† RUMBLE U †





†このお話はヴァンパイア・パラレルです†

  舞台は19世紀ですが、D.Gray−manの原作とは、ほとんど関係ありません。
  頭を空っぽにして読んで下さいねv



 ―――― もう何年前のことか。
 彼女と初めて会ったのはこんな、風の冷たい日のことだった。
 秋が深まり、冬へと向かう季節。
 薄い服では到底越せないだろう残酷な季節の到来に怯え、震えていた彼を、彼女は無表情に見下ろした。
 空腹で立つ気力もなく、地べたに座り込んでいた彼が珍しい石でもあるかのようにまじまじと見つめる彼女の頬は、砂糖菓子のようにふっくらとして艶があり、たくさんのフリルに覆われたドレスは冷たい風を跳ね退けて、甘い香りを放っている。
 ぼんやりと見つめ返す彼に何を思ったのか、彼女は薄荷糖のように白い手を差し出した。
 「そんなところにいたらお前、明日には冷たくなっているよ。
 僕と一緒においでぇ」
 無表情のまま、かけられた言葉の意外さに彼は目を見開く。
 「なん・・・で・・・?」
 驚く彼の前で、彼女は小首を傾けた。
 「このまま死なれちゃ目覚めが悪いから・・・じゃないなぁ。
 多分・・・元気になったお前が面白そうだから。
 いじめがいがありそう」
 そう言って彼女は、初めてにやりと笑った。
 傲慢で横暴で意地悪な少女・・・。
 だが、最初に手を差し伸べてくれた・・・そのことは事実だった。


 「待ってください、リナリー!本当に行っちゃうんですか?!」
 腕を掴んで必死に止めるアレンを肩越しに見やり、リナリーは大きく頷く。
 「でも・・・きっといませんよ!
 コムイさんはリナリーが欧州にいると思ってるんだもん!
 一人でロンドンに帰ってるわけないよ!」
 「そうかも知れないけど・・・!」
 声を詰まらせて、リナリーは首を振った。
 「でも!
 兄さんはこの国に留学生として来てるんだもん!
 この時期は大学にいなきゃいけないはずなんだ・・・きっといるよ!」
 アレンの手を振りほどこうとして、更に強く引かれる。
 「アレン君・・・!」
 「ヤダ!」
 リナリーの腕を掴んだまま、アレンは頑迷に首を振った。
 「コムイさんがいるんだとしたら、あの目つきの悪いパッツンもいるかも知れないんでしょ?!
 絶対に会わせたくない!」
 「それって神田のこと?」
 苦笑するリナリーにアレンは大きく頷く。
 「コムイさんだけでも危険なのに、あいつにまでほだされて、連れてかれちゃったら嫌ですもん!」
 「・・・そんな心配しなくったって、もう帰れないよ。
 うちが普通の家ならまだしも・・・」
 リナリーの家はヴァンパイア・ハンターの家系で、彼女自身も将来を嘱望されていた。
 「本家からも目を付けられたらしいから、長居はできない。
 わかってるんだよ、そんなこと!」
 大声と共にリナリーは自身の腕を掴むアレンの腕を捻りあげ、足払いをかけてその身体を宙に舞わせる。
 「ぎゃふんっ?!」
 何が起こったかわからず、呆然と天井を見上げるアレンにリナリーは鼻を鳴らした。
 「しばらくそこで寝てて」
 「え?!待って・・・いったぁ!!」
 受け身も取れずに床に叩き付けられた後頭部には大きなたんこぶが出来ていて、起き上がった途端にずきずきと痛む。
 「なんで・・・?!」
 制止も聞かず、部屋を出て行くリナリーの背を見つめるアレンの哀れな姿に、ラビが盛大に噴き出した。
 「アレン、よっわ!
 女の子に投げられてやんの!」
 けらけらと笑う彼を睨み、アレンは既に閉ざされたドアを指す。
 「どういうこと?!
 リナリーは僕が眷属にしたんだから、僕のお願いは断れないはずでしょう?!」
 「普通はな」
 頷いたラビは肩越し、親指で窓の外を指した。
 「でも、イングランドのこの時期は別さ。
 ろくに信心しないくせに、妖精や化け物の存在は本気で信じてる奴らがわんさかいて、わざわざ魔女やゴーストまで呼び寄せて馬鹿騒ぎするだろう?
