† The Rain Leaves A Scar †
5. Last rites.






 ―――― CD−ROMの回転する機械音と共に、『処理済』のパーセンテージが上がっていく。
 Uraniaは、無言で見つめていたパソコンの画面から顔をあげた。
 「これで終わり・・・」
 外を見遣ると、朝から降り続く雨が窓を濡らしている―――― あの日の雨は、もっと冷たかった。
 凍える手を暖めてくれる、あの手さえあれば、寒くなんかなかったのに・・・繋いでいた手は永久に奪われた。
 雨が降る度、たった一人の身内を奪われた喪失感と絶望感に、どれほど苦しめられたことだろう。
 同じ苦しみを、彼にも味わわせてやりたかった・・・。
 自身の犯した罪の大きさに、もがき苦しめばいいと・・・。
 その時、パソコンが小さく完了を知らせる音を上げ、Uraniaは視線を画面に戻した。
 パソコン内部に残ったデータの、完全消去。
 これで、UraniaがUraniaであった証拠は消え去った。
 Uraniaは微かに笑みを浮かべると、パソコン本体から消去ソフトのCD−ROMを取り出し、インターネットに繋ぐ。
 Uraniaでいる時には決して使わない室内の回線は、快適に『無駄なデータ』を読み込んでくれた。
 検索サイトや、当たり障りのない趣味のホームページを巡り、適当にキャッシュを増やしている間に、たまっていたメールも受信する。
 その中の一つを何気なく開いて、Uraniaは瞠目した。

 『To.Urania

 話がある。指定の場所まで来られたし。

 From.Lavi』

 「なぜ・・・・・・!」
 そう呟いたきり、Uraniaは絶句した。
 自分がUraniaだと、彼が知るはずがない・・・!
 無視しようかと、揺れる目に添付ファイルのアイコンが映った。
 震える手でポインターを操作し、開くと、花の画像と共に彼の『指定の場所』が記されている。
 「あ・・・・・・」
 思わず、窓の外を見遣った。
 ここからは民家や校舎が邪魔して見えないが、その教会は今も、降りしきる雨に濡れてひっそりと建っているはずだ。
 「・・・・・・っ」
 Uraniaはパソコンの電源を落とすと、立ち上がり、踵を返した。


 家に戻っていたラビは、深刻な顔でパソコンの電源を落とすと、部屋を出た。
 「なんじゃ、また出かけるのか」
 「ん。墓参り」
 出掛けに声を掛けた祖父に答え、ラビは濡れた傘を開く。
 「ちょっと遅くなるかもしんねーから、なんなら夕飯先に食っててv
 肩越しに振り向けば、ラビの表情に屈託を見たのか、祖父は訝しげな顔をした。
 「あぁ・・・気をつけてな」
 「ん」
 ひらりと手を振り、家を出る。
 朝から雨量の変わらない雨の中を、ゆっくりと教会へ向かった。
 ・・・電子メールなんて、瞬時に届いても、相手がいつ見るかはわからない。
 だが、ラビは確信していた。
 インターネットを使い、セキュリティを駆使して犯罪を計画、実行するUraniaは、ほぼ確実にヘビーユーザーだ。
 拘束時間にパソコンを触れない分、その他の時間はインターネットの出来る環境内に身を置いているはずだった。
 「無視されるってのも、アリかな」
 だが、添付ファイルを見れば、Uraniaが来ないはずがないとも思っている。
 「死んだ人間の力を借りるなんて真似、したかねェけどさ・・・」
 虚しく呟いて、ラビは道の途中で買った花束に額を寄せた。
 「Uraniaを救うには、あんたの力が要るんだよ・・・・・・」


