通常版、応援上映、4D版を見た上での感想になります。
長くなりますが、お付き合いください(笑)
劇場版の制作発表がされた際、キャストは文句なし、監督と脚本は知らない方だったんですが、『みんなご存じ・映画泥棒』の監督さんと、特撮界では知らぬ者のない名脚本家だと聞いて安心。
監督繋がりで、映画泥棒とのコラボも実現しましたよ!
episode1〜3まで見るのに、3回は映画館へ行かなければならないという、なんとも巧妙な罠(笑)
南海先生もびっくりです(笑)
episode1は、こっそり甘酒飲んでる不動と警察役の鶯丸、違法ダウンロードの時間遡行軍を斬る長谷部。
episode2は、三色団子を食べようとしている骨喰と警察役は日本号、違法ダウンロードの時間遡行軍を斬るのは薬研。
episode3は、お茶飲んでる鶯丸と警察役は三日月、違法ダウンロードの時間遡行軍を斬るのは山姥切でした。
episode1〜2で逃げられた映画泥棒を、3で仕留める流れですね。
狭い座席の間で、ひらみの芸術を披露する鈴木がさすがでした(笑)
さて、お待ちかねの本編。
本能寺焼き討ちから開始です。
4D版では、なだれ込む兵の振動や、矢が刺さる衝撃まで体感できます。
ただ、ここでは熱が感じられなくて、残念。
せっかく機能があるんだから、使えばいいのに。
外の騒ぎに目を覚ました信長が障子を開けると、既に火の海で、蘭丸に明智光秀の謀反を知らされますよ。
夜の場面から突然、昼の本丸。
審神者の御座所です。(いきなり眩しい)
ノベライズでは、この部屋を指して『上段の間』と言っていましたが、正しくは、室内の、一段高くなった場所を『上段の間』と呼びます。
部屋自体は、当主が常にいる場所なら『御座所』ですね。
なので、御簾を挟んで審神者が座る場所のみを、上段の間と呼びます。
本丸は、全体図も映りますが、城郭建築ではない模様。
どちらかと言えば、書院造かと。
しかし、敷地内には神社みたいな出立地や、道場かな?
平屋建ての建物もあるので、いろんな時代の日本家屋がミックスされている感じですね。
ただ、審神者の部屋はとてもセンスがいい。
主は高齢男性ですけど、東山文化が好きな人かなぁと推測。
本丸の各所に置かれた壺は、男士達にいくつか割られたと思う・・・。
でも、この主さんなら、叱りはするけど怒りはしないんじゃないかな、という穏やかさですよ。
きっとガチギレした歌仙を宥めて、新しいのを揃えてくれ、と言うタイプ。
この主さんだから、三日月も平伏するし、対等な口を利きながらも敬意を払っているんだろうな。
・・・うちのジジィは主舐めまくりで超上から目線だわ。
私なんか御座所に寝転んで、みっちゃんと歌仙に『はしたない!!』って怒られまくりだからね。
特に歌仙になんか、『腰疲れたから、帯解いていいー?』なんて言っちゃって、心底呆れられてるから。
意外と女子の礼儀には厳しい兼さんに、『裾!蹴るな!!』って、歩くたびに怒られてます。
・・・うちはともかく。
こちらの本丸は、担当の時間軸に次々攻め込まれ、顕現した男士のほとんどは遠征中。
出陣できるのは、三日月、山姥切、長谷部、薬研、不動、日本号の6振りのみで、あとは留守居役の鶯丸を残すのみですよ。
『(本能寺には)行かせたくない者もいる』と言う主に、皆、初陣ではないからと微笑む三日月が美しいです。
この本丸には、優しさと哀しさが漂う。
そして戦場へ向かう隊の、一振りずつ紹介する場面がかっこいい。
監督、見せ方わかってる!!
こんのすけ駒狐に囲まれた社で、時代を超える場面も、花吹雪に包まれて美しかった。
4D演出だと、風と共に花の香りが漂います。
場面戻って本能寺。
攻め込んだ明智軍の前に、時間遡行軍が立ちふさがります。
信長を逃がすと共に、明智光秀の命を奪えば一石二鳥じゃね?ってところですが、そうはさせませんよ。
三日月以外の男士対時間遡行軍。
とうらぶ的に肝心の殺陣もめちゃくちゃかっこよし!!
