† The Rain Leaves A Scar †
2. Brand new day
桜舞う入学式だなんて、一体、誰が言ったのだろう。 新しい教科書を詰め込んで、すっかり重くなったバッグを持ち直したアレンは、明日の入学式を前にして、既に葉桜になった樹を不安げに見上げた。 虫が落ちて来やしないか、ハラハラしていると、ようやく慣れ親しんだ声がかかる。 「アレン、お待たせさー♪」 春の陽気によく似た声に、アレンは笑って振り向いた。 途端、ぽと、と、頭の上に毛虫が落ちて、悲鳴をあげる。 「うわぁぁぁぁぁぁんっ!!ラビラビラビラビ!!取って取って取ってェェェェェェェ!!!!」 泣き喚くアレンに駆け寄り、ラビはアレンの頭の上でもぞもぞ動く毛虫を払ってやった。 「相変わらずの不運っぷりさ、お前・・・。そんなんでよく受かったよなー」 苦笑しながら頭を撫でてやると、アレンは涙目で頷く。 「僕もそう思う・・・。 だって、受験の日は大雪で電車が止まったり、前の日からの熱が下がらなかったり、到底ベストな状態じゃなかったし・・・」 「ははっ!そんだけ、実力があったってことさ! もう受かったんだし、いいじゃないさ♪」 陽気に笑って、ラビはやや遠くを示した。 「じゃ、行くぜ、アレン。 男子寮に行くにゃ、一旦ガッコ出るからさ。迷子になんねぇように、ちゃんと道覚えろよ?」 「うん・・・!わかった・・・!」 入学説明会の今日、早くも校内で迷子になったアレンが真剣な顔で頷くと、ラビは笑みを深める。 「そんな緊張すんなって! 俺が、ちゃんと口利いてやっからさ♪」 ぽん、と、背中を叩かれて、アレンは緊張気味の笑みを浮かべた。 アレンと並んで、この学園の男子寮へと向かうラビはしかし、寮生ではない。 彼は学園の近所にある、小さな診療所の院長の孫だが、男子寮の寮長と仲がいいらしく、新入生のアレンがいじめられないよう、口を利いてやると言って来てくれた。 「あ・・・あの・・・ラビ・・・。 男子寮の寮長って、そんなに怖い人なんですか・・・?」 心なしか、怯えている風のアレンに、ラビはにやりと笑う。 「怖いっつーか、気性が激しいっつーか、真面目が過ぎて厳しいっつーか・・・うん、そんな感じさ」 「いいことひとつも言ってないよっ!!」 余計に怯えたアレンに、ラビは笑声をあげた。 「まぁまぁ、案ずるより生むが易しってゆーさ」 「怖いならはっきり言ってよぉー!!」 泣きながら付いて来るアレンを見遣って、ラビはまた、楽しげに笑う。 「兄ちゃんがなんとかしてやっから、泣くんじゃないさ♪」 ラビはアレンの頭をわしわしと撫でてやりながら、並んで校門を出た。 商店や民家、ラビの自宅兼診療所などを通り過ぎて、10分ほど歩いたところに、サンタンジェロ学園の男子寮はある。 一見、やや古びたマンションのようだが、低い門には『サンタンジェロ学園 ミカエル寮』の看板があり、それを見るや、ラビが吹き出した。 「俺、この看板見る度に笑っちまう・・・! 聖天使学園の大天使、なんて大げさに書いてっけど、中はフツーなんさ・・・!!」 ラビはけらけらと笑いながら門を開けると、10人ほどの新入生達がたむろしている玄関を避けて、裏へと回る。 建物と高い壁に挟まれた、道とも言えない隙間を通っていくと、庭と言うにはささやか過ぎる場所に出た。 と、ラビは庭に面した大窓の向こうで、慌しく動く人々の中から鋭く一人を見出し、手を振る。 「ユウちゃん、やほー♪」 ラビの声に振り向いた学生は、疎ましげに眉根を寄せて窓辺に寄った。 「なんだ、ラビ。このクソ忙しいのに・・・」 「ユウちゃん、こいつが前に言ってた、俺の幼馴染のアレンさ♪ 今日から寮生だから、仲良くしてやって 途端、鋭い目で見下ろされて、アレンは緊張する。 