The Ring of Mobius
〜今度会えたらイイ事しましょうね〜
「ちょっとハルモニアまで帰ります。じゃあまた」
「ちょっと・・・って・・・・・・だいぶ遠くないか?」
クリスが目を丸くすると、ナッシュはくすりと笑みをもらした。
「遠いか近いかは、気の持ちようでしょ」
「・・・・・・いや、私はそんな、精神的な問題について議論をしましょうと言っているわけではなくて・・・・・・」
「じゃあ、ハルモニアが近くなる呪文を教えてあげようか?」
いたずらっぽく笑うナッシュを、クリスが怪訝な顔で見上げた。
「テレポートの呪文?」
使えるのか、と言外に問う彼女に、ナッシュは軽く笑声を上げた。
「それもいいけど・・・耳を貸してごらん?」
言われて、素直に彼に寄れば耳たぶを甘噛みされ、クリスは悲鳴を上げて飛び退る。
「ななななな・・・!!何をするんだっ!!」
「可愛いなぁ、クリスちゃんは」
白い顔を真っ赤に染め、悔しげに彼を睨みつけるクリスに、ナッシュは本気で笑ってしまった。
「ごめんごめん、そんなに睨まないで」
「思う様爆笑しておきながら、言うことはそれだけかっ!!」
クリスの怒号にも、ナッシュは怯えることなくへらへらと笑っている。
「今度はちゃんと教えてあげるから、おいでおいで」
「私は犬かぁっ!!!」
怒鳴りながらも、一旦離れた距離を自ら縮めるクリスを、ナッシュは嬉しげに抱きしめた。
「今度会ったら、いい事しようね♪」
「いい事ぉ〜〜〜〜?どうせまた、お前だけが娯しいことだろう?」
憮然とした言い様に、ナッシュは笑ってクリスに口付けた。
「それは、次に会った時のお楽しみだよ」
「なんだ。待ち遠しくて、余計に遠くなった気がするな」
子供のような言いように、ナッシュがまた笑声を上げる。
「元気でね、姫」
・・・・・・自業自得?
冬の訪れの早い地で、虚しく呟きながらナッシュは、封を切ったばかりの手紙を暖炉にくべた。
一瞬だけ、ぽぅっと火の粉が舞い上がり、貪欲な赤い舌がたちまち手紙を嘗め尽くす。
「なんだい?僕に見られたくないことでも書いてあった?」
機嫌の悪さを取り繕おうともせず、ナッシュの上司が剣呑な声をかけてきた。
「いえ・・・ただの癖ですから」
特殊工作員になって既に二十年近く・・・秘密主義と笑みの容をしたポーカーフェイスは、彼の習い性になっている。
「じゃあ、どんな連絡だったのか、報告しなよ」
どんな重要事も、真の紋章を奪われたばかりの状況では冷静に考えることなど出来ないだろうに、この無残な現実から逃れるかのようにササライはナッシュに詰め寄った。
「・・・真なる水の紋章の継承者が、亡くなったそうです」
「・・・・・・ふぅん」
予測してはいたが、彼の気のない反応に、ナッシュは少し落胆した―――― もちろん、顔に出すようなことはしないが。
「で?誰が継いだの?」
「彼の・・・娘だそうですよ・・・・・・」
途端、ササライの目が邪悪な容に細まり、ナッシュは隠しようもなく眉をひそめてしまった。
「へぇ!真の紋章は、いつから世襲制になったんだろうね!」
「まぁ・・・『獣の紋章』の例もありますし・・・・・・」
「崇め奉るのと継ぐのとでは、状況が違うことくらいわかるよね?!」
ササライは、胸の裡にわだかまる苛立ちを発散するように、鞭のような口調で言い募る。
「使いこなせもしないくせに、継承してどうするんだい?!アクセサリーのつもりなのかな?!」
「落ち着いてください、ササライ様」
吐息混じりの声は、ササライの激情に油を注ぐだけだ。
「落ち着け?!よくそんなことが言えるね!」
生まれ落ちた瞬間から、真の紋章を身につけていた彼・・・仮に先天性継承者と呼ぶが、このあまりにも特殊な人間は、真の紋章を精神的のみならず、身体的な拠り所とさえしているようだ。
紋章を強奪されて以来、ササライは常に情緒不安定だった。
それは、生まれた時から神の領域に存在していた者が、他の人間と同列に扱われることに対する屈辱ゆえか・・・・・・。
当初、ナッシュはそう思っていたが、今ではどうも違うように思われる。
元々ササライは、階級制度の厳しいハルモニアにおいてさえ、異質な選民意識を持っているように見えた。
人間が人間に対して持つ優越感などではない。神が人界を俯瞰するような行為・・・・・・人と自分は違う種族なのだと、彼ははっきりと区切っている。
そんな彼が、紋章を奪われたからと言って、すぐさま自分が常人と同じだなどと気づくはずもない。
むしろ身体的な苦痛・・・・・・そう、まるで四肢をもがれたような苦しみ方だった。
・・・・・・それほどのものなのか、真の紋章を奪われるということは。
ナッシュは、自身の脳裏をよぎった言葉に、戦慄せずにはいられなかった。
―――― ササライから紋章を奪った男は、『土の紋章は最後にするつもりだった』と言わなかったか?
