The Grand Tour






















◆  序  ◆







 原初、世界は混沌であった。
 天と地、光と闇、火と水、空気と土は分かれることなく混じりあい、うごめいていた。
 やがて、軽いものは上に上がり、重いものは下に溜まり、留まるものは腰を据え、流れるものは巡り、『世界』が出来上がった。
 そしてその中から、三人の神が生まれた。


 水と風の支配者・湟帝。
 闇と大地の支配者・惶帝。
 光と炎の支配者・煌帝。

 三人の神は、『世界』を『母皇』として敬い、それぞれが彼女へ美しい物を贈った。
 湟帝は母の、蒼く美しい裳に風で波を送り、白く華やかな襞飾りが常に彼女の周りを彩るように。
 惶帝は母の中心である山のふもとに珠玉の島を散りばめた。彼女の美しい首を覆う瓔珞(ようらく)のように。
 煌帝は、母の上に多くの緑や色とりどりの花を贈った。彼女の衣装が、常に華やかであるように。

 そして、三人はそれぞれ天に、地に、海に宮殿を置き、次々に眷属を作っていった。
 彼らが最初に作ったのは、彼らに仕える者達。
 水・風・闇・土・光・火そして樹の精霊達だった。
 彼らは神々に仕え、創造の手助けをしては、『世界』を豊かにしていった。
 『母皇陛下』と敬って・・・。





〜 to be continued 〜


 







Euphurosyne