舞台で何度も殺陣を演じているメンバーは、さすがですよ。
薬研&山姥切対無銘の戦いは、4回目観るまで全く目で追えませんでした(笑)
『映画だからな。早回ししてるんだろうな』と思っていたんですが!
『殺陣の速さにカメラがついていけずに、殺陣師さんがカメラ持ってついてった』って・・・え?
あの速さを、早回ししていない・・・だと?
どんだけすごいことをやっているのかと!
ちなみに、『時代劇はやっぱり昔の方がいい』と思う人が多いだろうけど、幼い頃から時代劇を見て育った私がこっそり教えよう。
素早くてカッコイイ納刀(刀を鞘に収める)ができなくて、抜刀したシーンを逆回しで納刀シーンにしてた大御所、何人もいるぞ。
誰とは言わんが、S御大とか。(ほぼばれww)
それを、彼らはやるんだよ。
殺陣も全て、吹き替えなしでやるんだよ。
『殺陣は吹き替えなしですよ』って情報を冒頭に流してやれば、時代劇ファンほど、あの映画の評価は高くなる。
時代劇チャンネルで流してほしいな。
きっと、映画本丸の主みたいな高齢審神者増えるから(笑)
さて、本能寺焼き討ちも半ば、屋内へ駆け込む蘭丸をそのまま見送る長谷部と日本号、そして不動。
かつての主が死ぬとわかっていても、行かせなければいけない、助けてあげられない不動は、『ごめん・・・』と一言。
ここが、『初陣ではない』不動なんだろうな。
屋内へ逃げ込もうとする遡行軍を追った三振りは、敵を切り伏せて屋内から出てきた三日月に、これ以上の侵入を制されます。
特に不動を制して屋外を任せ、三日月は一人、信長に迫る遡行軍を倒しに行きますよ。
自決しようとする信長の前で、襖を開け放つ遡行軍。
それを切り伏せて、信長へ微笑みつつ、『為すべきことをなせ』と言い放つ三日月。
この、襖を挟んで会話をするシーン。
三日月は人ではなく、あくまで刀剣だと言わんばかりの無機質な笑み。
微笑んでいながら、ひどく冷たく突き放す、人ではない存在感。
こんな表情を演技でできる鈴木拡樹こそ、人なのか。
信長目線で見れば、自分を討ちに来た光秀よりも、三日月こそが死神に見えたかもしれない。
襖越しに横顔しか見せない演出も、まさに三日月でした。
にこやかなジジィもいいんだけど、刀剣らしい、無機質な無表情がすごく好き。
舞台でも、笑みをふっと消した時の表情が大好きだから、私は鈴木の無表情が好きなのかもしれない(笑)
襖を閉め切れば、途端に厳しい顔。
余裕に満ちた動きで複数の敵を切り伏せる。
本能寺の燕紋が描かれた襖の向こうの気配を探るような、冷たい表情がまた、人ではないものを表して素敵でした。
ただ、ここで信長の死亡を確認はしませんでしたね。
彼には、早く本丸に帰りたい理由があったから。
屋外に出れば、かつて信長を主とした不動、薬研、長谷部がつらそうな表情で、焼け落ちる本能寺を見つめますよ。
そんな彼らを急かすように、本丸への帰還を促します。
いつもの彼らなら、まだ敵が、それも、大太刀なんて大物が残っていることに気づいたでしょうに、三日月も織田組も、今回はそれどころではなかったのでしょうね。
ちなみに、最後の敵と思われた遡行軍を倒した日本号が、大きく吐息するのですけど、息が白くなるのはなんとかできなかったのかなぁ・・・。
撮影は冬でも、本能寺の変が起きたのは夏なんだから、ここは消しておいてほしかった。
本丸に帰還した一行を迎えたのは留守居役の鶯丸と、顕現したばかりの骨喰でした。
三日月と薬研は、骨喰が記憶を失っているなんて知らないから、久しぶりとか話しかけてしまいますけど、困惑した骨喰がいかにも心細げで、改めて『そうか、最初に顕現した骨喰って、こんな反応なんだ』と気づかされましたよ。
長谷部役の和田雅成が、『脚本家の小林さんよりも、絶対に自分の方が長谷部のことを考えていた時間は長いのに、長谷部ってこうなんだ、というものを見せつけられて悔しい』的なことを言ってましたが、私はこれを骨喰で体感した気分。
