夕 日 は マ ラ ッ カ の 海 原 に
 
 




 
草太郎を無事送り届け、龍之介の保護者を求めてハンドルを握った光章は、夜道で出会った水牛に驚いて車を路肩に乗り上げ、その地で信仰される神の像を壊してしまった。
道案内人・ラモスによると、それは排他的な一族が信仰する精霊の像だというのだ。
三人はたちまち不穏な男たちに囲まれた!

男たちに、無理やり彼らの集落に連れて行かれた光章の手に、精霊の力をこめた弾丸を装填した銃が握らされた。
彼らはちょうど、裏切り者を探す儀式をしていたところで、精霊の力をこめた弾丸は、どこにいようと裏切り者を打ち倒すと言うのだ。

光章は、儀式用の不気味な人形の前に追い立てられた。
人形を撃ったところで、人が死ぬはずがない。
そう思いながらも、躊躇せずにはいられない。
だが、集落の男たちは、龍之介の説得もむなしく、光章を追い立てる。

光章は、決意した。
人形を貫通した弾丸が人を傷つけることのないよう、細心の注意を払って、引き金を引いた。
が、銃声とともに血を撒き散らして倒れたのは、彼の背後にいた――――弾の当るはずがないラモスだった!

目の前で起きた殺人に、気の弱い探偵・龍之介はがんばる!
 や、山の神が、弾丸で、う、裏切り者を打ち倒すそうです・・・
 や、山の神の旦那が、裏ごし芋をぶち壊そうとしている―――と言っている可能性はないか?
 まったくありませんよぉ・・・









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