雪の舞う丘に






 『まるで背中合わせに立っているようだね 僕らはこんなにも違うのに、いつも一緒にいる』

 何処までも続く黄土高原に立ち、遠く地の果てに落ちてゆく陽(ひ)を眺めながら、朋は言った。
 



 暗く厚い雲で覆われた天と地のはざ間に、風花が白い紗の幕を張る。
 地に堕ちるまでは、その冷たさを感じることすらなかった温雅な土の上に、音もなく舞い落ちる風花。
 地表に落ちたそれは、もはや溶けることもなく、無残な崩壊の跡を包み込んでいた。

 崑崙山と金鰲島とが、ともに堕ちた場所。

 以前来た時には、まだあちこちに火がくすぶっていたものだが、今は清澄なる静けさをもって、彼を迎えた。
 訪れるもののない、墓場の静けさだ。
 彼は、いつも共にある霊獣をさえ連れずに、ここまで来た。
 何故ここに来る気になったのかは、自分でもわからない。
 ただ、殷との戦が小康状態になり、両軍の陣営を雪が同じ色に染めていくのを見て、来て見たくなったのだ。
 あの不吉な封神台が、雪の中でどうみえるのかを・・・。



 いつ崩れ落ちるかわからない瓦礫の中を、用心しながら太公望は、封神台の見えるところまで歩いて行った。
 歩を進めるたびに、沓(くつ)の下で自分が壊したものたちの悲鳴が聞こえるような気がする。
 後悔など、するつもりはなかった。
 何を失っても、自分を亡くしてさえ笑っててやる。
 そう決意して受けた大任だった。
 なのに。
 どうして彼らを・・・いや、彼を失う可能性を考えなかったのか。

 人は自分のことを『無私の人だ』と言う。
 自分を犠牲にすることをためらわない人だとも。
 そんな評価をされるたびに、照れたように礼を言いつつ、心の裡(なか)では冷笑していた。
 自分の復讐のために、仙界を、人間界を、朋を戦禍に巻き込んだ自分を、寄りによって『無私』とは。
 金鰲島に棲んでいたあの妖魔が聞けば、さぞかし肩を震わせて笑ったことだろう・・・。