「よ・・・よろしくお願いします・・・・・・」 ぺこりと頭を下げると、不機嫌そうな声が降り注いだ。 「神田だ。 ここで寮長をやっている。 規則は守れ。破れば追い出す。それだけだ」 厳しいことをさらりと言って、彼は踵を返す。 「あっ・・・!」 アレンが焦って顔をあげると、隣でラビが、満足げに頷いた。 「はい、顔合わせ完了さ♪ ユウちゃんは、逆らいさえしなければ頼りんなるアニキだから 「は・・・はぁ・・・・・・」 逆らったらどうなるのだろう、とは、怖くて聞けない。 「じゃ、入寮説明会に行こうぜー!」 言うや、玄関へ向かう細い隙間に入り込んだラビを、アレンは慌てて追った。 「えっ・・・ラビも行くの?!」 寮生でもないのに、と問うと、ラビは悪びれもせず頷く。 「ユウちゃんが寮長になって、初のイベントだかんなー♪ あの、厳格で冷酷で容赦ないユウちゃんが、新入生になんて言うんか、めっさ聞きてぇんさ 「なに言われるのー・・・・・・」 楽しげなラビとは逆に、恐ろしげにうな垂れて、アレンは玄関に戻った。 と、そこにたむろしていた新入生達が、順々に建物の中へと入っていく。 「さっきユウちゃんがいた部屋が、多目的ホールになってんさ。 そこで説明会やっから、お前も行けよ」 寮生でもないくせに、なぜか事情に詳しいラビが、アレンの背中を押して共に入った。 階段脇の短い廊下を過ぎて、ドアが開け放たれた部屋に入ると、意外に広い。 窓の外からでは、人が入り混じってよくわからなかったが、随分と奥行きがあって、50人くらいは簡単に入りそうだった。 「なんでこんなに・・・」 広いんだろう、と、こっそり囁くと、ラビが頷く。 「うちのガッコ、進学とスポーツで、結構たくさん奨学生がいるんさ。 男子寮だけで50人は入れるようになってっから、その全員が集まっても大丈夫なようにだろうな」 「50人・・・・・・」 アレンは、さっき見たばかりの、建物の外観を思い浮かべた。 確かに、6階建てのアパートのようなこの建物なら、そのくらいの人数は余裕で入るだろう。 「以前は寮生も多くて、ここの他にもいくつか寮があったらしいけど、今はわざわざ寮に入る奴もすくねぇし、それ以前に学生もすくねぇってことで、ここだけになっちまったらしい」 「・・・それ、君が生まれる前のことじゃないの?」 なんで知ってるんだ、と、呆れて尋ねれば、ラビは得意そうに胸をそらした。 「自分のガッコの学校史くらい、余裕で覚えてっさ!」 「うるせぇよ、そこ!!」 大声で自慢したラビへ、部屋の奥から鋭い声が飛ぶ。 「なんでお前がいるんだ! 関係者以外は出て行け!!」 ホワイトボードを背にした神田が、鋭い視線で睨みつけるが、ラビはお構いなしに手を振った。 「俺のことは気にせんで、始めてー 出て行く気は全くない、ラビの様子に、神田は忌々しげに舌打ちする。 が、これ以上は時間の無駄と悟ったのか、他の寮生達に指示して、新入生達にパンフレットを配らせた。 「行き渡ったか?」 ギロリと睨みまわされ、新入生達はビクビクと身を縮める。 「俺は寮長の神田ユウ。三年生だ。 めんどくせぇ事は真っ平ごめんだが、一人じゃ解決しようもない事で困ったら俺んとこに来い。 だが、くだんねぇことだったらゆるさねェ。 心して来やがれ」 初日の挨拶にしては、甚だ恐ろしい神田の言葉に、新入生達は怯え、ラビや上級生達は苦笑した。 「細けぇ寮則は、配ったパンフレットに記載してある。 門限は21時。連絡もなしに点呼時間に帰ってなかったら、即刻寮を追い出す」 冗談ではない口調に、上級生達までもが鼻白む。 だが、彼らの驚愕にもお構いなしに、神田は続けた。 「今から部屋割りを発表する。 