 日曜の礼拝が終わった礼拝堂のドアを、Uraniaはやや乱暴に開けたが、そこには既に、誰の姿もなかった。
 「どこに・・・」
 はっとして、Uraniaは教会の裏手に回る。
 灰色の墓石が並ぶそこには、思った通り、鮮やかな紅い髪があった。
 「ラビ・・・」
 硬い声を掛けると、振り向いた彼は、Uraniaに懐こい笑みを向ける。
 「随分早かったさ。
 何時間でも待つつもりだったんけど」
 手にした傘を目深に差しかけ、Uraniaは表情を隠しつつ、ラビに歩み寄った。
 「どうして・・・こんなところに・・・・・・」
 震えそうになる声を必死に抑え、問いかけると、彼は花束を置いた墓へと向き直る。
 「墓参り。
 しばらく来てなかったなぁって、思ってさ」
 「そう・・・」
 Uraniaの暗い声音に、ラビは苦笑した。
 「花くらい、用意してくると思ってたさ」
 「あ・・・・・・」
 困惑げに呟き、俯いたUraniaの顔を、傘が覆う。
 「花の代わりに、手向けるものがあるからいいんさ・・・?」
 「・・・っ」
 再び振り返ったラビの顔からは、笑みが消えていた。
 「でもなんで、関係のない子まで殺したんさ?」
 「・・・何のこと?」
 開き直ったような、静かな呟きに眉を潜め、ラビは墓石に手を伸ばす。
 冷たく湿った十字架に手をかけ、祈るように俯いた。
 「百歩譲って・・・仇を討ったことには喜んだとしても、なんの関係もない子まで殺して、喜んでいるとは思えないさ!なぁ、『先生』?!」
 声を荒げたラビに、Uraniaはびくりと震える。
 だが、相変わらず傘を目深に差しかけ、表情を見せないUraniaに、ラビは踵を返して歩み寄った。
 「なぜ黙ってる?
 答えろよ・・・なんで殺した?!」
 ラビはUraniaの顔を覆う傘を、乱暴に跳ね除けた。
 「アレン!!」
 「・・・っ!」
 傘を跳ね除けられたアレンは、雨にさらされ、泣きそうに顔を歪めていた。
 「なんで・・・・・・」
 あえぐように呟いた彼に、ラビは目を細める。
 「なんで、お前がUraniaだって気づいたか、さ?」
 問い返すが、アレンは頷きもしない。
 ラビはため息をこぼすと、アレンに自身の傘を差しかけてやった。
 「お前は、色んなことを知りすぎてたんだよ・・・」
 「え・・・」
 彼の言う意味がわからず、眉をひそめたアレンに、ラビはまた、ため息をこぼす。
 「最初に引っかかったのは、俺が双子の死に疑問があるって調べてた時・・・屋上のフェンスに『指紋が残っていた』って言った俺に、リナリーが『犯人の?』って聞いたろ。
 そん時お前、『まさか』って言ったんさ」
 「そんなの、誰だって・・・・・・」
 「いや、明らかにタイミングが違うだろ。
 だってあの時のお前は、双子の人となりも屋上の状況も、『知らないはず』だったんだから」
 「ち・・・違いませんよ。
 だって、犯人が指紋を残してるなら、その双子の死が事故だって断定されるわけがないじゃないですか。
 ・・・そもそも、あの夜は雨だったでしょう?
 指紋が検出されるなんて思わないから・・・」
 「いつの時代の話さ。
 今時、雨に濡れたくらいじゃ指紋は消せねぇよ」
 ため息混じりに言われ、アレンはむっと眉を寄せた。
 「それだけじゃない。
 フェンスの繋ぎ目を塩酸で焼くのに指紋がつくはずがないって言った時、お前はすぐに納得した。
 2年生のリナリーでも知らないことを、なんでお前が知ってたんさ?」
 憮然と眉を寄せたまま、黙っているアレンに、ラビは続ける。
 「お前は昔から、よく迷子になったよな。
 ずっと騙してたとはいわねぇけど、今回はそれを利用したんじゃね?」
 「・・・どういう意味ですか?」
 「うちの学校に入学する前に、お前は何度か、校内に入ってる。
 その度に、迷った振りをして『犯行現場』にふさわしい場所を探してたんじゃね?」
 そして、入学説明会の日・・・やはり迷った振りをして体育館棟の屋上に上がり、フェンスを焼いた。
 そう断言したラビに、アレンは苦笑する。
 「塩酸なんて、どうやって手に入れるんですか。
 そんなもの、そこらで手に入るものじゃないでしょ?」
 「持ってる奴から分けてもらえばいいだろ?・・・そう、双子から」
 ラビの指摘に、アレンの眉が跳ねた。
 「チャットのログを見る限り、お前達はずいぶん双子と仲良くなっていたよな。
 だったら、あいつらがフェンスを焼くなんて、悪趣味な悪戯をしていたことも聞いたはずさ。
 Uraniaは『理性的な大人の管理人』だから、『塩酸を分けてくれ』なんて言っても双子は警戒するさ。
 でも、Amphitrite(アンフィトリテ)やThetis(ティティス)、Circe(キルケ)の誰かが、『自分もやってみるから分けてくれ』って、メールでも寄越したら・・・悪ふざけの大好きな双子は、条件次第じゃ喜んで、劇薬を送るだろうさ」
 と、アレンは口の端を歪める。
 「その三人は、Uraniaが一人で作ったログだって言ってたよね?
 それってずいぶん大変そう・・・僕のスキルじゃ、ちょっと無理じゃないかな?」
 笑って、アレンは両手を広げた。
 「ラビが一番よく知ってるでしょ、僕のスキル?
 タイピング下手だし、遅いよ?」
 「知らないことを知ってる振りすんのと、知ってることを知らない振りすんのとじゃ、後者の方がよっぽど簡単さ。
 確かにお前、タイピングは我流で遅かったけど、ソフトは大して教えてないのにすぐ使えるようになったし、入力ミスをしなかった・・・。
 医療系データの入力を、医療知識のないままやるのって、実はかなり難しいんだぜ?」