脚本家の目って、すごいな・・・。
鶯丸は、廣瀬さんだけあってさすがの美貌と存在感。
三日月と並ぶと、美の競演かよ、って惚れ惚れですよ。
原作通りの鶯丸は、ステ本丸で大包平を楽しそうに見守る前山剛久の方が近かったと思うけど、廣瀬さんはあの本丸にふさわしい、美しくて強くて穏やかな鶯丸でした。
そんな鶯丸は、みっちゃんのいない本丸でお母さん役でもあるのか、酔いしれている不動をたしなめますけど、三日月に目で制されてしまいますよ。
言葉はなくても、ちゃんと意思の疎通ができる二人が、いかにも長い時を共に過ごした雰囲気で素敵。
きっと、あの主の下で三日月と三人、穏やかに茶飲み話をしていたんだろうなぁと。
他愛のないことで笑っていたんだろうな。
この本丸の鶯丸は、前ちゃんのようにあどけなく笑うことはないのだけど、すべての所作が優美です。
一人で主のもとへ行ってしまった三日月に不満そうな長谷部も制して、みんなでティータイム。
不動が日本号のことを『号ちゃん』と呼んでて、『篭手切江が出てきたら呼び方どうするんだよ』って思ったらまさかの・・・いや、それは後で。
茶飲み部屋では、骨喰の記憶がない理由を知らされた薬研が、心なしかしょんぼりしているように見える。
あと、酔って寝てしまった不動に上掛けをかけてやるのだけど、結構雑(笑)
もうちょっとちゃんと掛けてあげなよ(笑)
骨喰は記憶がないゆえの純粋さで、『みんな、織田の刀なのか?』なんて地雷を踏みますけど、意外にも長谷部がむきにならなかった。
初見時、私の方がひやっとしたもんだが、落ち着いて『まぁ俺は、下げ渡された口だがな』って自分から言う彼に、『そうか、初陣じゃないんだよな』って、再び感心。
こんな本丸もあるんだな。
老練な主の本丸ならではかもしれない。
長谷部が不満を言ってる最中にやって来て、飄々ととぼける三日月もなんだか、今は亡きおひょいさんみたいだったし、長谷部の『得意のごまかしか』に、『いや、下手すぎる』と応じるまんばがまた、若いんだけどこの本丸では古株、という、三日月のことがわかってる感出ていて楽しかったですよ(笑)
さて、翌日。
信長が生きていたことが判明し、再び天正十年に向かうことになります。
今回の編成は、不動に代わって骨喰。
出立の社で純粋に、『歴史とは、守らなければならないのか?』と問う骨喰に、集まった面々が予想以上に驚いたのが印象的でしたね。
確かに、刀剣はそれが役目で人の身に顕現しているのだけど、それは主が命じたからそう動いているだけで、彼ら自身はそんな問いを持つ間もなかったんじゃないかな。
記憶があれば、人を斬った記憶もあるだろうから、『今度はその敵を斬ればいいのか』ってすんなり入ったんでしょうが、骨喰は人を斬った記憶もないから。
だったら彼が『自分には戦う力がある』と気づいたのはいつなんだろう。
自転車みたいに、戦い方は忘れない、ってことなんだろうか。>例え。
一方で、御座所で深刻そうな主と三日月。
おそらくここで、三日月が知る限りの『歴史』が情報共有されたのでしょう。
そして、それを元に主が作戦立案・・・かな。
自身の不明を詫びる主に、三日月が大慌てで反論するなんて、今まで、こんな本丸見たことない。
そもそも、三日月に頭を下げられたことなんてない・・・。
三日月の、主を立てる言動で、この主さんの徳を表現してるんだな、と言うシーンでした。
ミュ本丸の主は親しみやすく、ステ本丸の主は刀を助けに出てくる漢気があって、花丸本丸はちょっと下に見られつつも可愛がられている中で、実に古代の君主的な主でした。
平安時代生まれの三日月は、あんまり親しみやすい主よりも、こういう、一線を画した人物の方が主として仰ぎやすいのかもしれない。
とは言え、ちゃんと信頼関係があって、たまに軽口を言い合いながら、衷心より仕えるという意志の見えたいいシーンでした。
その後、階下に降りてきた三日月は、待ち構えていた鶯丸に問われ、密かに重大事を打ち明けますよ。