 そういう『想い』ってのは本当に、冥府の門を開いちまうもんさ。
 眷属どころか使い魔までもがパワーアップしちまって、主人の言うこと聞かなくなっちまうの。
 つまりー・・・」
 にんまりと、ラビは意地悪く笑う。
 「対等の条件になっちまったら、リナはお前より断然強かった、ってコトv
 「う・・・・・・!」
 恥ずかしさに耳まで赤くして、アレンは俯いた。
 体勢を変えるとまた、打ち付けられた頭がずきずきと痛む。
 「負けっぱなしで追いかけねぇの?」
 「お・・・追いかけますよ!」
 立ち上がると立ちくらみがしたが、歩けないことはなかった。
 「リ・・・リナリー・・・!待ってぇ・・・!」
 ふらふらとよろめきながら部屋を出ようとするアレンに苦笑し、ラビは居心地のいいソファから立ち上がる。
 「俺もついてってやるさ♪」
 家でじっとしているよりおもしろそうだと、ラビはまだふらつくアレンの腕を抱え、軽やかな足取りで邸を出て行った。


 「・・・あぁ、ほら!
 アレン君やラビ君も出ていきましたよ。
 ねぇ・・・早く私達も行きましょう?」
 前門に面した二階の窓から、アプローチを駆けていくアレン達の背を見つめて、ミランダは困惑げに振り返った。
 しかし、いがみ合い中のハワードとリーバーには聞こえなかったのか、彼女を見てもくれない。
 「あ・・・あのぅ・・・・・」
 懸命に声をかけようとするが、か細い彼女の声は、怒り狂った犬のように吠え合う二人の声に消されてしまった。
 「お・・・お姉さまぁ・・・・・・」
 困り果てたミランダは、そっと二人の傍を離れて、エリアーデの仕度部屋へ入る。
 「アラ?
 あなた、前夜祭のお祭見に行ったんじゃなかったの?もう帰ってきたの?」
 鏡越し、目を丸くする姉にミランダは弱々しく首を振った。
 「ち・・・違います・・・。
 まだ行ってないんです・・・」
 「早く行ってらっしゃいよ。
 いくら遅くまでやってるとは言っても、さすがに一晩中はないでしょ?」
 何度も瞬きして、つけ睫毛のバランスを確かめたエリアーデは、小さな羽根が何枚も入ったガラスの小皿を引き寄せる。
 「それとも、街のパーティなんかやめて、私達と一緒に来る?
 きっと楽しいわよ、仮装パーティ」
 鏡越しに笑いながらエリアーデは、長い睫の先に華やかな鳥の羽をつけていった。
 「お姉さま、お願いです・・・。
 あの人達に喧嘩をやめるように言ってください・・・」
 困り果てたミランダにしかし、エリアーデは意地悪く舌を出す。
 「嫌よ。
 私が身支度中に殿方と会わないことは知ってるでしょ。
 終わるまであと1時間はかかるわ。
 それまで待てるの?」
 「・・・・・・わかりました」
 しょんぼりと肩を落とし、出て行こうとするミランダをエリアーデは呼び止めた。
 振り返ったミランダの、期待に満ちた目の前に差し出されたのはしかし、姉の協力ではない。
 「これ、持っていきなさい。
 人が多いでしょうから、迷子防止用よ」
 「ペンダントですか?」
 エリアーデが差し出す長めのチェーンの先には、宝石のようにカットしたガラス瓶が下がっていた。
 「中に香水を入れているの。
 私達には体温がないから、身体につけてもあまり香らないでしょう?
 だけどこれに香水を入れて身に着けておけば、人混みの中で迷子になっても、香りを辿って見つけてもらえるわ」
 犬以上の嗅覚だからと、エリアーデが意地悪く笑う。
 しかしミランダは姉の嫌味に全く気付かず、嬉しげにペンダントを受け取った。
 瓶の蓋を開けると、甘く濃密な花の香りが漂う。
 「いい香り・・・!
 そうですね、これなら安心です」
 迷子になってもこの蓋を開けるだけでいいと思えば、心強かった。
 「行ってきますv
 もうあの二人は置いて行きますv
 トマさんをお借りしてもいいですか?」
 「えぇっ?!ダメよ!
 私達だってこれからパーティなのよ!
 貴族の従者として、トマは必要だわ!」
 顔色を変えたエリアーデに、ミランダは首をすくめる。
 「そうですよね・・・。
 トマさんがいてくれれば安心だったんですけど・・・」
 しかし、さすがに主人夫婦の信頼厚い眷属を急に借りられるわけがなかったと、ミランダは小首を傾げた。
 「じゃあ・・・せっかくだから、辻馬車と言うものを使ってみてもいいですか?」
 「え?うちの馬車がまだあるでしょ?