 「・・・なのに、下手だとか勉強について行けないとか言ったわけ?」
 ひどいんじゃない?と、笑うアレンを見るラビの目は冷たい。
 「知ってることを知らない振りをする・・・演技が過ぎたんさ、アレン。
 OSやHDDなんて言葉、ちっさくてもお前なら知ってたろ?
 なんたって、ウォーカー先生は情報処理の教科が専門だったし・・・トレ・トレの制作者だった」
 アレンはそっと、息を呑んだ。
 「・・・違うよ。
 だって、父さんが亡くなったのは5年も前だ・・・トレ・トレは1年前に閉鎖されるまで、普通に更新されてたじゃない」
 「だから、制作者だって言ってるさ。
 トレ・トレ管理人のクラウド先生に頼まれて、あのサイトの元を作ったのはウォーカー先生だよ」
 「何を証拠に・・・」
 「5年前・・・ウォーカー先生とお前がうちに来た時のこと、覚えてるさ?」
 「え・・・?」
 「俺の、パソコンの先生はウォーカー先生だったんさ。
 あの頃はもう、『教師』じゃなかったけど、俺は先生から色々教わってた。
 あの日はジジィが先生に、院内の電子化の件で来てくれるように頼んでて、ネットワークのことなんか、俺に教えてくれるついでに色々話したんさ。
 今度、進学する子達の参考になるようなホームページを作ろうと思うんだが、どんなのだったらアクセスしたいと思う?ってさ」
 「父さんが・・・ラビに・・・・・・?」
 軋みをあげるのではないかと思うほど、アレンの視線がぎこちなく動き、墓石を捉える。
 「あぁ。
 俺がいくつか上げた案を、『面白い』っつってくれて・・・その場でHTMLのタグ打ってくれたんさ」
 「なんでそんなこと・・・!」
 「俺が『見たい』って、頼んだから」
 すると彼は、持参のモバイルにタグを打ち込んで、どんなホームページになるかを見せてくれた。
 「それが、トレ・トレの原型さ。
 それを改装して、大きくしていったのはクラウド先生だけど、型を作ったのはウォーカー先生だった。
 お前、先生が遺したモバイルに、トレ・トレの管理者パスワードが入ってんのを見つけて、ミラーサーバーを利用することを思いついたんか?
 それとも・・・原型のタグを元に、新しくトレ・トレそっくりのホームページを作った?」
 「・・・・・・」
 無言のまま、答えないアレンをラビは見つめる。
 「どっちもでいいか・・・」
 呟いて、ラビは話を進めた。
 「そもそも、『Treasure,to leisure』ってサイト名をつけたのはジジィなんさ。
 タグで遊びながら、サイトの名前をなんにするかって話してた俺らに、お前の相手に疲れたジジィが声を掛けてさ、『Schoolの語源はギリシャ語の余暇だ。宝探しと組み合わせて、Treasure,to leisureはどうだ』って」
 「そう・・・だったんだ・・・・・・」
 「あぁ。
 ウォーカー先生、早速ロゴ作ってサイトアップして・・・クラウド先生に『原型が出来た』ってメールしてた」
 途端、アレンの目に涙が滲む。
 「父さんが・・・楽しそうなんだ・・・・・・」
 「え?」
 問い返すと、アレンは墓石に視線を据えたまま、独白のように呟いた。
 「夢に出てくる父さん・・・。
 すごく楽しそうに笑っているのを、僕は見上げてるんだけど・・・父さんは僕を見てなくて、なにか別のものを指して、大きな声で話してるんだ・・・。
 あれは、その時の記憶だったんだね・・・」
 「・・・そうかもしんないな」
 一瞬、瞑目したラビは、アレンの頭に手を載せた。
 「スキンが・・・先生を殺したのか?」
 ラビの手の下で、アレンがびくりと震える。
 「あいつが、先生をひき逃げした犯人だったんだな?」
 「・・・・・・・・・そうです」
 搾り出すように呟いたアレンの声は、苦渋に満ちていた。
 「僕をかばって・・・父さんは車に轢かれた・・・・・・。
 なのに、あいつは車を止めるどころか、そのまま逃げてしまった・・・」
 「なんであいつだって、断定できたんだ?」
 「断定・・・?
 忘れられるわけがないじゃないですか!
 横断歩道を渡る僕に気づいて、慌ててハンドルを切ったあの男の、こわばった顔・・・・・・!!」
 「・・・っ見てたんさ?!」
 なぜ言わなかった、と、問い返すラビの手を払い、アレンは歪んだ笑みを浮かべる。
 「言いましたよ・・・。
 似顔絵も作成してもらって、一度、あの男は捜査線上に浮かんだんです・・・!だけど・・・・・・!!」
 「また双子と・・・同じ手か・・・・・・!」
 「そうだよ!
 父さんを轢いた車はあいつのだって特定できたけど、それは前日に盗まれたんだって・・・その上あの日、あいつはあの場所にいなかったんだから、別人に違いないって証言まで出てきて・・・・・・!!」
 更に理事長は、スキンに優秀な弁護士をつけ、これ以上証拠もなく疑うなら、名誉毀損で訴えると言ってきた。
 それから五年、犯人が見つかるはずもなく、時効は成立してしまっている。 
 「時効を迎えた時・・・僕は怒りで気が狂うかと思ったよ!!
 あいつは父さんを殺しておきながら、捕まりもせずに堂々と日の下を歩いてるんだ!!」
 その瞬間、アレンの中に『Nemesis(ネメシス)』と言う、冷酷な人格が生まれた。
 「警察が何も出来ないなら、僕がやるしかないでしょう?!」
 涙交じりの声は震え、激昂のあまり音階を失って甲高く響く。
 神罰だ、と吐き捨てたアレンに、しかし、ラビは首を振った。
 「いいや・・・。
 お前は神なんかじゃない、人間さ。
 許しがたい仇がいたとしても、そいつを殺していいわけじゃない。ましてや―――― お前は、双子にしてもスキンにしても、自分の手を汚さなかった」
