、リンクはベッドの上半分を起こしてアレンの膝に手書きの問題集を置いた。 「ほえ?いやに簡単な問題さね」 「アレン君も、このくらいならすぐ解けるよね?」 横から覗き込んだラビとリナリーが、無意識にプレッシャーをかける。 と、リンクがぽふん、と手を叩いた。 「・・・そうです。 二人には先に、これを見てもらいましょうか」 そう言ってリンクが差し出した答案を見た二人が、そっくりに眉根を寄せる。 「なんだこりゃ。ひっでぇもんさね」 「ケアレスミス・・・じゃないね。本気で間違ってるね」 呆れ顔の二人に見つめられ、アレンは真っ赤になった顔に汗を滲ませた。 「これではヴァチカン直属の聖職者として、あまりにも恥ずかしいので勉強しろと言ったのですが、何か異論は?」 アレンには意地悪く聞こえた質問に、ラビとリナリーは首を振る。 「異議なしさ!」 「アレン君、もっとがんばろうね!」 あっさりと寝返った二人に文句も言えず、アレンは頷くしかなかった。 「は! この反抗的な子供にも、ようやく学問の大切さがわかったようですね!」 視覚的にも感情的にも思いっきり上から言われて、アレンは頬を膨らませる。 「少なくとも、君と同じ年頃の子供と同じ程度の学力はつけるべきです」 「それも異議なしさ」 「アレン君ならもっと上を目指せるよ!」 完全に逃げ道を塞がれたアレンは、またも頷くしかなかった。 ため息をついて問題を睨む彼の傍らで、リンクの持ってきた本をめくっていたラビが、ふと手を止める。 「あのさ、リンク。 こいつの怪我の理由、聞いたさ?」 ぎくりと手の止まったアレンに鼻を鳴らし、リンクは頷いた。 「トクサから、実に詳細な報告を受けましたよ。 私がこのクソガキを逃がしたせいでテワクが泣いてしまったと、たっぷりと嫌味を込めてね」 「嫌味だもんねぇ、あの人。 監査官より陰険な人って、そうそういないと思ったけど、上には上がいるもんだねぇ」 「・・・なにが言いたいのですか、リナリー・リー」 ムッとしたリンクに、リナリーは舌を出す。 相変わらず仲の悪い二人に笑って、ラビはリンクが手にした本を指した。 「お前、いっつもその本読んでっけど、もしかしてあのサードの連中も持ってんの? みんな一緒に長官とお菓子作ってんの見た時ゃ、ちょっとびっくりしたさ」 「長官と・・・・・・」 不満そうに眉根を寄せて、リンクは手の止まったアレンを睨む。 慌てて問題集に向き直った彼に鼻を鳴らして、リンクは頷いた。 「私も、このクソガキが素直に課題を終えていればご一緒したのですよ。 私は・・・一応、彼らの中で最も製菓の点数が高かったのですから」 「点数って・・・鴉になるのにお菓子作りの試験があるの?! 似合わない!!!!」 思ったことを素直に言ってしまって、またリナリーが睨まれる。 「別に、意外でもなんでもないでしょう。 戦闘員は戦況に応じて臨機応変に対応できるかが求められますが、それら創意工夫を学問ではなく、お菓子作りで鍛えられただけです」 「だけ・・・なんだ・・・・・・」 どんな臨機応変と創意工夫だと、リナリーが難しい顔をした。 「・・・だめだ、どこをどうすればそんな訓練になるのか、わかんないや」 諸手を挙げたリナリーに、リンクはいつも持ち歩いている本を掲げる。 「これは長官が上梓された本ですが・・・これこそ想像力の源です! 基本のレシピが、想像力次第でいくらでも美しく美味しく生まれ変わるという証明なのです!!」 拳を握って熱く語るリンクに、ラビがぽふんと手を打った。 「そいや、来る度に新作のお菓子作ってくるよな、あの人」 「・・・どうせ食べてなんかあげないんだから、わざわざ作って来なくていいのに」 リナリーの忌々しげな呟きはリンクにしっかり聞かれて、物凄い目で睨まれる。 「ならば自分で作ってみればいいでしょう。 