その様子をうっかり見てしまった日本号の、黒田節が下手。>おいw
いや、だってこちとら、日常で流れてたりするからな。←博多っ子w
地元民は、突然『黒田節歌って』って言われても、普通に歌えると思う。
ともあれ、出立の社で合流した第一部隊。
『織田信長公、暗殺』
のセリフが放たれます。
着任したのは、山崎の戦いのさなか。
高台より信長本人も見守る中、中国大返しを果たした秀吉が光秀を追い詰めますよ。
信長とは別の高台から、戦と信長一行を偵察する男士達ですが、いきなり不協和音。
信長が放った、密使の時間遡行軍を追うつもりの長谷部と、それを止める三日月。
信長が生きていることを知られないうちに手を打とうとする長谷部の意見には、おそらく全員賛成。
なのに三日月がそれを止めるから、骨喰は混乱しただろうな。
他のメンバーは、長谷部を激昂させてしまった三日月が、何か隠していると薄々察しただろうけど、骨喰はこの本丸に来たばかりの上に、以前は共にあった三日月のことも忘れているから、誰が正しいのかわからず、それを裁定するわけでもなく、ただ見つめている。
でも、頭はフル回転で、何が正しい行動なのかは見極めようとしたけど間に合わず、気づいたら長谷部と日本号は信長の密使を追い、薬研と山姥切は三日月の指示で光秀の偵察に向かい、爺さんと二人、取り残されていた・・・。
しかもこの爺さん、『昔のよしみ』なんて覚えてもないことで頼み事してくるし。
待って頭が追い付かない、って感じのこの、困惑した子犬感。
可愛い。愛しい。
鯰尾がいたら心強いのに、ね。
その夜、城を抜け出した明智軍は、山中で信長一行と鉢合わせしますよ。
ただでさえ怖い夜の山中で、死んだはずの信長に遭ったんだから、そりゃあ、熊に遭うより怖いですよね。
しかも、幽霊ではなく本物だから、余計に怖いですよ。
連れてるのは、妖怪の類かもしれないけど。
光秀と信長を追ってきた薬研&山姥切と三日月&骨喰も合流して様子を窺う中、信長を生かしたはずの無銘が、光秀をかばって信長に対峙するという異常事態勃発。
皆が驚く中、三日月が信長を助けて共に逃げるという、更に驚きの展開に。
おかげで、残された三人は軽傷&撤退と言うことに。
翌朝の、川辺の美肌対決はこの映画一番の美しさだと思う!!>おいw
半裸の骨喰はもちろん美しいけど、山姥切のきれいな脚、薬研の美白。
いつまでも見ていられる。>断言。
特に骨喰の、白い髪を透かして見えるうなじの白さときたら、ビスクドールかな?!
おかげで初回、ほとんどセリフが入ってこなかった(笑)
その頃三日月は、助けた信長を破れ寺に匿って、恭しく接していますよ。
恭しいけど、主へ対する暖かな笑みとは違って、その微笑みは無機質で硬質で、とても人形じみている。
信長は確かに三日月と話しているんだけど、最初から、三日月のことを『話の通じない相手』とばかりに、深入りしようとしない。
こんな、味方のいない状況で、腕の立つ剣客と二人きりなんだから、本当なら身元や目的を探ろうとするはずなのに、そういうことは全くしない。
最初から会話を諦めているような雰囲気でした。
一方で、秀吉本陣に到達した密使を追ってきた長谷部と日本号は、秀吉の目の前で密使を斬って四散させてしまい、ごまかすのに必死(笑)
長谷部がここで、可愛さ発揮(笑)
博多がいたらうまくごまかしてくれたかもしれないけど、日本号もそこまで弁の立つ方じゃないから、二人してわちゃわちゃして、なぜか秀吉軍に参陣することに(笑)
流されるタイプか(笑)
そして、wi-fiのない時代の連絡手段は鳩らしく、ポッポさんがまんばたちとの連絡を取り持ってくれますよ。
ここで、三日月が謎の行動を取ったと知らされた二人は、なぜか秀吉軍と安土城へ向かうことに。
・・・って、この展開になった瞬間に、史実とフィクションが繋がって、『うはぁー!!!』と興奮したよね!!
