〜 神のまにまに 〜






 「このたびは ぬさもとりあへず 手向け山 紅葉の錦 神のまにまに」
 出来上がったばかりの襖絵に、見事な手蹟(て)で一首を書き加えた歌仙兼定は、全体を眺めながら満足げに頷いた。
 「これは素晴らしい・・・。
 紅葉だけではぼやけていた絵が、この歌で引き締りましたね」
 感じ入る江雪左文字へ、歌仙は嬉しげに振り返る。
 「ありがとう。
 これで四季の襖絵が完成だ。
 秋には特にこだわりのある御仁だから、手間がかかってしまったよ」
 既に完成した襖絵も並べると、色鮮やかな花鳥風月が実に華やかな気分にさせてくれた。
 「どうだい、お小夜?
 僕は絵師としても中々のものだろう?」
 「はい・・・」
 兄の傍らで襖絵を見つめていた小夜左文字が、こくりと頷く。
 「すごく・・・きれいです」
 でも、と、小夜は小首を傾げた。
 「なぜ主は、御座所を狭くしてくれ、なんて・・・?」
 「正しくは寝所だよ。
 夜に怯えた短刀達が、添い寝をせがんでいた頃はあの広さでよかったんだけど、冬に広い寝所は寒いからね」
 笑って頭を撫でてやると、小夜は真っ赤な顔を俯ける。
 「そうなのですか、お小夜?」
 微笑む江雪を上目づかいで見上げた小夜は、こくりと頷いた。
 「初めて行ったのは・・・雷の夜でした・・・。
 一人で怖かったんです・・・・・・」
 音と光に怯えて、まだ狭かった御殿中を逃げまわっていたら、同じく怯えた短刀達が御座所に集まっていたのだ。
 「主は・・・あれが怖くないらしくて・・・。
 一人ずつぎゅって抱っこしてくれて、『大丈夫大丈夫』って笑ってて・・・」
 「お小夜なら、僕がぎゅってしてあげたんだけど、雷の鳴っている時に部屋を出るのは危険だものねぇ。
 雷切丸のようなことになりかねない」
 落雷する、と苦笑する歌仙に、江雪も深く頷いた。
 「本当に斬ったのであれば良いのですが、結局は被雷して、彼の主殿は半身不随になったそうですから。
 私たちのような者が主の傍に参れば、お守りするどころか、害になりかねません」
 なのによく笑っていられるものだと、江雪は今の主の豪胆さに舌を巻く。
 が、
 「まぁ、あとで聞いたら、『天守に避雷針をつけているから、落雷の心配はない』ってことだったらしいよ。
 落雷で天守が燃えるなんてこと、昔はよくあったことだからね。
 せっかくもらったのに焼失なんて冗談じゃないって、真っ先に対策してたよね、そう言えば」
 城好きの知識は意外と役に立つ、と、歌仙はなぜか、我がことのように自慢げに頷いた。
 と、
 「雷は落ちないってわかっていても・・・!」
 小夜がきりっと、吊り上げた目で歌仙を見上げる。
 「主が・・・僕達に優しかったのは本当です・・・。
 歌仙は・・・ほかのみんなも、主に厳しすぎます」
 説教ばかりじゃ可哀想だと言う小夜に、歌仙と江雪は丸くなった目を見合わせた。
 「いけない・・・!
 いけないよ、お小夜!
 その考えは、虐待されている子供の言い分だ!」
 「そうですよ、お小夜・・・!
 落ち着いて、まずは置かれた状況を把握しなさい。
 ひどい扱いをされていたそうではありませんか・・・少し優しくされたからと言って、その事実までなかったことにしてはいけません・・・!」
 二人がかりで迫られた小夜は、困ったように俯く。
 「短刀達はみんな・・・そう言ってます・・・。
 兄様達は主のこと、誤解しています・・・」
 「洗脳ですか!!
