殺 意 は 砂 糖 の 右 側 に
 
 




 
・・・フィリピンに行かんといけんですよ。

そんな無理難題を吹っかけられた天地光章は、なんとかして旅費を稼がなければならなかった。

別に、観光ではない。
龍之介の保護者(予定)・中畑保氏が、フィリピンに戦友の遺骨を捜しに行ってしまったと言うのだから、行くっきゃないのですよ。

しかし、光章は貧乏人である。
友人に借金を踏み倒され、居候まで抱えている。
ここで、『男の沽券』にこだわっている場合ではない。
恋人未満(笑)の一美の助けで、彼女が出場する『しろうと料理腕自慢大会』の手伝いに来た光章と龍之介。

料理を化学実験と勘違いしてるっぽい龍之介の奇行に乾いた笑みを浮かべながら光章は、この大会の主催者・柴崎家の三男・三津夫のことが気にかかっていた。
彼は昔、一美とつきあっていたことがあると言う。

心穏やかならぬまま、柴崎家の面々とコーヒータイムを過ごした直後、その悲劇は起こった。
彼らがコーヒーを飲んだまさにその場所で、毒殺事件が起きたのだ!

怖い刑事さんと怖い女性陣の中、龍之介の知性がひらめく!









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