一週間の猶予をやるから、同室の奴とどうしてもあわねェ場合は申し出ろ」 「・・・些細な理由なら、却下されるんじゃないの・・・?」 ホワイトボードに部屋割りを書き始めた神田の背を、ちらちらと見遣りながらアレンが囁くと、ラビは確信に満ちた表情で頷いた。 「さすがユウちゃん、上級生達までバッサリ斬ったさ・・・」 ひそひそと囁き返し、ラビは苦笑する。 神田が寮長になる以前―――― つまり、つい最近まで、この寮は悪い噂が満ちていたそうだ。 門限破りは当たり前。 下級生いじめは日常化し・・・昨年、特に評判の悪い寮生達のせいで、学園の女生徒が自殺してしまった。 それを知っていたため、ラビは、アレンがこの寮に入ると言った時、いい顔をしなかったのだ。 だが、乱暴な上級生をして一目を置かしめていた神田が、面倒だと言いながらも寮長になってくれたため、今年は少し、ましになるように思えた。 「せっかく紹介してやったんだから、嫌われんなよ? あいつ、逆らうとマジ容赦ねぇから」 蒼ざめた顔を俯けるアレンに、ラビはクスリと笑みを漏らす。 「嫌んなったら、俺んち来ればいいさ。 ガッコ近いし、部屋も余ってんぜ?」 「う・・・うん・・・・・・でも・・・・・・」 院長先生と神田寮長と、どっちが怖いかな、と呟くアレンに、ラビが笑声をあげた。 「そりゃー、うちのジジィの方が怖いに決まってんさ!」 「うるせぇっつってんだろうがよ!出て行け!!」 振り向き様、神田が投げつけた油性ペンが、ラビの額を正確に撃つ。 「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!ビンディィィィィィィィッ!!!」 額の中心に描かれた赤い点をおさえ、うめくラビに、室内から笑声が沸いた。 「おら! そんなアホ見てねぇで、とっとと部屋に荷物運べ!!」 神田に命じられた新入生達は、軍隊も感心するほど機敏な動きでそれぞれの荷物を持ち、整列して各自の部屋に向かう。 アレンも、いまだ床に転がって悶絶するラビを気にしながらも、神田の恐ろしい視線に追い立てられるように部屋に向かった。 「えーっと・・・305ってどこー・・・・・・?」 荷物を持って、三階まで上がってきたアレンは、まず、階段の正面にあるドアを見た。 「ここが301・・・302・・・303・・・えー・・・っと?」 ぐるりと半回転して、アレンは階段の傍らにある部屋のドアを見る。 「ここだ、305!」 細い廊下を挟んで、南北に向かい合う部屋同士の北側、階段脇が305号室だった。 意気揚々と新生活を始める部屋のドアを開けると、広くはない部屋には、備え付けの家具が二人分、みっしりと詰まっていて、窮屈な感じがする。 下が収納スペースになっているため、通常の物より高い場所にあるベッドの上に荷物を置き、アレンはささやかなベランダに出た。 そこからは、玄関がほとんど真下に見える。 「ラビ、帰っちゃったかな・・・?」 身を乗り出して、何とかひさしの下まで見ようとすると、襟首を掴まれて引き寄せられた。 「落ちんぜ、アレン?」 「うわっ!びっくりした!」 「ナニがびっくりした、さ!ついて来てやったのに、つめてー奴さ!」 ラビはそう言うが、階下に探していた本人が背後にいたのでは、アレンが驚くのも無理はない。 「えへ・・・ありがとうございました、ラビ」 ぺこりと頭を下げられて、ラビの機嫌はたちまち直った。 「うむ、くるしゅーないさ わしわしとアレンの頭を撫でていたラビに、廊下から遠慮がちな声がかかる。 「あの・・・ここ、305号室・・・ですよね・・・?」 廊下側の壁に開ききったドアの番号を、遠慮がちに覗き込もうとする少年に、ラビが笑いかけた。 