 なぜ・・・って、そうね、御者が怪我で休んでいるんだったわ」
 ロンドンで雇ったばかりの『人間の』御者は昨日、奥方のヒステリックな怒声に怯えた馬をなだめようとして蹴られ、休養中だった。
 「お姉さま・・・外まで聞こえるような声はさすがに・・・」
 演技だとわかっているが、昨日は演技過剰だったと苦笑するミランダに、エリアーデは肩をすくめた。
 「普通の馬があんなに神経質だなんて思わなかったのよ。
 イングランドの馬は気弱ね」
 「またそんな意地悪を・・・」
 くすくすと笑って、ミランダはペンダントを首にかける。
 「じゃあ、二人に声をかけてから行ってきます。
 ・・・聞こえるかどうかわからないけど」
 「え?!一人で行くの?!」
 さすがに驚いたエリアーデが大きな声を上げると、ミランダは恥ずかしげに頷いた。
 「や・・・やってみます・・・!」
 「そ・・・そう。
 気を付けてね・・・」
 気弱すぎる妹が自分から言い出した冒険の成功を祈りたくはあったが・・・。
 案の定、ミランダの決意を知った男達は即時休戦して彼女に随行していった。
 「独り立ちはまだ無理そうねぇ・・・」
 窓辺に寄ったエリアーデは、アプローチを渡っていく3つの影を見送りながら苦笑した。


 「た・・・ただいま・・・?」
 かつて自分も住んでいた小さな家の低い門扉を開けると、門内で放し飼いにしている犬達が尻尾を振って寄って来た。
 「久しぶりだね!
 覚えててくれたんだ・・・!」
 もう人ではなくなってしまったのに、変わらず懐いてくれる犬達に思わず感涙する。
 「ね・・・ねぇ、兄さんいるかな?
 管理人さんがいるんなら・・・事情を知らないし、ちょっと入りにくいんだけど・・・」
 問うと、賢い犬達は甘えるような鳴き声を一斉にあげた。
 「リナリー?!」
 途端に窓が開いて、コムイが身を乗り出す。
 「リナリー!
 帰ってきてくれたんだね!!
 「兄さん!」
 1階とは言え、軽々と窓を飛び越えて抱きついてきた妹を、コムイは嬉しげに抱きしめた。
 「よかった!
 エミリア君の言った通りだよ!!」
 「エミリアが来たの?なんで?」
 クロウリー家とは今、険悪な状況なのにと目を丸くするリナリーに、コムイはくすくすと笑う。
 「まだ神田君を狙ってるんだよー。
 だけど、今回の件じゃティエドール様がほだされちゃって、神田君、お婿入りの危機だよv
 「今回の件って?」
 何を言ったんだろうと、興味を惹かれたリナリーにコムイは微笑んだ。
 「今日はゆっくりできるんでしょ?
 お茶を淹れるよ」
 優しく背を押されて入った居間には、神田とティエドールもいる。
 「・・・あの化け物の言う通りになったな」
 「リナリー!
 元気そう・・・と言うのも変だけど、無事で何よりだよ!」
 「・・・ティエドール様はおかげさまでだけど、神田はもっと嬉しそうな顔してくれないの?!」
 神田のそっけない態度に、リナリーは頬を膨らませた。
 「それで、なんでみんな、エミリアを歓迎してるの?」
 「俺は歓迎なんかしてねぇよ!」
 ミルクを入れたカップに温かいお茶を注いでもらいながらリナリーが問うと、神田が忌々しげに吐き捨てる。
 「伝書鳩の役だけやってりゃあいいもんを・・・!」
 「でも彼女、ホントにいい人だしさぁ。
 お金持ちだし、入り婿しちゃいなよv
 うまく行ったら家を乗っ取れるよ?」
 笑いながら不穏なことを言うコムイは、エミリアからもたらされた情報を詳細に語って聞かせた。
 「そうだったんだ・・・!
 じゃあもしかして、忙しいはずのラビが一緒にいるのって、そのせいなのかな・・・?」
 「あれ、と言うことはもう長老に相談しちゃってるの?」
 遅かったか、と苦笑するコムイには、首を振る。
 「それはわかんないけど、代替わりしたばっかりでのんびりできるはずがないラビが突然お城に来て、しばらく厄介になるって、ロンドンまで着いて来ちゃったの。
 長老も後から来るようなことを言ってたんだけど、なんで来るかは教えてくれなかった。
 アレイスターさん達も聞かされてないみたいだったし・・・もしかしたらラビは、そのサンプル?の採収目的で来たのかもね」
 「・・・サンプルなんて言われたら、特に女は怒るだろうな」
 「トーヘンボクのユウくんでも予想ついちゃうよねぇ。
 とてもじゃないけど、本人達には言えないねぇ」
 うんうん、と頷く師を睨んだ神田は、不意に悪い笑みを浮かべる。
 「じゃあ敢えて、教えてやればいいんじゃないか?