つまり、他の紋章を全て奪ってから、土の紋章を奪うつもりだったと・・・・・・。
「ササライ様・・・・・・」
声音に混じる焦りを、うまくごまかすことは出来なかった。
ナッシュらしくない行為に、ササライが訝しげに彼を見遣る。
「真火と真水と真雷・・・・・・当然、狙われますよね?」
ササライの碧眼が、はっと見開かれた。
「まだチャンスは、残っていますよ」
ササライを見返すナッシュの顔には、いつものポーカーフェイスが貼りついている。
クリスを守る為にも、ここでササライの決断を促さなければならない。が、焦りを見せれば、天邪鬼な上司は決断を渋るに違いないのだ。
慎重に言葉と表情を選ぶナッシュに、ササライは一瞬、不快げに眉を寄せたが、それ以上反撥しようとはしなかった。
「先行して、情報を集めておけ。僕の軍だけしか動かせないが、すぐに進軍する」
やたらと気を持たせるハルモニアの神官将としてはあるまじき事に、即断即決したササライに笑みを返し、ナッシュはササライの執務室を出た。
「これは本当に、お姫様の危地に駆けつけるナイトっぽくなってきたな」
ある意味鉄面皮である彼が、苦笑を浮かべる余裕すらないほど、状況は逼迫していた。
「なんか・・・すごく落ち込んでない?」
「・・・・・・だいぶ、落ち込んでますね」
暗澹たる雰囲気を服のように纏い、沈黙の殻に閉じこもってしまった銀の乙女を遠くから眺めつつ、ヒューゴとトーマスが囁きあっていた。
「こんな時に、いじめちゃだめだよ、ヒューゴ君」
「いじめないよぉ・・・」
炎の英雄というよりは、近所のいたずら小僧と言った風のヒューゴに、若き城主と言えば聞こえはいいが、苦労の絶えない貧乏人であるトーマスが苦笑を浮かべる。
「けど、剣の練習に誘うのはいいよね?」
気晴らしになるし、と、目を輝かせるヒューゴに、トーマスが首をひねった。
「そうだね・・・・・・でも、『そんな気分じゃない』って言われたら、素直に退いた方がいいかなぁ?」
「わかってるよっ!」
同じ年頃のくせに、随分と年上のような口を利く友人を軽く睨んで、ヒューゴが一歩を踏み出そうとした時、
「クリス様」
横合いから現れた、ゼクセン騎士団の軍師に邪魔をされ、ヒューゴは急停止を強いられた。
むっとして睨みつけるヒューゴの視線の先で、サロメはクリスに何事か囁き、大広間の方を示す。
「ヒューゴ」
凛とした声に呼ばれて、ヒューゴはクリスへと視線を戻した。
「トーマス殿も、一緒に来てくれ。援護してくれたハルモニアの神官将にお目通りするぞ」
やや皮肉げな口調は、いつもの彼女のものだ。
「ハルモニアの?」
「助けてもらったのだから、一応、礼は言っておかなければな」
「一応・・・ですか」
微苦笑を浮かべるトーマスに、クリスは軽く頷く。
「そうだ。
相手は海千山千の政治家兼軍人だぞ。隙を見せれば骨まで食われる」
その口調が、あまりにも苦々しげだったため、少年二人は怖々と顔を見合わせた。
「大丈夫。私も、できる限りサポートはさせてもらうから。がんばってくれ、炎の英雄殿、城主殿」
仮面のように貼りついた笑みは、ゼクセン騎士団長にふさわしく、毅然としていた。
「・・・・・・もしもし、そこの金髪のお兄さん?」