そうすれば、いかに長官の新作が素晴らしいものか、一目でわかりますよ! ・・・もっとも、基本のレシピさえうまく作れない君には、創意工夫など無理でしょうが」 「ぬぁんですってえええええ?!」 椅子を蹴って立ち上がったリナリーを、ラビが羽交い絞めにした。 「お・・・落ち着けってリナ! 本当のことだろさ!!」 「なんだよ、ラビまで!!」 うりゃ!と、背負い投げられたラビがベッドの上に落ちる。 「ぎゃふんっ!」 避けられないアレンがラビに潰されて、あっけなく伸びてしまった。 「ぅあっ!!アレン君!!ごめんなさい!!」 慌てたリナリーの襟首を、背後からリンクが掴む。 「リナリー・リー・・・!」 凄みのある声に、凍りついた彼女をリンクは病室の外へ捨てた。 「出て行きなさいっ!二度と入って来るな!!」 「なんでー!!!!」 目の前で閉ざされたドアを叩くが、廊下にいたナース達に睨まれて気まずげに手を下ろす。 「・・・ちぇっ!」 不満げに舌打ちしたリナリーは、踵を返して病棟を駆け出て行った。 食堂に戻ったリナリーが厨房を覗き込むと、そこではまだサード・エクソシスト達が作業をしていた。 「でも・・・長官はいなくなったかな・・・?」 天敵の不在を確認して、厨房に入ろうとした彼女の襟首はしかし、またも背後から掴まれる。 「んなっ?!」 「なに堂々とサボってんだ、テメェ」 振り返った先に神田の怖ろしい顔があって、リナリーは竦みあがった。 「サ・・・サボってなんかないよ・・・? アレン君を病棟にだね・・・!」 「モヤシの付き添いなんざ、鴉ヤロウ一人で十分だろうが! ウサギまで消えやがって、なんで俺一人でリボンかけやんなきゃいけねぇんだよ!」 「ちょ・・・絞まる!!絞まるってえええ!!!!」 遠慮なく襟首を引いてテーブルまで引きずって行く神田に、リナリーが悲鳴をあげながらついて行く。 「オラ! とっととやんねぇと終わらねぇぞ!」 未だうずたかく積みあがったジンジャークッキーとキャンディケーンの前に座らされ、リナリーは仕方なくリボンを取った。 「ねぇ、これ・・・この山だけ終わったら、ちょっとサードと話していいかなぁ?」 手近にあった一番小さな山を指すリナリーを、神田がじろりと睨む。 「このテーブルのもんが全部終わったらな」 「無理だよう! こんなの、今日中に終わんないもん!」 その間に彼らがどこかへ行ってしまうと焦るリナリーに、神田が舌打ちした。 「あぁ、2人じゃぜってぇ終わらねぇな」 2人じゃ、と、嫌に強調した彼に目を見開き、リナリーは自分の無線ゴーレムを取り出す。 「エミリアエミリア!ティモシーのお勉強終わった? お願い!すぐ食堂に来て! 神田が困ってるから、オーナメント作り手伝ってあげてぇ 一人確保、と、邪悪に笑ったリナリーがまたゴーレムへ話しかけた。 「クラウド元帥、神田が食堂で一緒にオーナメント作りやりましょうって言ってますぅ 「言ってねぇよ!」 嫌な二人が揃いそうだと、顔を引き攣らせた彼にリナリーは舌を出す。 「まだまだだよ ティエドール元帥ぃ 神田がパパンに手伝って欲しいことがあるんですってぇ 「おい!!」 焦り声の神田にリナリーは、大丈夫と笑った。 「マリ、食堂で神田が困ってるから仲裁してあげて これで文句はないだろうと、リナリーは早速立ち上がる。 「あとは神田のことが大好きなみんなが手伝ってくれるよ!よかったね!」 「なに争いの種撒いてやがんだ、テメェは!!」 椅子を蹴って立ち上がった神田の背に、柔らかく弾力のあるものが押し付けられた。 「来てあげたわよ、ダーリーン 「げ・・・!」 背中に抱きついたエミリアの笑顔を肩越しに見て、神田の顔が引き攣る。 「は・・・離れろ!」 「なんでよぉ! わざわざ来てあげたんだから、このくらいいいじゃない 困ってるんでしょう?」 困っているのはこの状況だと、口にする前にエミリアが無理矢理引き剥がされた。 