 あの赤毛を痛めつけるチャンスじゃねぇか」
 「うん、さすがに悪いこと考えさせたら天才だけどね、神田は」
 苦笑して、リナリーは首を振った。
 「以前ならともかく、今のラビは恩人の孫で、恩人の家の当主なんだ。
 あの夫婦より断然格上になっちゃったんだよ・・・」
 「ちっ。
 じゃあ、俺が痛めつけて・・・」
 「実家にご招待されたけど、赤毛の一族って壮観だったよ。
 ものすごい人数いたし、殲滅する気がないならやめといた方がいいと思うなぁ・・・」
 返り討ちが怖い、と苦笑するリナリーに、神田はむっと眉根を寄せる。
 「じゃあ白モヤシいたぶるか。
 あいつなら問題ねぇだろ」
 「うん、大丈夫」
 「ってひどいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
 リナリーが頷いた途端、絶叫と共に居間のドアが開いた。
 「初めて会った時からずっと求婚している僕なのに、どこがいけないんですか!」
 「初めて会った時から強引に迫ってきた挙句、私をヴァンパイアにしちゃった所だよ!」
 泣き縋ってくるアレンをリナリーが振り払う前に、コムイによって引き離される。
 「なに当然のように邪魔してるんだい、アレン君!
 リナリーから離れなさい!!」
 「やですー!
 夜が明ける前に僕はリナリーを連れて帰ります!」
 べーっと、アレンは生意気に舌を出した。
 「さぁ帰りましょ!
 こんな、ヴァンパイア対策で朝日が差し込むようにできてる家なんて危険ですよ!」
 言うやアレンが指した東側の窓にはカーテンどころか隣家もなく、昇り来る朝日が直接入るように設計されている。
 「うっわ、ホントさ!えげつねー!」
 いつの間にか部屋にいたラビが、東側の窓を開けてまだ暗い景色を眺めた。
 「ハンターの家って初めて入ったけど、色々対策されてんさねー。
 壁のあちこちにアリルプロピルジスルファイドの水溶液やガス噴霧装置が隠してあるし・・・うっかり噴霧させたら大事な妹が悶絶死しちまうよんv
 にんまりと笑って振り返るラビを、コムイが忌々しげに睨む。
 「まったく、ヴァンパイアってのは躾がなってないね!
 他人の家に入る前に、お邪魔しますくらい言えないもんかな!」
 「お邪魔してるさーv
 ところでさっきお前らがしてた話なんけど、マジで俺らサンプル採取狙ってっから、黙っててくんね?」
 にんまりと笑うラビに、リナリーが眉根を寄せた。
 「そんなのわざわざ採取しなくったって、ラビ達はとっくに知ってるんじゃないの?
 実家にいた『一族』の多さは、その証拠じゃないか!
 繁殖が難しいはずの純血が、なんであんなにいるんだよ!」
 指摘した彼女に、ラビは感心したように頷く。
 「アレ見ただけで気付くなんてすげーじゃん、リナ!
 でもあの大部分は単に長生きってだけで、繁殖の結果じゃないんさ。
 なんたってウチは、紀元前から同じ当主だったからさ。
 一番の年寄りに率いられた象の群れが繁栄するみたいに、他家とうまく折り合いつけながら『死ななかった』ってダケv
 「つまり、キミの一族は老獪な当主のおかげで他家からの侵略もハンターからの狩りも避けてきたってことかい?」
 ティエドールの問いに、ラビは目を細くした。
 「完全に、ってわけじゃないけどな。
 実際、俺の両親は狩られたワケだし」
 「・・・復讐もすごかった、とは聞いているよ」
 「そりゃそうさ、せっかくの実験体を人間なんぞに奪われたんからさ」
 声を低くしたティエドールに、ラビがクスクスと笑う。
 「貴重な純血をお産で死なせない方法はまだ、試行錯誤中なんさ。
 俺はいちお、成功例かな。
 なのに二人目産む前に俺の母親が殺されちまったから、ジジィの怒りもハンパなかったってコト。
 おばちゃん達に捕まったのも運が悪かったよな。
 そりゃもう、お前らには想像もつかないような嬲られっぷりだったらしいさ」
 だから、と、ラビは笑みを納めた。
 「また邪魔すると、ジジィマジでキレっから。
 手出し無用でお願いするさ、お前らのためにな」
 「・・・はっ!
 随分偉そうな口を叩くようになったもんだな、威を借る狐が」
 神田の鋭い目で睨まれて、ラビが怯えた目を逸らす。
 「当主になっても弱っ!」
 「う・・・うっさいさ!!」
 アレンの指摘に殊更大声で答えたラビは、気まずげに咳払いした。
 「と・・・ともかく!
 こっちの要求は伝えたし、俺はとっとと街でやってるハロウィンの前夜祭に行きてぇんけど・・・」
 と、ラビはアレンとリナリーを見比べる。
 「お前らいかねーの?
 リナも、兄さんと一緒にいたいのはわかるケド、この家は出た方がいいさ。
 無臭で人間には無害なガスが、いつ漏れ出すかわかんねーぞ?」
 彼が開け放った窓の傍から離れないのはそのせいかと気付いて、怯えたリナリーが身動ぎした。
 「・・・そうだね、この家はリナリーには危険だ」
 頷いたコムイは、リナリーの手を引く。
 「じゃあ、おにーちゃんとお祭に行こう!
 アレン君なんかと行くより楽しいよv
 「うんっ!!」
 「そんなっ!!」
 嬉しげに立ち上がったリナリーに、アレンが絶叫した。
 「僕と行った方が楽しいよ!