わがまま神官将のお使いに、ビュッデヒュッケ城に入った以後も東奔西走していたナッシュは、湖畔の城を包み込む濃い緑陰の中で気だるげな女の声に呼びとめられ、その足を止めた。
「お呼びですか、お姫様?」
銀の鎧を纏ったままのクリスに、殊更丁重な礼を返すと、彼女はにこりともせずナッシュに歩み寄る。
「私、寂しいの。慰めていただけないかしら?」
言うや、手甲に覆われた手でナッシュの頬を挟み、彼に口付けた。
「・・・・・・光栄の至り・・・」
わずかに唇を離して呟き、改めてクリスを抱きとめたナッシュは、何も問わずにその朱唇をむさぼった。
慣れない行為に、たどたどしいながらも必死に応えようとするクリスを、更に引き寄せて甲冑の掛金を外して行く―――― 奇術師の手を持つ彼にとっては、どんな重装備も問題ではない。
あっという間に防具を剥ぎ取られたクリスは、大樹の幹に背を押し付けられたまま、ナッシュの激しい愛撫に身を任せた。
はだけた胸を、緑陰を抜ける生ぬるい風と濡れた舌が這い、クリスはびくりと身を逸らせる。
「はっ・・・ぁ・・・っ」
既に濡れそぼった襞の感触を楽しむように、ナッシュはゆっくりとクリスの裡(なか)を掻きまわした。
淫らな水音と切なげな吐息が辺りに満ち、クリスは潤んだ瞳でナッシュを見上げる。
「おね・・・がい・・・・・・っ」
忙しない呼吸に豊かな乳房が波打ち、ねだるように腰をくねらせる様は、淫乱な娼婦のようだ。
ナッシュは逆らわず、彼女の望むものをその胎内に突き入れる。
「あぁっ!!」
激しく上下する背が大樹の幹を擦り、ささくれ立った木肌に乱れかかる銀の髪が蜘蛛の糸のように這う。
目が眩むほどの快楽に酔う身体を支えるように、必死にナッシュに縋りつきながら、クリスはその耳元に囁いた。
「知って・・・いたの・・・ね・・・・・・」
途切れがちな声が、泣いているようだ。
「どうして・・・教えて・・・くれなかったの・・・・・・!」
「教えたら、信じたのかい?」
イクセの村で剣を交えた男が、彼女の捜し求めた実の父親だったなんて、言っても鼻で笑ったに違いない。
「彼も、いつ話すべきか悩んでいたんだろう、きっと。それを俺なんかが、横から口を出していいわけがない」
そうだろう、と、覗き込んだ瞳は、感情の昂ぶりを抑えかねたように濡れていた。
「そんな正論・・・聞きたくない・・・っ!!」
途端、絶頂を迎えて崩れ落ちそうになったクリスを支え、ナッシュは幹に押し付けた彼女の裡(なか)に精を放った・・・・・・。
「ちょっとは落ち着いたかい?」
「ん・・・・・・」
ナッシュが地に座り込んだままのクリスと視線を合わせ、その手に宿した水の紋章で、彼女が背に負った傷を癒しつつ問うと、クリスは真っ赤になった顔を俯けたまま微かに頷いた。
「ごめんなさい・・・あの・・・」
「たまにはこんな、積極的なクリスもいいね」
未だ顔を上げられずにいるクリスの背を軽く叩いて、ナッシュは治療が終わったことを知らせた。
「あああああありがとうっ!!」
クリスはすぐさま身を離そうとしたが、ナッシュはそれを許さない。
「それにしても、よく俺がここを通るってわかったね」
軽い口付けを落としながら、笑みを含んだ声をかけると、クリスはくすぐったそうに身をよじった。
「・・・お前は、人目につくのを嫌う性質(たち)だろう?