秀吉、安土城を燃やす気だ!って!!
安土城は信長亡き後、『謎の』焼失をしています。
そこに向かって動き出すんだ、って興奮する目の前で、まさに安土城天守に登った信長と三日月。
『戦のための城ではない。天下の見晴台よ』と、自慢げな信長に、訝しげだった三日月が『なるほど』と、一言。
これは!
ほんとに!!
城好きに見せたい映画!!!!
このシーンのこのセリフだけで、城好きと1時間語れる!!!!
脚本家のネームバリューで、特撮ファンも注目した今作ですが、むしろ!
城好き!!
城好きは是非見て!!!!
私、これを見ながら何度『ここに千田先生(城郭研究者)がいたらー!!!!!』って思ったか!!!!
安土城焼失の史実をそう解釈したのかと!
そうきたかー・・・!!って、内心めっちゃわちゃわちゃした!!
三日月は、まだ城ではなく館だった室町将軍家から秀吉に渡って伏見城、大阪城、聚楽第、その後徳川の江戸城へと行ったはずなので、安土桃山〜江戸時代の、戦向けの城しか知らないはずなんですよ。
だから、初めて見た安土城には違和感しかなかったはずなんです。
なぜって、安土城は要塞としての防御力は全くなく、城下から天守までは広い一本道、防御線があるとすれば、途中に並ぶ各武将の屋敷くらいだったんですよ。
つまり、信長という一人の人物の大いなる威光を持って、『この城を落とせるものなら落としてみろ』と言わんばかりの、実にオープンな施設でしかなかったんです。
城下を見下ろした三日月はそりゃあ、驚いたでしょ。
城郭にあるべき曲輪(くるわ)も、桝形(ますがた)すらないんだから。
『これでは、大軍に攻められたら一瞬で落ちる』と戸惑っている所に、自信に満ちた信長の『天下の見晴台』というセリフが来て、『なるほど』と得心するんですよ。
今、安土城がないのが悔やまれる・・・!
ぜひ!
三日月が見た天守からの眺めも映してほしかった・・・!
あぁ、でも、そうしたらその瞬間に秀吉の思惑が観客に知られてしまうのか。
ぎりぎりですね・・・!
その夜、安土城近くまで来た秀吉軍は、温泉地で休憩。
新参者なのに、護衛を任された長谷部と日本号が今後の対策についてひそひそ話していると、温泉堪能中の秀吉から、衝撃の告白!
『御屋形様が生きているって知ってるよ。お前たちの目的、何?』
ちなみに、『おやかたさま』は『館・屋形』などの建物に住む一番偉い人、のことで、『御殿に住むお殿様』と同じと思ってください。
『親方』じゃないぞw
さて、さすがにごまかし切れずにわたわたしていたら、真の護衛だった忍びに撃たれてピンチの二人。
何とか逃げ延びて翌日、別方向から安土を目指していた薬研たちと合流。
その時には、先行した秀吉軍が、安土城を焼き討ちしているところでした。
このシーンで、あんな山のてっぺんに、攻城槌とか大量の油とか火薬とか持っていけるわけねーだろ、って思うかもだけど!
前述の通り、安土城はそれができてしまうんだ!
秀吉はきっと、機動重視の精鋭部隊で攻めて来ているから、物資の調達は安土城敷地内の自分の屋敷、および各武将の留守宅から調達したと思うんだよ!
ここで、秀吉が物資調達した、って各武将の家人にばれると後々面倒だから、明智軍を装ったかもしれない。
信長はまさに、灯台下暗しで攻め入られてしまったんだ。
そんな彼は、まさか裏切られるとは思っていなかった秀吉に裏切られて、彼をここに導いた三日月に迫りますよ。
ここで、信長が三日月に抜き放った刀なんですけど。
初回から、刃文が『光忠っぽいな』と思っていて。
刃文が大写しになる度に凝視して、たぶん光忠だよねぇ・・・と。
長光や景光になると、もうちょっと洗練される気がするんだけど、光忠の刃文って、ラテンのノリっぽい派手さと言うか、うどん頼んだらパスタ出てきた、って感じの刃文なんですよね。>語彙。
まぁ、『永青文庫の生駒光忠に似てるな』って思ったのが最初ですけどね。
調べたら、やっぱり信長が最期まで持っていて、本能寺で焼けたのは実休光忠なんだな!