 だってこれ、子供のお祭りですもん!」
 お菓子もらいに行こう!と、もう一方の手を引くアレンの鼻先を、コムイが容赦なく弾く。
 「いぎゃっ!」
 「女の子の夜歩きに保護者は必須です!
 キミはラビと行っといで!」
 しっしっと、手を払ったコムイはリナリーの手を引いた。
 「早速行っちゃおう!
 神田君もおいでよー!」
 「あぁ?
 いらねーよ、菓子なんか」
 わずらわしげに首を振った彼に、コムイも真顔で首を振る。
 「いや、アレン君対策で」
 「行ってやってもいい」
 「来るな馬鹿ー!!!!」
 すらりと立ち上がった神田の肩を背後から掴んで、椅子に戻そうとするが、
 「俺にさわんじゃねぇ!」
 鋭い肘鉄を受けて、アレンはその場にうずくまった。
 「アレン、大丈夫さー?」
 窓際から離れようとしないラビが声をかけると、アレンはしくしくと涙を床に零す。
 「うぅ・・・みんなひどい・・・!
 僕の幸せ邪魔しないでよぅ・・・!」
 「自分勝手な子だねぇ。
 そんなに幸せになりたいなら、ここで天国に行かせてあげようかな?」
 行けるかどうか知らないけど、と、銀のナイフを振りかぶったティエドールからアレンは慌てて身を離した。
 「ほれ、アレン。
 リナはにーちゃん達と行くらしいから、俺らも行こうぜ?
 どーせ、リナが帰ってくんのはこっちなんだしさ」
 意地悪く舌を出したラビを、神田が鋭く睨む。
 「こ・・・こわっ!
 ホントのことじゃん・・・!」
 驚いて出していた舌を噛みそうになったラビを、リナリーが呆れ顔で見遣った。
 「こんなのが当主なんて、兄さん達が何もしなくても勝手に滅んでくれそうだよね、ラビの家は」
 「だからおじいちゃんが楽隠居できないんですよね。可哀想」
 「うっさいさ、リナ!アレンも!」
 いまだ床の上に転がったアレンの襟首を掴んで立たせたラビは、開けたままの窓から彼を放り投げる。
 「んじゃ、俺ら先行ってっから!
 後からのんびり来るといいさねーv
 手を振ったラビは、続いて窓から飛び降りた。
 「・・・勝手なことを!」
 忌々しげに呟いたコムイは、リナリーを抱き寄せる。
 「夜明け前には帰らなきゃいけないにしても・・・それまではボクと一緒にいようね」
 「うん・・・!」
 兄の温かい身体に抱きついて、リナリーは何度も頷いた。


 様々な仮装をした子供達が行列を作り、各家のドアを叩いてはお菓子をもらってはしゃいでいる。
 手にしたランタンの明かりが揺れ、暗い夜道はくりぬかれたカブの笑みの形に照らされていた。
 道端に座り込み、その明かりをぼんやりと見つめていた少女は、不意に目の前にしゃがみこんだ紳士に驚いて身を硬くする。
 「どうした、こんな所に座り込んで。
 お前はお菓子をもらわないのか?」
 優しく微笑む目元のホクロを見つめ、彼女は夜風に冷えた唇を動かした。
 「ダメだよ・・・。
 お菓子がもらえるのは、ちゃんと家や親がいる子供なんだ。
 あたしが行ったって、追い払われるだけだ」
 擦り切れたスカートに顔を埋めると、暖かい手が頭を撫でてくれる。
 「家がないのか。親も」
 「うん・・・。
 今日まで孤児院にいたけど、あんまりいじめられるから、イヤになって出て来た。
 でも、どこにも行くところがなくて・・・帰んなきゃと思ってたところ」
 よろよろと立ち上がると、冷え切った足が痛む。
 と、俯いた目の前にクッキーの袋が差し出された。
 「イヤなら帰る必要なんかない。
 行く所がないなら、ついてくるといい。
 お前、メイドになるのはイヤか?」
 立ち上がった紳士は驚くほど背が高くて、見上げると細い首が痛くなるほどだ。
 「雇ってくれるの・・・?」
 「お前と同じくらいの年の女の子がいる。
 ワガママで意地悪だけど、少なくとも邸は、孤児院より温かくてうまいメシもあるぞ」
 紳士の割りに口が悪いとは思ったが、彼女は救いの手に飛びついた。
 「行く!連れてって!」
 「いいよ」
 にこりと笑った顔が優しくて、差し伸ばされた手をためらいなく取る。
 彼はもう一方の手を伸ばして辻馬車を呼び止めると、少女を乗せて行き先を告げた。
 「先に行ってな。
 邸に着いたら、ティキの紹介だって言うんだぞ」
 こくりと頷いた少女に笑って頷き、彼は馬車のドアを閉める。
 「今日はこれで4人目か。
 意外と多いもんだな」
 呟いたティキは大通りに戻り、黒塗りの立派な馬車に歩み寄った。
 「シェリル、4人目送ってきたぞ。
 今日はこのくらいにしとかないか?」
 馬車に乗り込み、中で待っていた兄へ囁く。
 「いくら孤児ったって、一晩にこんだけさらうと警察に目をつけられ・・・なに見てんだ?」
 窓にかかるカーテンを細く開け、そっと外を窺う兄に問うと、彼は手にしたステッキで見つめる先を指した。
 「あのお嬢さん・・・。
 どこかで見た気がするんだけど、誰だったか思い出せなくってねぇ・・・。
 キミ、覚えていないかな?」
 「女?」
 身を乗り出したティキは、カーテンの隙間から外を覗き見る。
 「あの、身なりのいい女だよな?