この城は穴だらけだし、目立つお前が人目につかずに動き回れる場所なんて、この森しかないじゃないか。だから、ここにいればお前に会えると思ったんだ」
「へぇ。いい推理だね、クリスちゃん。
でもいいのかい、連合軍の中枢たるゼクセン騎士団の団長様が、こんな所にいて?」
クリスの誘惑にあっさり乗ったことは、都合よく忘れたふりをするナッシュである。
「心配ない。
今回、私は統率者ではなく、一軍の将だからな。部下たちも、今はヒューゴの命に従うよう、慣れるべきだ」
すっかりいつもの口調に戻ったクリスは、ナッシュの胸に手を突いて身体を離した。
すばやく身支度を整え、髪まできれいに結い直して、すらりと立ち上がる。
「鎧、着るの手伝ってくれる?」
常ならば、彼女の従騎士にしか与えられない栄誉に浴したナッシュが、大儀そうに立ち上がった。
「脱がすのは好きなんだけど、着せるのは苦手だなぁ」
「・・・・・・馬鹿を言ってないで、早くやってちょうだい。一軍の将だって、忙しいことに変わりはないんだから」
さっきよりもだいぶ和らいだ声に、ナッシュが笑みを返す。
「強いね、姫は」
だが、その言葉にクリスは、ふと黙り込んだ。
「クリス?」
「・・・・・・強くなんかない」
溜息に似た口調に、背後の掛金をかけてやっていたナッシュが眉をひそめる。
「・・・色んな事がありすぎて・・・何がなんだかわからなくなって・・・・・・頭の中が真っ白になっていて・・・・・・自分の目に何が映っているのかすらわからなかったんだ」
吐息交じりに言葉を紡ぐクリスを、ナッシュは背後から抱きしめた。
「―――― ササライ殿と一緒にお前が現れた時、鼓動が跳ねた。凍っていた時間が、やっと動き出したようだった」
クリスは、背後から回された手に自身のそれを重ね、ナッシュの胸に背を預ける。
「俺でも、お役に立てたとは光栄だね」
「だって、言ってたじゃない。『今度会ったらいい事しよう』って。こういう事だったんでしょ?」
「あー・・・あはははははは・・・・・・・・」
読まれていたか、と、ナッシュが虚しく笑声を上げる。
「でもまぁ、完璧な正解じゃないなぁ」
「あら・・・・・・」
軽く目を見開いて、クリスはナッシュと向かい合うと、唇をほころばせた。
「まだ、何かイイ事があるの?」
「それは、後のお楽しみだね」
軽く片目を瞑る仕草に、クリスが和んだ笑声を上げる。
「後でって、いつ?」
「今夜、窓の鍵を開けていてくれ」
「待っているわ」
艶やかな瞳を細めるクリスに深く口付けて、二人はそれぞれの待ち人達の元へ戻った。
「―――― 開いているわよ」
窓を叩く、微かな音に返事をして、クリスは執務机にペンを置いた。
古城に突き刺さった船の、狭い船室には当然のように彼女しかいない。
「お邪魔します」
大きくはない窓から音もなく滑り込んできた男は、軽く腕を引いて細いワイヤーを手繰り寄せた。
「しかし、よくこんな所から進入できるものだな」
いつもながら、感嘆を隠せない様子のクリスに、ナッシュがにこりと笑う。
「それが仕事だからね」
言いながら、ナッシュは鎧を脱いだクリスを抱き寄せ、きつく編みこんだ髪を解いた。
「まだ仕事が終わらないのかい?」
鎧は脱いでいたものの、未だゼクセン騎士団の制服を着たままのクリスに、ナッシュがやわらかく微笑む。
「いや・・・手持ち無沙汰だったから、書類を片付けていただけだ」
「まじめだね」
くすりと笑みを漏らして、ナッシュがクリスに口付けた―――― 目を瞑った彼女の指に、彼のそれが絡む。冷たい何かが指を滑る感触に、クリスは思わず目を開けた。
「・・・・・・なに?」
彼女の左の薬指に、ぴったりとはまっているのは、やや大振りな指輪だった。
銀色の台には、家紋らしき鷲が彫り込まれ、広げた両翼に支えられるように見事なエメラルドが輝いている。
一目で由緒ある品だとわかるそれに、クリスは声もなくナッシュを見上げた。
「ヴァルトシュラート・・・”森の精”と呼ばれるエメラルドでね、代々、ラトキエ家の女主人が持つものなんだ」
「そんな価値があるものを・・・・・・」
「ハルモニアに帰った時にね、妹に言われたのさ。『ラトキエ家を追われたとはいえ、本当の当主は兄さんなんだから、兄さんの愛した女性に差しあげてください』ってね」
共に過ごした幾夜もの徒然に僅かずつ聞いた、彼が家を追われた理由を思い出し、クリスはナッシュの胸に顔を埋めた。