 瓦礫の山を登りきると、空中に浮かぶ封神台の、よくみえる場所に出る。
 崑崙教主・元始天尊の最高の宝貝。
 白い紗をまとったそれは、不気味な燐光を帯びて、曇天によんどころなく浮いていた。
 「・・・誰だ?」
 ぼんやりと宙を見つめていると、急に声をかけられて、太公望は驚いた。
 まさか、こんなところに人がいるとは思ってなかった上に、そこに現れたのが、思ってもいなかった者だったからだ。
 「木タク・・・」
 太公望は、呆然とその名を呼んだ。
 「師叔・・・なんでここに・・・」
 驚いたのは相手も同じだったらしい。
 木タクは瓦礫の上を危なげなく歩いて近づいて来た。
 その様子は全くの自然体。
 先ほどの誰何の声にも、警戒的な響きは微塵もなかった。
 「今、殷と戦争中じゃないんすか?」
 その落ち着いた声に、太公望は思わず口元をほころばせた。
 「そうなのだが、小康状態になったのでな。・・・どうかしたか?」
 じっとこちらを見る木タクの視線が気になって聞いて見た。
 すると、彼は左目をわずかに細めて口の端を曲げた。
 「いや。もしかしたら妖怪の幻術かな、と思ったもんすから」
 亡霊でもいいっすけどね、と笑いながら言う彼に、太公望は呆れた。
 「おぬし、幻術かもしれぬと思いながら、あんなに気安げに近づいてきたのか?!」
 「相手を見るときは、疑惑や悪意を持っていてはいけない。九功山の教えっすよ」
 いかにも、普賢らしい教えだ。
 相手が何を考えているのか、何を目的としているのか、普賢は常に冷静に観察できる目を持っていた。
 が、それでいて相手に不快感を与えないのは、彼の、そういう姿勢ゆえだろう。
 「ところでおぬし、なんでこんなところにおるのだ?」
 聞くと、木タクはその肩越しにぼんやりと光る封神台を見た。
 「あれが、雪の中でどんな風にみえるのかと思って」
 「・・・わしと一緒だのう」
 木タクの答えに、太公望はかすかに笑った。
 「しかし、この雪の中にそんな薄着では寒かろう」
 さすがの木タクも、今日は上半身裸の上に裸足、と言ういつものスタイルではなかったが、羊毛で織った丈夫な道服だけで、上には外套も羽織っていない。
 「こんな日は、体の中から暖めるのが一番だ。久しぶりに一緒に呑もう」
 言うと、太公望は手に下げていた酒壷を肩の位置まで上げた。
 よほどたっぷり入っているのだろう。
 封をされた壷からは、液体の音がしない。
 「俺は、師叔の相手が出来るほど強くありやせんぜ」
 苦笑しつつ、木タクは自分の師が、見た目に似合わず酒に強かったことを思い出していた。
 「そんなことは知っておるわ。だが、わし一人で飲むのもなんだからな。体を温めるくらいならよかろう?」
 適当な場所を探して、二人は並んで座った。
 「ほら!」
 言うと、太公望は懐から出した杯を一つ、木タクに渡した。
 「・・・なんで二つも持ってるんすか」
 木タクが呆れて問い返すと、太公望は酒壷を持つ手を軽く上げて封神台を示した。
 「一つは彼らに持ってきたのだ」
 左手で器用に酒の封を切ると、太公望は、木タクの杯に黄金色の液体を注いだ。
 辺りに、芳しい酒精と花の香りが漂う。
 「殷の風習では、霊を祀るときに酒は欠かせないものだそうっすね」
 太公望から酒壷を受け取り、今度は彼の杯に酒を注いでやりながら、木タクは言った。
 「らしいのう。だが、酒を持ってきたのは、単にわしが好きだからだ。深い意味はないよ」
 二人は申し合わせたように、杯を封神台へ掲げると、互いの杯を合わせた。
 そのまま一気に飲み干した太公望とは逆に、木タクはほんのちょっとなめた程度で、口から杯を離した。
 「師叔。ここを見て、どう思いやした?」
 杯の中に映る封神台を見つめながら、木タクは言った。
 手酌で二杯目を注いだ太公望は、杯を口に運ぼうとしていた手を止めて、木タクを見た。
 「こんなにも無残なのに、ここには死臭がしない・・・。
 崑崙山と金鰲島と、あんなにたくさんの仙道が死んだのに、まるで現実味がないんすよ」
 陳塘関総兵の息子として、幼い頃から戦を見てきた彼だ。
 戦が、どんなに残酷なものか。戦場が、どれほど惨たらしいものかはよく知っていた。
 だが、ここには骸(むくろ)がない。
 窪みにどす黒く溜まる血。日に日に腐っていく臓腑。骸をついばむ鳥の群れ。
 そんな、戦場にあるべきものが、ここにはなにもない。
 流れ出た血も、砕けた体も、残らず光となって、あの封神台の中に吸い込まれて行った。
 「これじゃぁ、あの混乱の中、誰が死んで、誰が生き延びたのか、そんなことすらわからない。
 もしかしたら、自分の目の前から消えただけなのに、死んだと思っているのかもしれない・・・」
 「・・・木タク、何が言いたい?」
 目を伏せて、太公望は二杯目の杯を空けた。
 「・・・俺はまだ、普賢師匠が亡くなったなんて思えない」
 木タクは金色の液体の中、音もなく揺蕩(たゆと)う封神台を見つめた。
 「せめて、骸があればよかったのに・・・」
 死者を弔うのは、遺された者のためだと言う。
 弔うことで死者と別離し、絶えがたい悲しみを昇華させるのだと。
 だが、封神されたものに弔いはない。
 封神台が三百六十五の魂魄を収めるまで、死ぬことも出来ずにただ封じられている。
 それは、遺された者達にこそ、残酷な存在だった。



 「木タク、あやつの故郷のことを、聞いたことがあるか?」
 いきなり話を変えられて、木タクは思わず視線を上げた。
 「聞いて驚いたぞ。
 なんと奴の故郷ではな、骸を焼いて、その灰を河に流すのだそうだ」
 おどけるように、太公望は大げさに震えてみせた。