 さぁ?・・・って!あの!隣の男!!」
 「隣のって・・・どっちだい?背の高い方?」
 「いいや!ちっさくて髪の長い方!!」
 本人が聞けば全力で殴りに来そうな表現を使って、ティキは金髪の青年を指した。
 「あいつ、俺らがエジプトまで追っかけた一家の一人だ!
 発信機仕掛けた少年を叱ってた奴だよ!」
 「・・・あぁ!」
 カジノで騒いでいた一人かと、シェリルもようやく思い出す。
 「では、あのお嬢さんもあの一家の一員か。
 と言うことは、大変なお金持ちの令嬢だねぇ。
 あの時、あの一家のことは調べたけど、欧州各地に領地を持っている家だそうだよ」
 「ってことは!」
 にんまりとティキが笑った。
 「もう一人、獲物ゲットだな!」
 「5と言う数字はキリが良くて、ボクは好きだねぇ」
 シェリルもにこりと笑って窓のカーテンを開ける。
 「そうと決まれば、ロードを呼び戻そう。
 公に任せて先に帰ろうと思っていたけど、令嬢を誘拐するのにあの子は便利だからねぇ」
 ちらりとティキを見遣ると、彼は心得て馬車を降りた。
 「パーティの続きは邸でだな。
 ロードがごねないといいけど」
 「新しいおもちゃを与えるんだ、ごねやしないさ」
 クスクスと笑ってティキを見送ったシェリルは、目を令嬢へと戻す。
 「さぁて・・・。
 あの令嬢は、いくらの価値があるかなぁ・・・」
 怪しい視線の先で、自分が値踏みされているとは知らないミランダは、こんな場所でもケンカする二人に手を焼いていた。
 「あの・・・!二人とも、少し静かに・・・!」
 周りの目を気にするミランダを挟んで、二人は懲りもせずに睨みあう。
 「そうだ、金切り声で騒ぐ奴はとっとと帰れ!
 ロンドンは俺が住んでた街だ!お前なんかいなくても道に迷う心配なんかないんだよ!」
 「道に迷う心配ではなく、姉上様の傍に不逞の輩がいることが心配なのだ!
 貴様こそハンターの家にでも行って、感動の再会でもしてはどうだ!
 銀と朝日で大歓迎してくれるでしょうよ!!」
 「お前こそハンターの前に引き出してやろうか!
 弟がいつまでも姉について回って、少しは恥を知れよ!!」
 「もぉ・・・」
 今日だけで何度聞いたか知れない不毛な言い合いにうんざりして、ミランダは少し離れた場所を歩いていく子供達の列に目をやった。
 「あ・・・あの、リーバーさん?
 あの子供達は、なんでカブをランタンにしているんですか?
 とっても可愛いわv
 わざとらしいほどにはしゃいだ声をあげるてみるが、言い争う二人には全く聞こえていない。
 ため息をついたミランダが視線を戻すと、行列の向こうに見知った顔を見つけた。
 「ま・・・まぁ!クラウドさま!」
 声をかけると、聴力の優れたヴァンパイアである彼女はすぐにミランダを見つける。
 「久しぶりだな」
 軽く手を上げて答えた彼女の声も、大きくはないがミランダの耳には良く聞こえた。
 「クラウドさまもいらしてたなんて、知りませんでしたわ」
 ケンカばかりする男達から離れたミランダは、子供達の行列が過ぎるのを待ってクラウドの傍に寄る。
 「お仕事ですか?」
 「いや」
 笑って首を振ると、ランタンに照らされた金髪がさらさらと煌いた。
 「ロンドンに来ているエミリアに呼ばれたんだ。
 この時期は闇の力が満ちていて心地よいから、休日を過ごすにはいいと言われてな」
 「本当にそうですね。
 私、この時期に来たのは初めてですけど、こんなに気持ちがいいなんて思いませんでした。
 前に来た時とは段違いに気分が高揚して・・・なんだか、何でもできる気分になってしまってv
 いつも控えめで内に閉じこもるミランダには珍しいはしゃぎぶりに、クラウドは微笑む。
 「純血はもちろん、眷属や使い魔までも力が漲るそうだからな。
 おかげでラウが、どこかに消えてしまって・・・困っているんだ」
 きょろきょろと辺りを見回すクラウドの隣で、ミランダも目をさまよわせた。
 「ラウちゃんも使い魔ですものねぇ・・・。
 どこか心地よい場所を見つけたんじゃ・・・きゃっ!」
 いつの間にか馬車道に飛び出していたミランダは、走ってきた馬車に轢かれそうになり、慌てて歩道に戻る。
 「大丈夫か?」
 「は・・・はい・・・!