「ユーウ ママが来てやったぞ 「ちょっ・・・なにすんの、クラウド元帥! あたしが先に抱きついてたのよ!」 神田を抱きしめるクラウドを、エミリアも引き剥がそうとするが、それは巨大化した猿に掴まれて阻まれる。 「こんなことにイノセンス使っていいと思ってんの?!この不良元帥!!」 「そうだそうだー! クラウド、今すぐユー君を放さないと咎落ちしちゃうよ!」 出遅れたティエドールが駆け寄って、神田からクラウドを引き剥がそうとするが、それは間に入ったマリがやんわりと止めた。 「師匠、乱暴はいけません。 クラウド元帥も、神田が困っていますからどうか・・・」 温厚な取り成しに、北風のように頑迷だったクラウドの手も緩む。 「仕方ないな・・・。 それで、ユウ?何に困っているのだ?」 「あんたらにだよ・・・!」 ため息をついて辺りを見回すと、当然のようにリナリーの姿はなかった。 「あんのやろう・・・!」 「あぁ、これか? このオーナメント作るのか?」 「あたし!ダーリンの隣に座るうううう!!!!」 クラウドの気がそれた瞬間を狙い、エミリアが人間とは思えない力でラウの手を振りほどく。 「さ あたしが!あたしが手伝ってあげるからね、ダーリン 言うや神田を座らせたエミリアは、その隣の席を確保した。 「くっ・・・! お前、相変わらず油断も隙もないな!!」 クラウドも神田を挟んだ隣に座り、仕方なく対面に座ったティエドールの視界を積みあがったクッキーの山で塞ぐ。 「ユー君・・・! パパンも隣がよかった・・・・・・」 寂しげな声をクッキー越しに聞いて、神田はため息をついた。 「その山を片付ければいいんじゃないか?」 「そ・・・そうですよ、師匠。 さぁ、オーナメント作りましょう」 マリも乗ってくれて、ようやくティエドールがリボンに手を伸ばす。 「じゃ、多く作った方がダーリンの感謝のキス 「受けて立つぞ鬼嫁!!」 「それ、パパンもがんばっていいかな?!」 「・・・・・・しねぇよ」 最早逆らう気力もなく、神田はうんざりとリボンへ手を伸ばした。 「よしよし、うまく行ったぞよ 喧騒を厨房の中から覗いていたリナリーは、神田が彼女を引き込む所ではなくなったのを見て、満足げに頷いた。 振り返ると、忙しげに行き交うジェリーやシェフ達の向こうに、まだサード・エクソシスト達の姿がある。 「誰にしようかな・・・」 5人の顔を見比べて、まずは嫌味なトクサを候補から外した。 「やっぱり女の子かな」 彼らは誰もが無口で話しかけ難いが、テワクなら女の子同士ということで、なんとか話せそうな気がする。 「・・・そうだ、アレン君のことをきっかけにしよう」 こくりと頷き、リナリーはテワクが仲間から離れるタイミングを待った。 やがて、トレイにチョコレートのバラをたくさん乗せて、冷蔵庫へ向かおうとする彼女に先回りする。 「あの・・・テワク・・・さん?」 声をかけると、無表情な目がリナリーを見た。 「それ作ったの?すごくキレイだね!」 「・・・食べないでください」 リナリーから隠すように、テワクはチョコレートを大きな業務用冷蔵庫の中に入れ、素早く扉を閉める。 「も・・・もちろんつまみ食いなんかしないよ! アレン君が怒らせちゃったところ、見たもん!」 じっと睨んでくる彼女に慌てて手を振り、リナリーはそっと囁いた。 「あの・・・ね? リンク監査官に言われたの、長官の本は創意工夫の源だって」 「その通りです」 リンクの名にか長官の効果か、テワクの声にほんの少し、熱が加わる。 「リン兄様・・・いえ、リンク監査官は試験で唯一、私以上に得点しましたが、それは長官の教えに忠実だったからです。 製菓の腕では決して負けてなかったのに・・・」 小さく吐息した彼女に、リナリーは小首を傾げた。 「リンク監査官も、『一応』最高点だったって言ってたけど、お菓子作りの腕以外にも加点があったの?」 