 責める口調のラビを、アレンは睨み返す。
 「あんな奴のために、僕が手を汚すいわれはないよ」
 「だからって、他人の憎しみを利用して、人の命をもてあそんでもいいって言うんさ?
 そんなこと、ウォーカー先生が・・・」
 「いい加減、父さんの名を持ち出すの、やめなよラビ!!」
 甲高い怒声で、アレンはラビの口を塞いだ。
 「一々父さんを引き合いに出すのは、僕を追い詰めるだけの証拠がないからでしょう?!」
 きつく睨まれ、ラビは吐息を漏らす。
 「そう・・・俺はお前の言動と、お前も知らない事情をかんがみて、お前がこの一連の事件を操る『Urania』だって気づいた。
 けど、『Urania』は狡猾さ。
 絶対に尻尾をつかませないよう、トレ・トレ以外のサイトは全部、国外のサーバーを使ってた。
 唯一、その痕跡が残るとすれば、お前のパソコンだけど・・・」
 微かに、アレンの唇が歪んだ。
 「・・・・・・消去済み、か」
 深く吐息し、ラビは首を振る。
 「・・・一つ、わかんねェことがある。
 なんで、ロードを導いた?
 お前が手を貸さなければ、彼女はあそこまで調べることは出来なかったはずさ」
 と、アレンの笑みが深くなった。
 「だって・・・単なる事故だと思われたら、やった甲斐がないじゃないですか」
 そこにはもう、無邪気な『幼馴染』の表情はない。
 邪悪で醜怪な宿怨に歪まされた魂を宿した少年は、むしろ楽しげに語った。
 「彼女を通して、理事長にも見せつけてあげたかったんです。
 自分の身内を殺した犯人が、平然と道を歩いている姿を。
 だから、彼女は死んでも死ななくても、どっちでもよかったんですよ。
 でも、彼女が死んで・・・僕の最も許しがたい人に、更なる苦しみを味わわせてやることが出来ました。
 今、彼は僕の味わったものと同等か、それ以上の苦しみを味わっている・・・・・・なんて、素晴らしいんでしょう!」
 舞台俳優のように大仰な仕草で両手を広げ、けたたましく笑う。
 「これにて全ての幕は降り、かくて復讐は果たされん」
 笑声をおさめたアレンは、芝居がかった台詞をはくとラビを押しのけ、地に落ちたままの傘を拾った。
 「じゃあね、父さん・・・今度は花を持ってくるよ」
 父の墓に向き直り、胸に手を当てて深々と一礼する。
 踵を返した背に、ラビは声を掛けた。
 「お前、外国の後見人のとこに行くんだって?」
 アレンは答えず、ただ、肩越しに微笑む。
 「じゃあ、覚えとくさ。
 この国の法律じゃ、海外に行っている間、時効は加算されない。
 お前が次にこの国に入った時、証拠が揃っていればお前は・・・」
 「揃いますか?」
 ラビに向き直り、ひた、と、彼を見つめる目は、静かな自信に満ちていた。
 「油断はなかったって、自信を持って言えるさ?
 UraniaがどうやってFloraとHebeに殺人を手伝わせたか、シュミレーションしてやった時は、えらく動揺してたみたいだけど?」
 笑みを浮かべたまま、答えないアレンに、ラビは続ける。
 「あの時、『信じられない』って呟いたんは、言い当てられたってことだと思ったけど?」
 「思うだけなら君の勝手ですとも。
 僕が、彼らの死を演出したのと同じく、ね」
 でも、と、アレンは笑みを漏らした。
 「証言を取ろうなんて、考えないで欲しかったな」
 「おや、ばれてたさ?」
 ラビが、墓前に置いた花束の中からからICレコーダーを取り出す。
 「アレン、自白は十分証拠になんだぜ?」
 「録れてればね」
 「え?!」
 ラビが慌てて手元を見ると、ICレコーダーの液晶画面は沈黙していた。
 「そんな・・・電源入れた時は確かに・・・」
 「君が、Uraniaの事を調べ始めた時にまずいと思ってさ、いつかこんなことになるんじゃないかなぁって思ったから、ICレコーダーの電池を、アルカリからマンガンに換えておいたんだ。
 僕が来る前から、電源入れておいたんでしょ?だったら、最初の世間話くらいは録れたかな?
 その前に切れちゃったかもね」
 「・・・ちっ」
 忌々しげに舌打ちしたラビに、アレンは無邪気な笑みを向ける。
 「ねぇ、ラビ?
 僕達、似てると思わない?」
 「・・・忌々しいこと言うんじゃねェさ、この腹黒小僧が」
 吐き捨てるように言うラビに、アレンは笑みを深めた。
 「似てるよ。
 僕が『敵』を追い詰めて復讐せずにはいられなかったみたいに、君は、相手が誰であろうと、真実を明らかにせずにはいられなかった」
 「・・・・・・・・・」
 「ベクトルが逆だっただけだよ。
 僕を追い詰めていた君は、明らかに楽しそうだった」
 アレンの言葉に、ようやくラビは頷く。
 「・・・・・・そうさな」
 Uraniaがアレンだと気づいても、ラビは彼を追い詰めるのに一切の手を抜かなかった。
 「確かに俺は・・・楽しんでいたさ」
 そのために、アレンが、蝋花が、そしてデイシャが犯した罪を知ることになっても。
 「ねぇ、告発するの?」
 その問いには、役に立たなかったICレコーダーをポケットに突っ込んで首を振った。
 「じゃあ、僕がいなくなった後、蝋花さんやHebeを追い詰める?」
 それにもラビは、首を振る。
 「俺には、そんな権利はない」
 「僕は追い詰めたくせに」
 俯いた彼にくすりと笑みを漏らし、アレンはラビに歩み寄った。
 「・・・・・・さよなら、ラビお兄ちゃん」
 「・・・っ!」
 顔をあげた時には、もう、アレンは背を向けている。
 「また・・・会えるといいね」
 平然と・・・いや、平然を装うあまり、平坦になった声で言い、アレンは振り向きもせず、歩み去った。