じゃああれは多分、実休だな、と予想。
ともあれここから、謎解きターイム!!!!
三日月は、『自分が知る限りの』裏の歴史を語ります。
まず整理すると、『三日月自身が知っている』歴史は、山崎の戦いの戦勝品として、足利将軍家から秀吉に自身が下げ渡されたこと。
その彼自身は今、輿に乗って安土城を攻める秀吉の手にあります。
ので、信長が安土城で死んだことは知っていても、どうやって本能寺を抜け出したのかは知らず。
そこを補完するのが薬研の記憶です。
本能寺で死を覚悟したものの、蘭丸の助けによって抜け道から本能寺を脱出した信長は、わずかな手勢とともに本能寺に入り、秀吉に密使を送ったものの裏切られて攻め込まれる、という、今まさに起こっていることが『正しい歴史』だったと判明します。
ちなみに、本能寺で信長の遺体が見つからなかった、と言うのは語弊があって、あの時代には『鎮火後にいくつも見つかった骨の、どれが信長かわからなかった』と言うのが正しいそうですよ。
死んでるだろ、と言うのが大方の意見です。
つまらないけどね(笑)
三日月の本当の目的を知ったものの、秀吉軍を阻もうとする時間遡行軍も現れて、『正しい歴史を守る』戦い開始です。
その頃、本丸には主の世代交代が始まりつつあり、守りの力が弱くなった隙を狙って、時間遡行軍が攻め入ろうとしていました。
長年、審神者をやっていた割には、所属する刀剣少なくないか、って突っ込みは禁止の方向なんだろうなぁ・・・。
手薄も手薄、鶯丸と不動しかいませんよ。
一方で安土城の男士達も、多勢に無勢で苦戦中です。
そんな中、一人飛び出し、天守に向かった骨喰は三日月と合流。
『頼まれごと』を渡した後、信長に捕らわれてしまいます。
・・・姫かな。
圧倒的姫バミは、ジョ伝の尚弥だと思いますけど、こっちもかなりの姫っぷり。
しかし、人質に取られても三日月は頑として、信長の要請を断ります。
『裏切った秀吉公を、天運をかすめ取ったと笑われた。あっぱれ魔王の死にざまでしたぞ。
それに比べると今のあなた様は、少々格好が悪うございますな』
って、これは三日月が『知りようのない』歴史のはず。>今は秀吉の手の中にあるから。
それは、今や三日月の正体を知る信長にもわかっていますよ。
なのにこのジジィ、信長を前に堂々とはったりをかました上に、煽りやがったってことに。
これはもう、信長は笑うしかない。
最初から、話の通じない相手だとは思っていたけど、ここまで理解しあえない相手にはもう、諦めるしかない。
ファーストインプレッション死神の三日月は、最後まで信長にとっての死神でした。
安土城は吹き抜け構造のため、1階で火が出ればそれは一気に最上階まで到達します。
既に炎が迫る中、死を決意した信長の元を去り、三日月は階下へと。
骨喰も彼を追って地上へ。
満身創痍の第一部隊と合流した途端、三日月は骨喰への『頼み事』で入手していた全員分の玉(本丸に帰るアイテム)を使って、彼らを本丸へ帰してしまいます。
皆がこの時代から去る瞬間、無銘の率いる銃兵に撃たれた三日月の微笑みを、見ることはできなかったんだな・・・。
ちなみにここ、4Dだと撃たれた衝撃が来ます。
本丸に帰る時に漂う花の香りは、もうちょっと高級なもの使ってほしかった。
本丸に戻ったメンバーは、鶯丸から主の世代交代のことを告げられます。
三日月は信長のもう一つの歴史だけでなく、このことも秘めていたのだと知らされて、愕然とする一同。
帰還した中に三日月がいないことに気づいた鶯丸は、きっと一瞬の判断で彼らを手入れ(手伝い札大活躍)して再び安土城へ向かわせ、本丸は自分と不動で守ると決断したんでしょうね。
その判断をするだけの力量と経験があるからこそ、第一部隊も鶯丸の指示に従ったんでしょう。
これが、不動一人とかだったら誰かが残ると言い出すはず。
そして再び安土城へ。
銃撃で重傷を負った上、多勢に無勢でさすがの三日月の剣筋も乱れています。
原作内ですらいつも余裕の彼が、初めて見せる苦戦ですね。
真剣必殺はなかったけれど、もうだめか、という三日月を支えてくれたのは、これまで何度もぶつかり、彼に反感を持っていた長谷部でした。
彼は素直ではないけど、三日月が今までに言えなかったことを理解して、和解しようと行動したのではないかな。
長谷部の精一杯の『デレ』シーンだったと思います(笑)
そして、長谷部が素直に言えない気持ちを、おそらくこの本丸の初期刀・山姥切が代弁しますよ。
『これからはもう少し話せ。年寄なら、長話は得意だろ』と。
三日月を『あんたも本丸だ』と言う日本号と言い、原作にはない回復薬を持って現れる薬研と言い、三日月の言動を懸命に理解しようとして、『戦う理由がわかってきた』と微笑む骨喰と言い、この本丸の刀達、ほんといい子・・・!(感涙)
その彼らを顕現させた主も!