 三杯目の杯は既に空き、手酌で四杯目を注ごうとする太公望の手から、木タクは酒壷を取り上げて注いでやった。
 「死んだ後にまた焼くなど、なんと恐ろしいことをするのだ、と思ったものだが、奴は笑って言っておったよ。
 『身体は焼かれても、心はみんなの中に残るんだ。それに、灰は河を流れて海に行く。世界と一つになれるんだ』とな」

 『僕も、死んだらそうやって弔われたいな、なんて。もう死ねない身体になっちゃったけどね』
 そう言って彼は、朗らかに笑った。

 「・・・奴はな、全てが終わったら、西へ帰るつもりだったのだ」
 「故郷に、っすか?」
 木タクは意外に思いつつ問い返した。
 師とは、幼い頃から長い間一緒にいたが、そんなことは一言も言ってなかった。
 「とても暖かで、きれいな所なんだとは聞いてやしたけど、帰りたいなんてことは一度も・・・』
 言いかけて、木タクは口をつぐんだ。
 師が故郷の話をしていたとき、聞いたことがあった。
 故郷に帰りたいですか、と。
 そのとき師は、いつものように穏やかな笑みを浮かべて言ったのだ。
 『僕はもう崑崙十二仙の一人だよ』と。
 木タクは、それを『帰るつもりはない』ということだと解釈したのだが、もしかしたら『もう帰ることは出来ないのだ』という、悲しい言葉だったのかもしれない。
 「・・・普賢師匠は、師叔になんて言ったんすか?』
 太公望は、おそらく弟子の自分よりも、よく師を知る人だ。
 自分に話さなかった事も、話せなかった事も、この人には話しているはずだった。
 すると彼は、口の端に苦い笑みを乗せた。
 「まるで背中合わせに立っているようだね。僕らはこんなにも違うのに、いつも一緒にいる」
 その囁きは、声も口調もそっくり師を真似ていた。
 「奴の言葉だ。共に下界に降りたとき、果てのない黄土高原を眺めながら言っておった」

 『望ちゃんは朝陽を、僕は夕陽を美しいと思う。時間も方角も全く違うのに、見ているものは同じなんだよね』
 普賢は、常に西のことを気にかけていた。
 沈みゆく陽(ひ)の向こうに、故郷の景色を見ながら。

 「おぬしが弟子入りする前のことだが、普賢にとっては、ひどく悲しいことがあった」
 『普賢にとっては』と言う部分をいやに強調する太公望に、かすかにうなずくことで木タクは先を促した。
 「奴の兄が死んだのだ」
 太公望の言葉に、木タクは眉をひそめた。
 身内が亡くなれば、誰だって悲しむだろう。あの優しい師なら、なおさらのことだ。
 だが、そんな木タクに、太公望は冷えた笑みを向けた。
 「両親を殺し、幼い普賢をも殺そうとした相手だ。しかも、その暴虐ゆえに、臣下に殺されたと言う。
 悲しんでやる必要などないと思うのは、わしが冷淡だからかのう?」
 木タクは息を呑んだ。
 あの、いつも穏やかに微笑んでいた師に、そんな過去があったなどとは思いもしなかったのだ。
 「どうしてそんなことを・・・」
 驚きのまま問う木タクに、太公望は空になった杯を差し出した。
 先ほどから絶え間なく杯を重ねているにもかかわらず、太公望に酔いの気配は全くない。
 木タクも、最初の杯を一口なめただけだったし、二人とも、深刻な話をするには哀しいほど、頭は澄んでいた。
 「よくある話だ。
 出来の悪い異母兄が、父や臣下に受けのいい異母弟に嫉妬して、自分を失脚させようとした臣下共々、父を殺した。
 普賢の母上は、その時に目の前で殺されたそうだ」
 「・・・ひでぇ」
 眉をしかめて、木タクは自分の杯を飲み干した。
 芳醇な香りと共に、喉をひり、と灼くものが滑り落ちてゆく。
 荒く息を吐いて、空になった杯を見ていると、太公望がふたたび金色の液体を注いでくれた。
 杯の中で揺れる己の顔は、常に穏やかだった師の表情とは程遠いものがあった。
 「なんでそんな奴のことを・・・」
 憎みこそすれ、悲しんでやる必要などないのに。
 だが、太公望は、そんな木タクの言葉にうなずきながらも続けた。
 「・・・その時にな、言っておったのだ。
 これで、一族は自分ひとりになってしまったと」
 これが、他者に滅ぼされたものなら、諦めもつくだろう。恨みも憎しみも、外に向けることができる。
 だが、一人の愚か者のために、彼の一族は自ら滅んだ。
 この世の中に、骨肉相食むこと以上に醜く、哀しいものはない。