 家に戻ると、既に食卓についていた祖父がラビに声をかけた。
 「アレンが、後見人の元に行くそうだな」
 「あぁ・・・聞いたんさ?」
 「電話があった。
 お前には直接言ったそうだが、急なことで、私には時間が出来たら挨拶に来ると言うておった」
 「そ・・・か・・・・・・」
 悄然としたラビの様子に、ブックマンは厳しい目を向ける。
 「何があったかは聞かん。
 だが、好奇心が猫を殺すと言う。
 一時の興味を満たすために、今まで築いてきた物を壊すことは、頭のいい生き方とは思わんな」
 「ん・・・身に沁みたさ」
 力ない声をあげる孫に、ブックマンは苦笑した。
 「わかっておるなら良い。
 今後どうするかは、お前次第だ」
 「ん・・・・・・」
 そのまま、夕食もとらずに自室に戻ったラビは、役立たずなICレコーダーをベッドの上に放り出した。
 「やっぱ・・・触んなきゃ良かったさ・・・」
 もう、何度目かの呟きをもらして・・・ふと、ベッドの上に放り出したICレコーダーに目をやる。
 「・・・・・・もしかして」
 ラビが花束にそれを仕込んだ時、充電状況は間違いなくフルになっていた。
 アレンがメールを受信した時間からラビの行動を予測し、ICレコーダーの電源を入れた、大体の時間を推理したとしても、あそこまで自信を持って『録音できていない』と言い切れたのは、先に実験していたからではないだろうか。
 そう思い至って、ラビはICレコーダーの電池を入れ替えた。
 操作すると、先程別れたばかりのアレンの声が入っていた。
 中途半端に途切れた、遠い音声のデータとは別の日に録音された、鮮明な・・・ICレコーダーに向けて入れられた声が。
 『Uraniaが、誰かわかった、ラビ?』
 声を潜めているのは、ラビの目を盗んで録音したからだろう。
 『君がこれを聞いている時、どんな状況になっているかはわかんないけど・・・多分、僕は君に謝らなきゃいけない状況になってるんじゃないかな』
 その時、バックに少女の声が入り、録音は一時、不自然に途切れた。
 おそらく、リナリーの声だろう。
 ブツ、という、録音再開のノイズが入って、再びアレンの声が話し出した。
 『念のために言っておくけど、リナリー先輩は関係ないよ。どんなにあの双子を恨んでいても、先輩はこんな・・・罪は犯さない』
 ICレコーダーの録音日と時間を確認して、ラビは苦笑する。
 ロードが亡くなった翌日・・・リナリーが、双子への恨みを吐露した直後だった。
 『まぁ、君のことだから、そんな間違いはしないと思うけど・・・』
 「変な気、遣うんじゃねーの・・・」
 アレンの苦笑交じりの声に、思わず答える。
 『いつか君がこれを使う時のために、ちょっとイタズラしておくけど、許してね。
 僕の罪はいずれ、神様が裁いてくださるでしょ・・・』
 その言葉を最後に、音声は止んだ。
 『いつか君がこれを使う時のために・・・・・・』
 「バレバレさ・・・」
 その周到さには、ラビがよく知る幼馴染の無邪気さはない。
 この計画を実行する時・・・いや、計画した時からアレンは『Urania』になりきって、天の運行を司るがごとく冷静に、綿密に状況を読んでいったのだろう。
 「告解でさえボロ出さないなんて、可愛くねーやつ・・・」
 この録音にすら、アレンがUraniaだと確定できる言葉はなかった。
 憮然と呟き、ラビはICレコーダーを巻き戻す。
 『僕の罪はいずれ、神様が裁いてくださるでしょ・・・』
 神を名乗り、神罰を騙った人間は、どんな裁きを受けるのか――――・・・。
 『さよなら、ラビお兄ちゃん』
 別れ間際の、アレンの声を思い出し、ラビは立ち上がった。
 「ジジィ!ちょっと出かけてくる!!」
 初夏の日は既に落ちたものの、飽きず降り続く雨の中へ飛び出すと、傘を差すのももどかしく歩を早めて、男子寮を訪ねる。
 「アレンはっ?!」
 寮監を捕まえて尋ねると、彼女はラビの剣幕に驚きつつも首を振った。
 「まだ帰ってないわよぉ。
 さっき、遅くなるって電話があったから、てっきりあんたんトコだと思ってたけどぉ・・・アラ?!ちょっと、ラビ?!」
 彼女の話の途中で踵を返し、ラビは寮を出る。
 「戻ってないとしたら・・・」
 携帯を取り出し、リナリーにかけると、彼女はすぐに応答した。
 『アレン君?
 うん・・・来てたよ。
 なんでも、後見人に急かされてるから、今週中には向こうに行くって、兄さんに手続きを頼みに来た。
 チケットの手配とかあるから、明日は学校休むって。
 ついでに・・・私にもお別れを言ってくれたよ』
 悄然とした声に、ラビはちらりと苦笑を浮かべる。
 「ついでじゃねーさ。
 リナに用がないんだったら、わざわざ日曜に訪ねていかねーだろ」
 学校へ電話すればいいことだ、と、言い添えると、リナリーは涙交じりの声で笑った。
 『そうだね・・・。
 また、会えるよね・・・?』
 「あたりまえさ」
 淡々とした口調で言うと、彼女は安心したようだ。
 『ねぇ、ラビ・・・Uraniaのことなんだけど・・・・・・』
 「ん?」
 どきり、と鼓動が跳ねて、ラビは足を止めた。
 『本当にそんな人、いるのかな・・・?』
 「・・・なんで?」
 『だって・・・!
 やっぱり考えられないよ!4人もの人間を、直接手を下さずに殺すなんて・・・』