その問いに、テワクはこくりと頷く。 「私達にとって、製菓は臨機応変に対処できるかを見る場でもありました。 私は・・・製菓にのみこだわってしまい、リンク監査官のように時間配分と手順の論理性、速さを加える事を怠ってしまいました。 減点にはなりませんでしたが加点はなく、結果として二番手に甘んじることになりました」 「あぁ・・・そう言えばジェリーが、お料理はいかに論理的に動けるかだって言ってたなぁ・・・」 全ての料理を同じタイミングで仕上げるには、数学的な論理性が必要な場合があるからと、数学者であるリーバーが料理にはまっていた時期もあった。 「何をどこに置くか、という計画性もいるのです。 そういう全体的なことを考えろと、私達は製菓を学ばされるのですが・・・それがどうかしましたか?」 小首を傾げたテワクに、リナリーが大きく頷く。 「実はさっき、リンク監査官にケンカ売られちゃって!」 握った拳を震わせるリナリーに、テワクが眉根を寄せた。 「ケンカ・・・ですか? リンク監査官が?」 そんなに易々と感情を剥き出しにする人だったろうかと、訝しく思うテワクにリナリーがまた頷く。 「基本のレシピさえうまく作れない君には創意工夫など無理でしょう、なーんて言ってくれたんだよ、あの陰険! だから・・・!」 がしっと両手で手を握られ、テワクは目を見開いた。 「お願い! 鴉の人達が使ってるって言うテキストを、私に貸してくれないかなぁ?!」 「テキスト・・・ですか・・・?」 困惑げなテワクを、リナリーは真正面から見つめる。 「そう! そのテキストでお勉強して、言ってやるんだよ! 私にだってこのくらいできるのよーぅって!」 リンクの悔しげな顔を妄想し、高笑いするリナリーにテワクは唖然とした。 「ね?! テワクさんの無念を私が晴らしてあげるよ!」 「別に・・・無念だなんて思ってませんけど・・・・・・」 敗北の原因には納得し、補うべく努力してきたのだから、元よりリンクへの恨みも何もない。 しかし、リナリーは自身の怨みを投影し、聞く耳持たなかった。 「お願い!!!!」 断ってもしつこく絡んでくるのだろうと予想し、テワクは懐からルベリエの本を取り出す。 「リンク監査官がいつも持っている本です。 私達のテキストでもあって・・・基本のレシピはこの第1章から第3章までですわ」 「ありがとう!!」 受け取ったリナリーが、歓声をあげて本を抱きしめた。 「大切に使うから!ほんのちょっとの間、貸してね!」 早速踵を返そうとする彼女を、テワクが呼び止める。 「あの・・・先にこれだけは。 もし、試験と同じことをしたいのでしたら、課題はテキストからは出ません。 その基本をしっかりと学んだ上で、長官が作られた見本以外のものを作るのです」 「つまり、この本に載ってる基本に忠実に、本に載ってないものを作れってこと?」 「えぇ、オリジナル作品をですわ」 途端に気を殺がれたリナリーに、テワクは頷いた。 「できそうですか?」 何気ない問いだったが、自分より年下のテワクに言われて、リナリーはややムッとする。 「もちろん!がんばるよ!!」 強がりだとは一目でわかったが、それ以上は何も言わず、テワクはリナリーを見送った。 「遅かったな。何を話していたんだ?」 兄に問われて、テワクは首を振った。 「大したことではありませんわ」 リナリーが何を考えているのかは知らないが、彼女には関係のないことだ。 リンクと張り合うにしても勝手にすればいいと、テワクは肩をすくめた。 ただ、 「リン兄様・・・どうしてしまったのかしら」 「リンクがどうかしましたか?」 呟くと、トクサにも不思議そうに問われて、テワクは少し、眉根を寄せる。 「なんだか・・・リン兄様の雰囲気が変わった気がします。 