 『みんな病んでるんだ。死病にとりつかれているんだよ。
 でも、それも仕方ないかもしれない。
 西にはまだ天がない。陽(ひ)が昇っていないんだ。でも、僕は信じてる。必ず、西にも陽が生まれるって・・・』
 その時は西に行く。
 僕の全てをもって、陽の助けとなる。
 そのために僕は、ここまで来たんだ。

 「陽って・・・なんすか?」
 「おそらく、西の教主となるべき人物であろうな。
 普賢はまだ生まれていない西の『陽』のために、己の全ての力を捧げるつもりだったのだろう」
 普賢は、自分が『陽』になるつもりはなかった。
 彼は、自分が優秀な補佐役にはなりえても、長として君臨できるタイプではないことを知っていた。
 だから、この地で待っていたのだ。
 その才能を、たゆまぬ努力で磨きあげて。

 『まるで背中合わせに立っているようだね』
 
 鋭く尖った視線で東を望む自分と、深く悲しみに満ちた目で西を見つめる普賢。
 いつか必ず別れが来ることは解っていた。
 その日が来るのが早いのか遅いのか、それだけがわからなかった。
 なのに。
 西の陽のために生きるはずだった彼は、こんな東の地で命を失った・・・。

 「師叔、俺は、どちらにしてもあの人に置いていかれるんすね」
 二杯目を空けた木タクの顔は、わずかに上気していた。
 「・・・俺はあの時、普賢師匠についていきたかった。
 聞仲が強大だってことは解ってたけど、あの人の力になりたかったんす・・・」
 なのに、師は自分に太公望の護衛を命じて、一人で逝ってしまった。
 「ひどいっすよ・・・。俺はずっと、師匠の力になりたいって思ってたのに・・・」
 あのときのことを思うと、悔しさで胸がいっぱいになる。
 長い間一緒にいたのに、自分はまだ、師にとっては信頼し得る存在ではなかったのだと、そう思えてならないのだ。
 「・・・馬鹿なことを考えるでない」
 抱えた膝に、顔をうめる木タクに、太公望は言った。
 「あやつはおぬしを信じておったよ。だから、おぬしを連れていかなかったのではないか」
 ぽんぽん、と、慰めるように軽く、太公望は木タクの頭を叩いてやった。
 「わしら仙道は普通の人間と違って、子を残すことは難しい。だから、子供代わりの弟子に、全てを教えようとする。
 普賢も同じだ。
 おぬしのことを、実の子のように思っていたからこそ、おぬしを残したのだよ」
 封神されると言うことは、この世界との交わりを完全に絶たれると言うことだ。
 人間ならば子を、骸を、この地に残して逝けるものを、封神されたものには一滴の血すら、この世界に残すことは許されない。
 「おぬしは、普賢がこの世界にいたと言う証明なのだ。
 一族も、自分自身も残せなかった普賢が、唯一残せたもの。それがおぬしだ」
 「でも俺は、普賢師匠のかわりになんて・・・!」
 勢いよく顔を上げ、反発する木タクに、太公望は穏やかに微笑んだ。
 顔は全く違うのに、その笑みはとても師に似ていて、木タクは言葉を失った。
 「おぬしは、紛れもなく普賢真人の弟子だよ。
 相手を見るときは、疑惑や悪意を持つな。
 無闇に争うな。
 おぬしは見事に、その言を実践しておるではないか」
 それらは、解っていてもなかなか出来ることではない。
 だがこの弟子は、その師の薫陶を受けて、師に近づく努力を惜しまなかった。
 「そんなおぬしを、どうしてあの普賢真人が信頼し得ぬことがあろうか。
 信頼しておったからこそ・・・おぬしなら、西に陽が昇ったとき、必ずや西の民を救ってくれるだろうと信じていたからこそ、おぬしを連れていかなかったのだ」
 これは、太公望の勝手な推測でしかない。