「おう、ちょっと遊びに来てんさ♪ お前、アレンの同室か?」 ラビの問いに、少年は頷く。 「チャオジー・ハンっていいます」 「僕、アレン・ウォーカーです。よろしくお願いします」 ラビに撫でられて、くしゃくしゃになった頭を下げるアレンに、チャオジーは緊張気味に礼を返した。 「こっ・・・こちらこそ、よろしくです・・・・・・」 「お前ら、ナニ堅っ苦しいことやってんさ! 同室になんだろ?初めっからそんなカンジじゃ、長続きしねーさ」 陽気に笑って、ラビは二つのベッドの間に置かれた、小さなテーブルの前に腰を下ろす。 「まぁまぁ、遠慮しないで座りなさいよ、二人とも」 「・・・ここ、君の部屋じゃないでしょ」 アレンの呆れ声に、チャオジーが吹き出した。 「えっと・・・さっき、多目的ホールにいた先輩っすよね?」 「おう 俺、三年生のラビ 通学なんだけど、ユウちゃんのトモダチだから、ここにもよく遊びに来るんさ♪よろしくな 「はっ・・・はい!!よろしくお願いします!!」 勢いよく頭を下げたチャオジーに、ラビは笑みを深める。 「アレンも寮生になったことだし、こっちの部屋にも遊びに来るさ」 「あ、試験前にお願いしますね、ラビ また、家庭教師して下さいー 「任しとけ」 頼もしく頷いた時、ラビのポケットで携帯電話が鳴った。 「へいへい? うん、覚えてるって、ジジィ。今、男子寮だから、帰りに行くさ。 あい、了解♪」 「院長先生から?」 アレンが問うと、ラビは携帯をポケットにしまいながら頷く。 「今日、料理当番なんさ、俺。 アレン、肉じゃがの作り方知んね?」 「えー・・・カレーなら何とか・・・・・・」 「俺が作ると毎回カレーなんで、とうとうジジィがキレちまったんさ。 ま、いっか。 肉とジャガイモと玉ねぎ入れて、醤油と砂糖で煮込めば何とかなんだろ」 「僕んち糸こんにゃく入ってましたよ!」 「俺んちはニンジンも入ってるっす」 「おぅ♪ じゃー、作り方はネットでも見て・・・あれ?この部屋、パソコンないんさ?」 そう言ってラビが、部屋中を見回すが、まだ解かれないまま、机や椅子の上に山積になったダンボールなどの中に、それらしい物はなかった。 「うん。僕のはまだ、こっちに届いてないんだよ」 「俺、持ってないっす・・・」 「パソコンの授業あるぜ? 利用時間決まってっけど、申請すりゃPC室で借りれっから、なるだけ練習しといた方がいいさ」 そう言って腰を浮かしたラビは、愛想良く手を振って部屋を出て行く。 「んじゃ、またなー 出て行ったと思えば、電話だろうか、廊下中に響くような大声で、ラビは肉じゃがの作り方を聞いていた。 段々声が遠ざかっていく様に、アレンとチャオジーは苦笑した顔を見合わせる。 「ゴメンネ、賑やかで・・・」 「いや、なんか、楽しくていいっす」 堅苦しさの抜けないチャオジーの口調に、アレンは吹き出した。 「かしこまらなくったっていいですよ。同室なんですから」 「はぁ・・・アレン君も・・・」 「あ・・・」 アレンが慌てて口を覆い、チャオジーも吹き出す。 「お互い様って事で」 「うん・・・!」 互いに笑声を収めることができないまま、入寮第一日目は、和やかに過ぎていった。 ―――― アレン達が入寮した、同じ日の夜。 双子の弟と無人の校内に侵入したデビットは、憮然として携帯を切った。 「デビット、パパ?ヒッ?」 ジャスデロが問うと、デビットは苛立ちをぶつけるように、屋上へ続く鉄製の扉を蹴り開ける。 春の夜風は生ぬるく、晴れ渡っていた昼とは逆に、重苦しい雲が垂れ込めていた。 「あーもう、うぜー・・・!」 小雨を散らす空にか、通話相手にか、忌々しげに呟いて、デビットは舌打ちする。 「ジャスデロ、もう遅いから、さっさと帰って来いってよ」 「ヒッ?! だってまだ見つけてない!」 