 それに・・・と、リナリーの声が、遠慮がちに低まる。
 『証拠なんか、ないじゃない・・・・・・』
 「ん・・・そうさな。だけど・・・」
 電話の向こうで息を呑んだリナリーの、次の言葉を封じるように、ラビは続けた。
 「これが俺の勘違いなら、それでいいんさ。
 全てを調べて、なにも出てこないんなら、これは『事件』なんかじゃなく、見た目通りの『事故』だったんだろうさ」
 何気ない口調で言えば、リナリーがほっと吐息する気配がする―――― 勘の良い彼女のこと、訪ねて来たアレンの様子に、何かを感じたのかもしれない。
 だが、ラビがあえて、未だUraniaを特定出来ていないと言ったことで、最悪の予想を回避できたのだ。
 ―――― ここで調べるのやめた、なんつったら、余計疑われるよな。
 それほどに、リナリーはラビの性格を知っている。
 「アレンに手伝ってもらえなくなるんは正直、残念だけど、この場合は仕方ねーよな。
 ところでリナは、おにーちゃんに聞いてくれたんさ?」
 ことさらに軽い口調で続けると、リナリーは慌てた声をあげた。
 「うっ・・・ううんっ!!
 アレン君のことでびっくりしちゃって・・・情報提供できなくてごめんね!」
 「了解。
 じゃあ、なんか聞いたら教えてくれなv
 ―――― 有益な情報なんて、ないだろうけど。
 その本音は上手に隠して、ラビは通話を切る。
 そのまま、リナリーの家へ向かう道に歩を進め、その途中で、傘を目深に差した彼を見つけた。
 悄然とした様子で足元を見つめ、ラビの存在に気づかず歩いてくる彼とすれ違いざま、その肩を掴む。
 「・・・っ?!」
 「レコーダー聞いたぜ、このイタズラ小僧が」
 驚いて顔をあげたアレンの目を、覗き込むように顔を近づけた。
 「一方的に『サヨナラ』なんて、生意気なんだよ、クソガキ」
 ぱしん、と、アレンの頭をはたいた手を、そのまま彼の頭に乗せる。
 「だっ・・・て・・・・・・」
 困惑げなアレンを、ラビは厳しい顔で見つめた。
 「お前、困った時はいつも、俺に頼ってきただろ?
 なのに、なんで今回は頼ってくれなかったんさ?」
 「それは・・・・・・」
 「自分一人で苦しんで、こんなことやらかして・・・馬鹿な『弟』さ、全く」
 言うや、ラビはアレンの頭を抱き寄せる。
 「いいか。
 お前がやらかしたことは、決して許されることじゃない。
 証拠はなくても、誰もお前がやったことだと知らなくても、お前自身が、お前の罪を知ってる」
 その言葉に、アレンはラビの胸にうずめたまま、身を硬くする。
 「お前は神に裁かれるんじゃない。お前自身の罪悪感に苛まれるんさ」
 「そんなこと・・・ない・・・・・・」
 震える声が、反駁した。
 「僕は・・・罪悪感なんて、ない・・・!」
 「虚勢を張るんじゃねーさ、ガキが!」
 ピシリと言われ、アレンの身体がびくりと震える。
 「さっき・・・俯いて歩きながら、何を考えてた?
 ちゃんと、リナリーの顔を見れたんさ?」
 「・・・っ!」
 「・・・Uraniaでいた時は、想像もしなかったんだろ?
 この計画を終えて、今まで通りでいられるかなんてさ」
 「・・・・・・」
 「いや、あえて想像しなかったんさ?
 遅かれ早かれ、お前は後見人のとこに行くことが決まってた・・・目的を果たしたら、そ知らぬ顔で外国に行って、ほとぼりが冷めた頃に戻ってくればいいと、あえて楽観的に考えたんだろ」
 無言のアレンに、ラビは吐息を漏らした。
 「随分苦労して、うちのガッコに入ったってぇのに、目的と結果がこれとはな・・・がっかりさ」
 思わず天を仰ぐが、そこには雨滴を落とす黒雲が垂れ込めている。
 「・・・がっかりだよ、アレン。
 何よりも、俺を頼ってくれなかったことがさ・・・・・・」
 抱き寄せた頭を撫でてやると、アレンの肩が、小刻みに震えだした。
 「アレン」
 手を離し、涙を浮かべた目を覗き込む。
 「兄ちゃんに言うこと、あるだろ?」
 慰めるように、幾分か和んだ目で見つめると、アレンの頬に、涙が伝った。
 「・・・め・・・なさい・・・・・・」
 「ん?」
 「ごめんなさい・・・・・・!」
 「ん・・・」
 ようやく出たその一言に、ラビは微笑み、アレンの頭をくしゃりと撫でる。
 「他には?」
 「・・・・・・・・・おねがい・・・・・・たすけて・・・・・・」
 「遅いんさ、ばーか!」
 ぱしん、と、またアレンの頭を叩いて、ラビは苦笑した。
 「ほれ、行くぞ!」
 「え・・・?どこに?」
 手を引かれ、たたらを踏むアレンに、ラビはちらりと微笑む。
 「しばらく帰ってこれねーなら、ウォーカー先生に花持ってけ。
 そんで、墓前でしっかり謝って・・・とっとと行きな」
 その言葉に、アレンは目を見開いた。
 「僕を・・・告発しないの?」
 「証拠がないっつったのは、どこのクソガキさ!」
 そう言ってラビは、忌々しげに舌打ちする。
 「・・・復讐なんて案外、清々しいもんじゃねぇだろ」
 「そうだね・・・」
 復讐したところで、亡くなった人間が生き返るわけじゃない。
 だが、そうぜざるを得なかったアレンの心情を知るラビには、その言葉を突きつけることは出来なかった。
 「信用するぜ。
 もう二度と、こんなことはしねぇってさ」
 「うん・・・・・・」
 並んで墓地に戻り、改めて花を手向けた二人は、長い間、かの墓石の前に佇んでいた。