『過去だけが歴史ではない。お前にはまだ、守ってもらいたいものがある。私がこれからつなぐ、明日という歴史だ』
というセリフは、『審神者』としてすごく刺さったものだった。
審神者に就任して4年、ずっと過去を守って来たけど、この戦いが終われば本丸は解散してしまう。
審神者は人に、刀は刀に戻るのだけど、共に戦ってきた時間、そして、過去を守り抜いたことで繋がる未来という時間に思いをはせることができる、素晴らしいセリフだったと思います。
更には、『なすべきことはまだあるよ』と、まるで歌のようなセリフ・・・!
このセリフに、『東風ふかば にほいおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ』の歌を思い浮かべますよ。
もう消えてしまう主だけど、自分がいなくなってもこの本丸を守ってくれ、という、遺言のような。
12回観て12回泣いたセリフです。
もしかしたら三日月は、消えゆく主に殉じたかったのかもしれない。
でも、刀の付喪神である彼は、殉じても人間である主と同じ場所には行けないのでしょう。
折れようとする彼を支えたのが長谷部だった、というのも、かつて長政に殉じたかった彼に支えさせることによって、『人と刀は違うものだ。同じ場所へは行けない』と言う、演出家のメッセージだったのかもしれない。
それを思って、更に震えたシーンでした。
三日月の思い違いを正した一同は、それぞれに戦闘再開です。
真っ先に飛び出した山姥切の、布さばきと殺陣が美しい。
ネイルが好きなので、つい爪を見ちゃうんですけど、劇中の秀吉の爪は、汚れてはいないけど手入れされてなくて、人間の爪だなぁと。
対して、このシーンで大写しになるまんばの爪は形も表面もきれいに整えられていて、人間ではない、刀だから隅々まできれい、って見せ方がとても良い。
連携して無銘と戦う藤四郎兄弟も、見事な殺陣で、あまりの速さに目で追うのが大変。
初回では全然見えなかった(笑)
早回ししていないって、マジかよ。
殺陣の鬼・きたむーはともかく、これが殺陣初体験という楓馬まですごかった。
そして、苦笑しつつ回復薬を飲む三日月の横顔が美しいこと・・・!
折れようとする時も美しかったけど、回復する様の美しさは別世界。
三日月をこんなにも美しく撮ってくれたスタッフさん、ありがとうございます・・・!(拝む)
シーンはこの映画最大の見どころ、連続殺陣へ!
安土城だけでなく、本丸での戦いもリンクされていて、刃の煌めきから煌めきへとリンクする様が美しい。
特に鶯丸へと繋がるシーンは召されそうに美しいので、未履修の方はぜひ見てほしい!