目を丸くして抗議する弟に、デビットは苛立たしげな声で応じた。 「だーかーらー・・・さっさと見つけて帰んなきゃいけねーんだろ。 ・・・・・・パパ怒らせると、こえーからさー・・・・・・」 今時の少年にしては珍しく、父を畏敬しているらしいデビットに言われて、ジャスデロもうな垂れる。 「コワイ、パパ、コワイ!ヒッ!!」 やや焦りながら、二人は真っ暗なコンクリートの床を見渡した。 うろうろと歩くうちに、雨は段々ひどくなっていく。 「デビット、ホントにココ?」 「だと思うぜ?」 そうは言いながらも、あまり自信のない様子で、デビットが懐中電灯を点けた。 丸く伸びる光の中に写るのは、しかし、探し物ではなく、細く白い糸のような雨だ。 「なんだっけ、ウラーニア!ヒッ!」 「サンタンジェロ学園の伝説、だろ。 三棟ある高等部の校舎のうち、どれかの屋上で、ガイコツが見える」 「校舎と部活棟、見れなかった!」 「最後か・・・ホントにあんのかよ、ウラーニアのヤロウ!」 デビットはイライラと呟きながら、激しさを増す雨の中、ジャスデロと共に体育館の屋上を歩き回った。 と、再びデビットの携帯が鳴る。 「パパ!パパ激怒!ヒィッ!!」 怯えるジャスデロに、デビットは首を振る。 「非通知・・・ウラーニアだ、きっと」 電話に出ると、思った通り、彼らをここに導いた者の声だった。 『見つかりましたか?』 気取った口調に、デビットはムッと口を尖らせる。 「見つかんねーよ!ホントにあんのかよ、ガイコツなんて!」 『ありますよ。今、卒業生の方から新しい情報が入りました。体育館の屋上だそうです』 「マジ?!今いるトコじゃん!」 途端に機嫌を直したデビットに、回線の向こうで笑う気配がした。 『それは・・・都合よく運びましたね』 「あぁ、全くだな!」 「グッドタイミング!ヒッ!!」 デビットに寄り添って会話を聞いていたジャスデロも、楽しげな声をあげる。 『では二人とも、東側のフェンスへ向かって下さい』 「東?東ってどっちだ?」 『校舎側だそうです』 デビットの問いに、Uraniaはすぐさま答えた。 『明かりを持っていたら、それは消してください。 校舎からの照明、校庭の照明、そして、近在のビルの照明がフェンスを照らし、それを体育館の屋上から見下ろすと・・・・・・』 Uraniaの言葉を最後まで聞かず、二人は既に出来上がった水溜りを蹴散らしながら、懐中電灯を放り出してフェンスに駆け寄る。 「どこっ?!ヒッ?!」 「押すな、バカ!!」 『見えますか?』 Uraniaの静かな問いかけに、二人は焦りを覚えた。 Uraniaが管理しているホームページで今、話題になっている『学校の伝説』では、それを確認した者達が『勇者』と祭り上げられている。 その中でも、最も不思議だと話題になった『夜のガイコツ』の伝説が、自分達の学校のものだと聞いた時、二人は子供っぽい虚栄心もあって、必ず『伝説』を確かめることを誓ったのだった。 ここまで来て『何もありませんでした』では、つまらなすぎる。 デビットは、回線の向こうでUraniaが止めるのも聞かず、雨に濡れたフェンスを登り始めた。 「これが邪魔してんだよ!」 言うと、ジャスデビも兄の後に続く。 「オレも!ヒッ!!」 デビットが天辺まで、ジャスデロがすぐ近くまで登った時・・・フェンスが外側に傾いだ。 「ヒッ?!」 「あ・・・っ!!」 『・・・・・・・・・・・・』 二人の悲鳴と、フェンスが地に叩きつけられる音に耳を澄ませていたUraniaは、部屋で一人、ほくそえむ。 「見えたでしょう?死神が・・・・・・」 その言葉を最後に、通話は切れた・・・・・・。 To be continued. |