 が、彼は自分が間違っていないことを確信していた。
 「全てが終わったら西に行け。
 西に陽が昇るまで、自分で修行するなり、新たに師を探すなりするのだな。
 だが、これだけは覚えておくのだぞ。
 おぬしはあの普賢真人の、最初で最後の弟子だ。その訓えに背くことだけはならん」
 「そんなこと・・・」
 言われるまでもない。
 木タクにとって、自分が崑崙十二仙の一人、普賢真人の弟子であり、その訓えを遵守(じゅんしゅ)する者であると言うことは、何ものにも代えがたい誇りなのだから。
 だが今、彼は周軍を離脱し、師の『太公望を守ってほしい』という、最後の命を守れずにいる。
 表向きは、『人間同士の戦に加わるつもりがない』と言う理由だったが、戦場で常に師と共にありながら、その犠牲によって生き残っている太公望に、多少の屈託がなかったとは言い切れない。
 太公望も、表情には出さないものの、木タクの気持ちを察しているのだろう。戻って来いとは言わなかった。
 「・・・情けねぇなぁ」
 一言、そういうと、木タクは立ち上がった。
 酒で火照った身体に、舞い散る雪が心地いい。
 「師叔!」
 腰に手を当て、視線を封神台に据えたまま、木タクは太公望に呼びかけた。
 「俺は人間相手には戦えない。自分より弱いものを相手に戦うなんて、九功山の訓えじゃ、破門モノの禁忌っすから。でも・・・」
 肩越しに、地面に座ったままの太公望を見やって、木タクは片目をつぶった。
 「仙道相手の戦には、お供させてもらいやすぜ!
 女狐の毛皮を手土産に、西に行かなきゃなんないんでね!」
 「・・・言うではないか」
 木タクの言葉に目を丸くした太公望は、そう言って不敵に笑った。
 彼は太公望に笑みを返すと、彼と封神台とに礼儀正しく別れの挨拶をして、瓦礫の山を降りて行った。
 見送りつつ、西の空を見ると、陽はすでに傾きかけて、曇天を薄く、牡丹色に染めつつあった。
 「明日は晴れるのう」
 太公望は立ち上がると、封神台へと向き直り、壷に残った金色の液体を宙に振りまいた。
 「次は戦勝報告に来る。それまでさらばだ」
 ヒュッと軽い音がして、太公望の手の中で風を操る宝貝が動く。
 彼の前に一瞬、金色の霧が現れ、その芳醇な香りと共に風にさらわれた。






 Fin.















普賢コメント  
このお話の設定は、洞主がずっと前にFFFに投稿した、『東風西風』が元になってるんだよ(^-^)
洞主の勝手な妄想だから、原作とは全く関係ないものだと思って読んでね(^-^)
・・・それと洞主。
第18部40ページを参照して欲しいな。
うちの子はちゃんと参戦してるよ?(^-^)
 
くれはコメント  
とうとう書いてしまいました・・・。

『黄土高原に二人、背中合わせに立っている』と言うイメージは、実は普賢さん登場間もない頃からもっていたものです。
いつか、この二人の『別れ』を書きたいと思っていたら、仙界大戦・・・(T-T)
しかも今回、とうとう『逝く』と言う言葉を使ってしまいました(断腸)
でも、私の気持ちは、木タクのあのセリフに集約されています。
『これじゃぁ、あの混乱の中、誰が死んで、誰が生き延びたのか、そんなことすらわからない。
 もしかしたら、自分の目の前から消えただけなのに、死んだと思っているのかもしれない・・・』
私の中ではまだ、普賢さんを弔えてないのです・・・。
・・・そして、これを書き終わった後、判明しました・・・。
木タク、おにーちゃんと共に、しっかり周に従軍してます;;;
 





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