 アレンが学校を去って数ヵ月後。
 長い夏の暑気からようやく解放された頃、生徒達は学園の理事長が代わったことを知らされた。
 多くの生徒にとっては、たいして興味のない話だろう。
 だが、配布された書面を見つめたラビは、その裏で起こった事を、なんとなく察した。
 「・・・・・・帰ろ」
 まだ多くの生徒達でざわめく教室を出、校舎を出ようとした時、背後から声がかかる。
 「リナ・・・」
 部活に行くところなのか、大きなバッグを抱えたリナリーが、ラビに駆け寄って来た。
 「ねぇねぇ、アレン君と連絡取ってる?
 元気なのかな?」
 気遣わしげに問う彼女に、ラビはにこりと笑う。
 「ん。元気みてーさ」
 「・・・っなによ!
 ラビとはメールしてるの?!私にはしないくせに!」
 憤然と声を荒げた彼女に何か言いかけたラビは、思い直してただ、笑った。
 「そだな。
 リナにもちゃんとメールするよう、言っとくさ。
 じゃあ俺、ジジィの手伝いがあるから!」
 リナリーに手を振り、校門を出て家に戻ったラビは、配布された書面を祖父に渡した。
 「あぁ。理事長が退任されたか・・・」
 「そう。
 んで、後釜に校長が座ったのはまぁ、順当だと思うんけどさ」
 ラビの笑みを含んだ声に、ブックマンも笑みを漏らす。
 「新しい理事の名・・・だな?」
 「クロス・マリアンって、確か、アレンの後見人だよな?」
 マグカップにコーヒーを注ぎつつ、ラビが笑った。
 「理事の権利を持ってたんは、このクロスって人と、ウォーカー先生と、どっちだったんさ、ジジィ?」
 「ウォーカー氏だ。
 彼は学校創設者の一族だったが、前理事長と対立してな。
 教師を辞めて、学校運営コンサルタントに転職したが、理事は辞めなかった」
 「へぇ・・・そんなこと、できるんさ?」
 「職能を伴わない栄誉職だったからな。別に、辞めても辞めなくとも、理事長はなんら痛痒を感じなかったのだろう。
 だが、ウォーカー氏はどうも、それをアレンに相続させたらしい。
 後見人が言い出したことか、アレンが依頼したことかは知らんが、理事権の譲渡、もしくは委任を条件に、彼はウォーカー氏の栄誉職が実際の権能を持てるよう、様々に法的手続きをしたようじゃな」
 「外国で、さ?」
 「国内でやれば、前理事長に見つかるだろう?」
 「大人って・・・・・・」
 ラビは、思わず呆れ声をあげた。
 「理事長が入院しておる隙に、手早く事を運んだらしい。
 まったく、世知辛いことだの」
 だが、と、ブックマンは微笑む。
 「アレンにしてみれば、『これにて全ての幕は降り、かくて復讐は果たされん』と言ったところか」
 その台詞に、ラビはぎくりと顔をこわばらせた。
 そっと、祖父の顔色を伺うが、彼は端然として、真意を見せない。
 「あやつも早く、帰ってくれば良いの」
 「・・・そうさな」
 祖父の呟きにラビは笑みを浮かべ、窓外の秋めいて澄んだ空を見上げた。




