† The Rain Leaves A Scar †
1. The Last case.






 その夜、部屋に戻ったUraniaは、パソコンの電源を入れて、まだ暗い液晶画面を見つめた。
 OSが起動するのを待つ間、闇の中に耳を澄ませば、雨音に混じって、遠くで緊急車両のサイレンが聞こえる。
 「嫌な音・・・・・・」
 サイレンの音に眉をひそめ、Uraniaはかぶりを振った。
 あの音を聞くと、たった一人の身内を亡くしたあの雨の日のことを、否応なく思い出してしまう。
 彼らに殺された、たった一人の・・・・・・。
 Uraniaはもう一度かぶりを振ると、起動したパソコンを操作して、インターネットを立ち上げた。
 検索サイトでヒットした、いくつもの外国のサイトから、適当に選んだサイトに登録し、今日のチャットで使うアドレスを取得する。
 それをFloraとHebeにメールすると、Uraniaはチャットルームで二人の入室を待った。
 間もなく、



† Heavenly †
[ 閲覧(0人) 参加(3人) : Urania,Hebe,Flora,Lord]
 
管理人 †  ようこそ Flora さん
管理人 †  ようこそ Hebe さん
Urania †  こんばんは、Flora、Hebe。
Flora †  こんばんは!今、友達と電話中なんですけど、あの人達の家の前がすごい騒ぎだそうです!!
Hebe †  やった
Urania †  実行したのですね。ご苦労様でした、Hebe。
Flora †  ありがとうヘーベ!!もう二度と、あの子の顔を見なくて済むなんて、うれしくて仕方がないよ!
Urania †  まだ、死んだと確定したわけではありませんよ、Flora。


 浮かれ騒ぐフローラの書き込みをうるさげに見ながら、Uraniaはタイピングした。


Urania †  Hebe、まだ落ち着かないところを申し訳ありませんが、今回の首尾を教えてもらえますか?
Hebe †  バイトでとどけたなかにいれて
Hebe †  すぐみせにかえったからたべたかどうかしらない
Hebe †  みせのまをきゅうkyはしった


 まともに文章も書けない動揺ぶりに、Uraniaは画面の前で苦笑する。
 「落ち着け・・・と言っても、無理か・・・」
 初めて人を死に至らしめたかもしれないのだ。
 直後に落ち着いていられるのは、この冷酷な自分くらいのものだろう。


Urania †  無理強いして申し訳ありません、Hebe。つまり、海藻サラダのなかに、あれを入れたのですね?
Hebe †  はい
Urania †  その後のことは、Floraに聞いた方が良さそうですね。 Flora、彼らの家が大騒ぎだと言うことでしたが、もう落ち着いているのですか?
Flora †  救急車はもう行っちゃったそうです!家族全員連れて行かれたって!
Urania †  そうですか。では、早ければ明日にでも、結果は知れるでしょう。
Flora †  そうですね!楽しみだなぁ!!


 冷酷な人間はここにもいたか、と、Uraniaは苦笑した。


Urania †  では、今日のチャットはここまでにしましょう。 Hebe、ゆっくり休んでください。
Hebe †  はい
Flora †  じゃあまた!!


 二人の退室を見送ってから、Uraniaはチャットルームごとログを消した。
 「もうすぐ・・・お会いしましょう、理事長」
 Dead or alive―――― 生死を問わず。
 次に会う理事長はどうなっていることかと、Uraniaは密かにほくそえんだ。



To be continued.
 














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