 あ!!」
 気遣わしげに屈みこんだクラウドを見上げたミランダは、彼女の肩越し、積み木のように詰め込まれた家々の屋根に白い毛並みを見つけて声をあげた。
 「あれ!あれ、ラウちゃんじゃありませんか?!」
 「あぁ、そうだ!」
 人外の目で正確に闇を透かしたクラウドは、頷いてその家に歩み寄る。
 「ラウ!
 戻っておいで、ラウ!」
 名を呼ぶが、この地の空気ですっかりワガママになった使い魔は、ぷいっと顔を背けて主人に従おうとしなかった。
 「まったく!
 ラウ!言うことを聞け!」
 「ラ・・・ラウちゃん!お菓子食べませんか?お菓子ありますよ!」
 行きあった子供達に配ろうと、祭の出店で買っていた菓子の袋を掲げると、白い小猿は鼻を引くつかせ、ちょろちょろと下りてくる。
 「よかった・・・!
 さぁ、ラウちゃ・・・!」
 安堵したのも一瞬、ミランダの手から菓子の袋を奪った小猿は再び駆け去って行った。
 「おのれ・・・!」
 怒ったクラウドが追いかけ、ミランダももたもたとその後に従う。
 しかし、自治警の長官である彼女の足に追いつくはずもなく、大通りを外れた小道に入り込んだまま、ミランダは抜けられなくなってしまった。
 「ど・・・どうしましょう・・・!ここ、どこかしら・・・!」
 クラウドの姿も見失い、困り果てたミランダは夜道をうろうろとさまよう。
 「そ・・・そうだわ・・・!
 人の声が、たくさんする方へ行けばいいんだわ・・・!」
 祭はまだ終わっていないのだから、そうすれば大通りに出られるはずだと気付いて、ミランダは耳を澄ませた。
 今日はことのほか良く聞こえる耳が、人々の笑いさざめく声を容易に捉える。
 「良かった、こっちだわ・・・!」
 声を頼りに歩いて行くと、拍子抜けするほどあっさりと大通りに出られた。
 しかし、
 「リーバーさん?ハワードさん・・・?」
 頼るべき二人の姿はどこにもなく、ミランダは困り果てる。
 「ど・・・どうしましょう・・・!
 はぐれてしまったわ・・・!」
 元々血の気のない顔を更に蒼くして、ふらふらと歩み出た馬車道でまた轢かれそうになった。
 「気をつけろよ!!」
 慌てて手綱を引いた御者に怒鳴られ、身を竦めたミランダは、ふと彼を見上げる。
 「そ・・・そうだわ・・・!
 あの・・・!これは、辻馬車と言うもの・・・ですよね?」
 自信なげに問いかける彼女の身なりを見た御者は、いきなり下手にでた。
 「へぇ、奥様。
 おっしゃるとおり、辻馬車でございます。
 どちらかへ御用で?」
 「あの・・・!私、家に帰ろうと思うんですが、送っていただけるんでしょうか・・・?」
 「もちろんでございます。
 お代さえいただけば、ちゃんとお送りしますよ」
 にこにこと愛想笑いをする御者にほっとして、ミランダは手にしたバッグの中を探る。
 「あの・・・お代って、このくらいでいいのかしら?」
 「金貨?!も・・・もちろんですよ!!」
 声を詰まらせながら御者台から飛び降りた彼は、恭しく馬車のドアを開けた。
 「ど・・・どちらまでお送りしましょう?!」
 「えぇ、家まで」
 にこりと微笑むミランダに、御者は頷く。
 「へぇ、お宅はどちらで?」
 「え?場所・・・ですか・・・?
 えぇと・・・大きな公園の近くで・・・」
 「奥様、公園はロンドンにたくさんございまして・・・どちらの公園でしょうか?」
 困り顔の御者の前で、ミランダはまた顔を蒼くした。
 「えーっと・・・・・・・・・」
 住所なんか知らない。
 いつも姉に任せきりで、今日の外出も、門を出た後の道のりなど見ていなかった。
 「・・・奥様、とりあえず警察署にでもお送りしやしょうか。
 そこなら電話もありますので、お宅に連絡されて、お迎えを待つのがいいかと」
 「で・・・電話?!