Fin.
 










リクエストNO.17『学園パラレル』でした。
なんで寮生・・・って、実はこのお話、私が中学生の時に初めて書いた『寮内で起こる連続殺人』という小説が元になっているからです。
・・・あ、いや、初めてお話を書いたのは小学生か。>国語の宿題だった。
『お話を書こう!』という宿題で、連続殺人の話を書く小学生・・・わぁ、こんな奴の担任にはなりたくねぇー;;;(でも実話)
ともあれ、このSSの元ネタは、現在、オリジナル小説にでてくるキャラクター達が日本人だった時の(笑)話で、『Murder in the raiN』(誤字にあらず)という題名でした。
流れは覚えてるのですけど、動機とトリックは忘れたので、今考えましたよ(笑)>じゃなきゃ、チャットなんて出てこない。
読みやすくするために、通常のチャットとは文章の向きが逆になってます。
ちなみにチャットは文字色以外、コムリンVが管理する我が家のチャットルームと同じつくりになっています(笑)
ご興味のある方は、覗いてみてください(笑)
 
※ 注意!!
* 劇薬の使用は大変危険です。絶対に、遊び半分では扱いませんように。
なお、話中のように、フェンスが塩酸で簡単に焼けることはありません。
 
* IPアドレス、ページソース等では、個人情報まではわかりません。
ただし、学校名や会社名など、大まかなところまではわかります。
お気軽に犯行声明なんかしちゃうと、簡単に身元が割れますので、ネット上では出来る限り、おりこうさんでいることをお勧めします。
なお、Psycheでは閲覧者様の身元詮索などは一切行っておりませんので、ご安心ください。
 
* オゴノリは実際に危険です。
絶対に食さないよう、ご注意ください。












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