「ありがとう・・・・・・」
それ以上は声にならず、ただ嗚咽が漏れる。
「うーん・・・泣かれるとは思わなかった」
照れ隠しか、おどけた口調の彼を、クリスが潤んだ瞳で見上げた。
「これが泣かずにいられるか!」
そう言って、また泣き出したクリスの背を、ナッシュはあやすように撫でてやる。
「・・・・・・必ず、生き残ろうな?」
強大な敵との決戦を控えた二人にとって、再び会えるという確証など、何もない。
互いの温もりを自身の身体に刻み込むように、二人は長い間、離れようとはしなかった。
―――― 真の紋章による、激しい戦いの衝撃に耐えかねて、広大な遺跡は崩れ去ろうとしていた。
「早いとこ脱出しようぜ。こんな所で死んじまったら、カミさんに殺されちまう」
切羽詰った様子を見せることなく、軽く片目を瞑ったナッシュに、クリスは思わず笑みを漏らす。
「そうだな。私もまだまだ、長生きしたいし」
「クリスさん、ナッシュさんの性格が感染ってきたんじゃないの?」
こんな状況で冗談を飛ばしあう二人に呆れた様子で、ヒューゴが脱出を急かした。
「そうかな?私はここまで、道化てはいないと思うが」
「だってクリスちゃんは、天然ボケだもんねぇ」
「・・・・・・ボケでも突っ込みでもいいから、早いとこ脱出するよ」
背後から、ササライの冷気を帯びた声をかけられ、ナッシュとクリスは元気よく返事をして駆け出した。
「・・・・・・ねえ、ナッシュ」
轟音の中、隣を走るナッシュにしか聞こえないほどの声でクリスが呼びかける。
「もしかしたらこの指輪、聖ロアよりご利益があるかもしれないわ」
クリスはペンダントのようにして、首から下げたヴァルトシュラートに、鎧の上からそっと手を添えた。
「そりゃそうさ。なんたって、ラトキエ家代々の妻たちの想いが宿っているからね」
即答したナッシュに、クリスが嬉しげな笑声を漏らす。
「つまり、本家の嫁って認められたのね、私」
「怖い姑もいるけどね♪」
背後から、鋭い視線に射られた気がして、ナッシュが思わず首をすくめた。
「大丈夫!負けないわ」
頼もしい言葉を返して、クリスは崩壊する遺跡の中を駆け抜けた。
―――― メビウスの輪は、一度捩れて表裏正反対のものが繋がりあう・・・・・・。
けれど、その線上に終わりはない。
今度会ったら・・・また会えたら・・・・・・いい事しましょうね♪
* END *
| ・・・・・・なんか。 気に入っちゃったみたいです、『昼の野外活動』・・・・・・。 イメージは『娼婦のようなクリス』だったんですけど、どうでしょう・・・・・・(涙)>うちは梨栗というより栗梨なので、むしろ梨が襲われているような;;; しかも私、未だに『水の乙女・クリス編』をやっていませんー;;; 話の展開的に、ものっすごい違和感があったとしても、ここはひとつ見逃してやってください;;;(へこへこ;;) 時期的に、この時間帯が書きやすいので、ナックリではやたらと『最終決戦前』の設定が多いですが、他の作品とは連続性も関連性がありませんので、鋭い突っ込みは勘弁してください・・・。 脱出時の、「カミさん」うんぬんの台詞は、最終決戦にナッシュを連れて行くと見れるんですが、これを見た時、『死んだら殺せないじゃん』と余計な突込みを入れていたのは私です(笑) でも、横に『カミさん候補』がいたら、あんな事言うかもねーと思い、書いて見ました。(そして背後に元・本妻の姑・・・救いがないなぁ;) それと、例のごとく注釈ですが、(すみませんすみませんすみません;;;)メビウスはSHARPのノートパソコンなどで『Mebius』と表記されていますが、ドイツの数学者の名前なので、『Mobius(Oの上に”がつきます)』が正しいです。まぁ・・・単語うんぬんより、文法に自信がないのですけどね・・・。(The ring of the Mobius? The Mobius's ring??) そして指輪の家紋ですが、外伝の公式ファンブックの表紙にそれらしきものがありまして・・・多分、翼を広げた鷲でいいんだと思いますけど、あまり自信がありません;;(ヴァルトシュラートはもちろん、私の創作です;) それ以前に、『銀の指輪?金ではなく?』ですねー;;個人的に、金の台にエメラルド、よりはプラチナ台にエメラルド、の組合せが好きなのです;;(純銀はさすがに使わないでしょう・・・) |
Secret Lover