 私、使ったことなんて・・・!」
 「家名をおっしゃれば、警察が連絡をとってくれやすよ」
 迷子に慣れているのか、金貨の力でかなり親切になった御者の提案にミランダはほっとして頷く。
 「ご親切に。
 どうかお願いします」
 御者の手に金貨を握らせると、彼は喜んでミランダを馬車へ乗せようとした。
 その時、
 「ミランダ嬢?クロウリー家のミランダ嬢ではありませんか?」
 突然声をかけられ、ミランダは振り返る。
 と、モノクルをかけた身なりのいい紳士が、微笑みながら歩み寄って来た。
 「あぁ、やはり。
 どうされました?今日は、兄上方とご一緒ではないのですか?」
 「あの・・・どちらさまでしたか・・・?」
 どうも知り合いらしい、とは思ったが、知らない顔だ。
 困惑げなミランダに、彼は笑みを深くした。
 「お忘れですか?
 シェリル・キャメロット・・・先日、バーデン・イン・バーデンのパーティでお会いしましたよ」
 ドイツの温泉地の名を出され、ミランダは自信なげに小首を傾げる。
 あの時は姉がいくつもパーティを開き、他家の開いたパーティにも何度も参加した。
 普段は遠慮するミランダも、婚約披露だのなんだのと引っ張り出されて、たくさんの人間に引き合わされたが、正直、ほとんど覚えていない。
 「も・・・申し訳ありません、シェリル様・・・。
 私・・・・・・」
 「いえいえ!
 あの時は特にお話もしませんでしたから、覚えてらっしゃらないのも無理はない!」
 陽気に笑ったシェリルは、今気付いたように辻馬車を見遣った。
 「辻馬車をお使いか?ご自宅には、立派な馬車をお持ちでしょうに」
 「え・・・えぇ、今日は兄夫婦が使っているものですから・・・。
 それに・・・」
 迷子になってしまったのだと、恥ずかしげに言うミランダに、シェリルは大げさに頷く。
 「ならば私がお送りしましょう!
 キミ、もう行ってくれて構わないよ!」
 「え?!いや、それは・・・!」
 せっかくの上客を取り上げられるのは困ると、嫌がる御者の手を、ミランダがきゅっと握った。
 「ご親切な方、助けようとしてくれて、本当に感謝します。
 先程のお代は、そのまま収めてください」
 「へ?!いや・・・さすがにそれは・・・!」
 仕事もしていないのにと、困惑する御者にシェリルも微笑む。
 「親切は人のためならずだよ、ミスター。
 キミが令嬢を助けようとしたことは事実だ。
 その報酬として受け取りたまえ」
 「へ・・・へぇ・・・。
 では、遠慮なく・・・」
 気前のいい客が気を変える前にと、彼はそそくさと御者台に乗って駆け去った。
 「では参りましょう。
 すぐそこに馬車を待たせてありますから」
 「はい」
 彼の言う通り、ほとんど歩かないうちに立派な馬車のドアが内側から開く。
 「お父様ぁ!早くぅ!」
 中から顔を出したのは、魔女の仮装をした小さな少女だった。
 「お父様の知り合いって、その人ぉ?」
 大きなロリポップを咥え、小首を傾げる可愛い仕草に、ミランダは思わず微笑む。
 「お邪魔してごめんなさい。道に迷ってしまって・・・。
 送っていただくだけだから、すぐに失礼しますね」
 「えぇー!すぐ帰っちゃうのぉ?!」
 馬車に乗り込んだミランダの膝に、少女は猫のようにじゃれついた。
 「うちでハロウィンのパーティやるんだぁ。
 だから、ちょっと遊んでっていいでしょぉ?
 電話しておけば、おうちの人も怒らないよぉ」
 「え・・・でも・・・・・・」
 困惑するミランダに、シェリルが微笑む。
 「そうですよ、せっかくだから寄って行かれるといい。
 家族だけではパーティも盛り上がりませんからね。
 お客様が来てくれると、ロードも喜ぶ」
 「うん、ボク、喜んじゃうv
 小さな手で抱きつかれ、無邪気に微笑まれて、ミランダはほだされてしまった。
 「じゃあ・・・少しだけ」
 この土地の空気にあてられたか、いつも気弱な彼女らしくもなく、大胆な決断をする。
 「やったぁv
 ゆっくりしてってよ!」
 「良かったねぇ、ロードv いい子だv
 無邪気な顔で見事獲物を捕まえた娘の頭を、シェリルは優しく撫でてやった。



 To be continued.




 










2015年ハロウィンSS第2弾です♪
前作、『あなた』を読んでいないとよくわかんない展開だった、と、書き終わってから気づきました;
よければ前作読んでみてください(笑)
うっかり二年続けてミランダさん誘拐事件だったことにも気づきました・・・。
ちょっとうっかりしすぎ;;













ShortStorys