以前はあんなに・・・」 生き生きしていたかしら、と言おうとして、テワクは口を噤んだ。 「どうした?」 兄の問いに、テワクは無言で首を振る。 自分達と共にいた頃、共に感情を失くし、共に人形のようになって行ったはずの彼が、ここに来たことで『生き生きしている』などと認めたくなかった。 昔からともにあった仲間よりも、ここの人間と交わることの方が楽しそうなどと・・・認められるわけがない。 「どうにも・・・アレン・ウォーカーに苦労しているようですからね」 テワクと同じことを感じたのだろうか、やや忌々しげに言ったトクサに、キレドリが憮然と頷いた。 「見てられないよね」 「あいつ・・・俺たちがここへ来た時、アレン・ウォーカーを庇ったよな・・・」 ゴウシも不満げに呟き、テワクはどこかホッとして頷く。 「兄様・・・」 傍らのマダラオを見上げると、彼はきつく眉根を寄せていた。 「兄・・・」 目を見開いたテワクに、マダラオははっとして眉根を開く。 「・・・心配することはない。 あいつも『鴉』だ。 任務に忠実なだけだろう」 「そう・・・ですね・・・・・・」 嫌味な笑みを浮かべたトクサは、マダラオに睨まれて慌てて作業に戻った。 「気にするな」 頭を撫でられたテワクは、兄も納得はしていないのだと気づきながらも頷く。 ―――― 今のリン兄様は・・・私達のことをどう思っているのかしら・・・・・・。 鴉として養育されたのは同じでも、テワクらが実験に身を捧げてサード・エクソシストとなった今、彼との繋がりも絶たれたように感じた。 それは彼らもなのだろう。 先に溝を作ったのは自身らなのに、妙にリンクを意識して、感情的にも身体的にも彼を避けていた。 なのにそれを認めたくなくて、彼が変わったのだと・・・彼が自身らを避けているのだと、皆が思い込もうとしている。 「あの子供・・・ウォーカーの影響かもしれませんねぇ・・・」 トクサの呟きに、彼らは無意識に頷いていた。 「あの子供が悪いのですよ、全部・・・ね・・・」 彼らの他に『悪』を作ることで、自身を正当化する。 愚かとは知りつつも、またもや皆が頷いた。 「リン兄様も・・・早く任務が終わればいいのに・・・」 そうすればまた、一緒にお菓子が作れるのにと、呟いたテワクに皆が笑って頷く。 「では、あの子供に毒でも盛りましょうか。 そうすれば、少なくともリンクの任務は終了しますよ」 トクサの冗談口に、笑いかけた彼らはジェリーに睨まれて慌てて手元に目を戻した。 「でも、いつか・・・・・・」 呟いたテワクの頭を、またマダラオが撫でてくれる。 「いつかは終わる。終わらないことなんかない」 「はい・・・」 頬を染めて、テワクは大きく頷いた。 ―――― 今度こそ、リン兄様に勝って見せるのです。 そうして鼻を明かしてやるのだと、心中に呟いたテワクは、ついさっきのリナリーを思い出し、吹き出す。 「どうした?」 驚く兄達に首を振りながら、テワクは随分と久しぶりの笑いを止めることが出来なかった。 To be continued. |
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2012年アレン君お誕生日SS第1弾です★ これはリクエストNo.72『長官と鴉』を使わせてもらってますよ かいんさんからのリクだったんですが、チャット中だったもんでリアルタイムでどんな風にするか聞いたのです。 最初に言われたのが、『鴉と長官のイヤンな話』だったもんで、『兄様とトクサができてる系とか?』なんつったら全否定されました(笑)>当たり前(笑) なので、なんだか妙に穏やかな鴉達の『コレジャナイ』感が出ていればいいなぁと(笑) 神田さんがドン引きするようなことを大真面目にやればきっと、『コレジャナイ』感が出るんだろうなぁなんて思いつつやって見ました(笑) ゆるーく笑ってもらえれば幸いです(笑) |