† The Rain Leaves A Scar †
7. Irritation.
ろくな説明もなく打ち込まれた一文に、Uraniaはパソコン画面の前で眉をひそめた。
Uraniaがそう、打ち込んだ途端、Floraはとてつもない速さで事情を説明する文を叩き込む。 まともな変換どころか、まともな文章にもなっていない文が表示される画面を黙って見つめていたUraniaは、Floraの手が止まってから、頷いた。
―――― 証拠なんてあるはずがない。 Floraの書き込みに、Uraniaは不快げに眉を寄せた。 ロードが・・・あの一族の少女が、ある程度まではHeavenlyに迫ることは予想していたし、むしろおびき寄せもしたのだ。 決して、Uraniaの失策で追い詰められたわけではなかった。 しかしそれは、共犯の二人にも言えない事だ。 Uraniaは、しばらく考えてからキーボードを叩いた。
―――― 耐えられないのはこちらだ・・・。 Floraの、ロードに対する恐怖が根深いことは知っていたが、たかが詰め寄られたくらいであっさりと屈しそうになっている彼女の弱さに、さすがのUraniaも苛立ちが募る。 だがすぐに感情を押さえ込むと、Uraniaは殊更にゆっくりと、キーボードを叩いた。
Hebeの問いに、Uraniaはほくそ笑んだ。
すっかり立ち直ったFloraの得意げな様子に、Uraniaは冷笑を浮かべた。 ―――― 手の上で、踊れ・・・・・・。 踊り疲れて、目を閉じるまで――――・・・・・・。 思い浮かんだその言葉に、聞き覚えがあるような気がして、Uraniaはふと、視線をさまよわせた。 だが、パソコンのバックライトに淡く照らされた周りに、目新しいものなどなく・・・再び、液晶画面に視線を落とす。 そこでは、Uraniaの手の内で踊る二人が、興奮気味の会話を交わしてた。 無理もない。 Floraにとって念願の、『敵の排除』が始まるのだ。
立ち直った途端、また出すぎた発言をするようになったFloraへ、Uraniaは苦笑を向けた。
そう、まもなく、この『ゲーム』は終わる。 Uraniaはしばし瞑目し、微笑んだ。 この一連の不幸が、全てUraniaの仕組んだことだと知った時、『あのひと』はどんな顔をするだろう・・・・・・。 猫が喉を鳴らさんばかりの満足げな表情を、しかし、Uraniaは拭うように消し去った。 「まだ、終わっていない」 戒めるように厳しい声音で呟いて、Uraniaはその日のチャットを終わらせた。 To be continued. |
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