不動の戦闘も、4Dだとここで本編としては初めて水が噴射される(笑)
結構な量かかるので、2回目からは切ってました(笑)
熱さも、2回までは気づかなかったのだけど、3回目に安土城炎上のシーンではシートが熱くなりましたね。
本能寺ではなかったんだがな。
この時、安土城最上階では信長が自刃しようとしています。
『切れ味鋭くも、主の腹は切らぬというが、此度ばかりは頼むぞ、薬研藤四郎』
と、薬研に呼び掛けて切腹です。
信長が死んだことで、時間遡行軍の残党は去ったのでしょう。
一行は本丸へ戻り、なぜか、藤四郎兄弟に倒されたはずの無銘も共に消えます。
本丸では、大太刀に苦戦する鶯丸と不動。
御座所へ向かう大太刀を止めることができず、ピンチの所を戻って来た第一部隊に救われます。
そして三日月は、御座所へ侵入した大太刀と対峙。
三日月の帰還報告に、主は微笑んで消えていきます。
もっとゆっくりと、別れを惜しみたかっただろうに、この大太刀が邪魔しおって、とばかりに三日月、怒りの攻撃です。
壁ぶち破って御座所から追い出しますよ。
こんなパワード三日月、見たことない(笑)
とどめを刺すべく、大太刀と対峙する彼らの前で、なぜか無銘が大太刀を攻撃します。
なんと彼は、遡行軍に操られていた刀剣、倶利伽羅江でした。
・・・初見時、マジで驚いた。
光秀をかばった辺りで、『光秀ゆかりの刀剣が闇落ちとかなんだろうけど、うちの子で光秀ゆかりの子、いたっけ?』って、すごく考えた。
まさか、実装されていない刀剣が出てくるとは思わなかったぜ・・・!
ちなみに、刀剣乱舞知らないけど特撮好きで、映画見た方の感想ですが、『光秀と倶利伽羅江の関係性は、ちゃんと描いておかないとだめでしょ』ってご意見でした。
言いたいことはすごくわかる。
だけど、それは『審神者』ではないから言えることなんですよ。
そこを詳しく描いちまったら全て勘付いてしまうのが審神者というものでな・・・。
私は知らなかったけど、きっと、『光秀をかばった』と言う時点で『もしかして倶利伽羅江?』って気づいた審神者は全国にいたと思う。
脚本家は、ギリギリのラインで寸止したんだ。絶妙だったよ。
更にこの方、『クールな山姥切君と牛乳持ってる不動君』って(笑)
そうか、知らない人が見たら、クールなんだ、山姥切!(笑)
そして、牛乳で酔っ払っているんだ、不動!(爆笑)
あまりにも新鮮なご意見でした(笑)
さて、大太刀を排除し、無事に本丸を守り切ったのちの、主なき御座所を見上げる三日月の表情が切ないです。
信長に対してはあんなにも冷淡だったのに、主へ対してはこんなにも思い深い。
見事な演技と演出でした。
一方で、焼失した安土城では、秀吉が自ら検分を行っていました。
彼が取り上げた、焼け身になった短刀。
その茎には、『吉光』の銘が刻んであるんですよ。
気を付けてよーく見ないとわからないくらい、一瞬ですけどね、特徴的なあの『吉光』の銘が刻んであります。
その銘を隠すように布で包んで、『御屋形様・・・』とつぶやく秀吉の、野望成った瞬間でした。
その後、本丸には新たな主が。
緊張の面持ちで対面を待つ刀剣達が!!ステメンバー!!!!
特にお久しぶり杉江の鯰尾には、『ようやく会えたね、兄弟ー!!!』って、感無量でした!
このシーンだけで、映画代1回分払って悔いはないって思ったからね!
御簾があげられる様を見ながら、『次の主は小さな女の子だったらいいなぁ』と思っていたら、刀剣達の表情も和むような可愛い女の子。
これはもう、守ってあげたい可愛さ。
三日月の、『守りたいものが増えた』と言う言葉も自然に出てきますよ。
それに、これまではなかった(何度も確かめた)三日月の瞳の打ち除けが、このシーンで初めて現れるのですよ。
これには、なにか意味があるのだろうか。
新しい主を得たことで、三日月にも変化があったということかもしれない。
皆で桜を見上げるラストシーンも素敵でした。
今回、監督と脚本化家には、全力でお礼を言いたい気持ち!!
ぜひ、第二弾を作ってほしい!
そしてぜひ、蛍丸と数珠丸師匠を出陣させてほしい!!
舞台では無理でも、映画なら可能だと思うんだよー!
特に師匠、舞台で目をつぶるのは危険すぎるので、ぜひとも映画に出演してください。
ジジィ&うぐ&師匠で縁側図とか、楽しすぎるだろ(笑)
次回もぜひ、同じ監督と脚本家で!
お願いします!!
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