 これが洗脳と言うものなのですか、お小夜!!」
 「まぁ・・・江雪殿も、落ち着いて」
 跪いて小夜をかき抱く江雪に、歌仙は苦笑した。
 「けれど、あんなに怯えていた短刀達も、今では彼らだけで夜戦に行けるのだから強くなったものさ」
 えらいえらいと、また撫でてくれる手の下で、小夜はこくりと頷く。
 「・・・さて。
 墨が乾いたら、寝所に運んでもらわないとね」
 さりげなく話を変えて、歌仙は部屋の外を見遣った。
 「槍達がいてくれたら、設置も簡単でいいんだけど・・・」
 「呼んできます」
 踵を返そうとした小夜を、歌仙が止める。
 「まだいいよ。
 墨が滲んで絵が台無しになっても困るからね。
 それより江雪殿、気分なおしにお茶でもどうかな?」
 「ご一緒しましょう」
 三人連れ立って作業場にしていた広間を出ると、すぐ傍の濡れ縁で、三日月と数珠丸が談笑していた。
 「おや・・・これはまた、美しい方々がお並びになって」
 歌仙が声を掛けると、二人はにこやかな顔を向ける。
 「おぉ、歌仙か。
 襖絵はできたのか?」
 「歌仙殿の手になる物でしたら、さぞかし見事でありましょう」
 「おそれいります」
 にこりと笑った歌仙の背後から、江雪が声を掛けた。
 「お二方もご覧になりませんか。
 実に見事でありますよ」
 「それはよいな。
 数珠丸殿、参りましょうか」
 「えぇ」
 共に立ち上がった二人を、小夜は頬を染めて見上げる。
 「仲・・・いいですね」
 うらやましげな声に、顔を見合わせた二人は嬉しそうに笑った。
 「ようやくいらした同等であられるからな、数珠丸殿は」
 「お待たせして、申し訳ない」
 数珠丸の打ち解けた冗談口には、歌仙もうらやましげに微笑む。
 「三日月殿は、ずっとお一人で寂しそうでいらしたから。
 数珠丸殿だけでなく、大典太殿までいらして、最近はご機嫌麗しくていらっしゃる」
 「そう言えば三日月さん・・・主が構ってくれないって、ずっと拗ねて・・・」
 「お小夜っ!」
 慌てた江雪が、小夜の口を塞いだ。
 「・・・申し訳ありません」
 「なに、本当のことだ」
 気まずげな江雪にくすくすと、三日月は笑い出す。
 「三条の者達もいることだし、一人で寂しいと思ったことはないが・・・やはり、敬愛できる方がいらっしゃるのはよいことだ」
 「取るに足らぬ身をそのようにおっしゃっていただくとは、こちらこそ恐れ多い。
 末席を穢すことのないよう、努めさせて・・・おや、鳥が」
 秋風に乗って、真っ直ぐに数珠丸の元へ飛んできた鳥が、助けを求めるように彼の肩に止まった。
 途端、
 「この鳥・・・!
 いつも、畑にいる奴です・・・!」
 熟す前のさくらんぼを全部食べた奴だと、小夜の目が吊りあがる。
 「そうか、これが石切丸や小狐丸の言っていた、畑を荒らす不埒ものか。
 数珠丸殿、仕置きされますかな?」
 三日月の言葉を解したのか、怯えて縋りつく鳥に数珠丸はそっと触れた。
 「窮鳥懐に入れば猟師もこれをうたずと申します」
 害鳥とはいえ、助けを求める者を無碍にできないと言う数珠丸に、江雪も深く頷く。
 「えぇ・・・殺生はいけませんよ、お小夜」
 「はい、兄様・・・」
 不満げながらも、小夜は頭を撫でてくれる兄に頷いた。
 「しかし、あの二人を悩ませていた鳥をあっさり追い払うなんて、さすがだな」
 感心しつつ、歌仙が畑の方を見やる。
 と、一仕事終えた大典太光世が、鍬を担いで戻ってくる所だった。
 「おぉ、誉れであられますな、大典太殿」
 その声に大典太がこちらを見遣った瞬間、鳥は悲鳴のような声をあげて飛び去った。
 「おやおや・・・もう悪さをしてはなりませんよ」
 微笑んで鳥を見送る数珠丸へ、大典太が困り顔で歩み寄る。
 「追い払ってはいけなかったか?」
 「いいえ・・・!」
 すかさず、小夜が首を振った。
 「あいつ・・・いつか復讐してやろうと思っていました・・・!」
 さくらんぼの恨み、と、剣呑な目つきになった弟に、江雪が苦笑する。
 「そうか、ならばよかった」
 「大典太殿のおかげで、もう二度とここには来るまいて」
 よきかな、と微笑んだ三日月が、彼へと手を差し伸べた。
 「大典太殿、今より歌仙の手になる襖絵を見に行こうと思うのだが、ご一緒されまいか」
 「いいのか・・・?」
 「もちろんです」
 ぜひに、と頷く数珠丸にも促され、鍬を置いて屋内へ上がる。
 「襖を新調とは、増築でもしたのか?」
 いつの間に、と不思議そうな大典太に、歌仙は首を振った。
 「主の寝所が広すぎるので、間仕切り用ですよ」
 障子をすべて開け放ち、澄んだ秋の陽光に出来上がったばかりの襖絵をさらす。
 「なんと・・・これは見事な」
 感嘆する数珠丸の隣で、三日月も深く頷いた。
 「表装にも工夫がされているのだな。
 描き表装と言うのだったか・・・枠から伸びた枝葉が、絵と重なりあって見事な陰影を作っている。
 確かこれは、琳派の技法ではなかったか」
 「さすが三日月殿、お詳しい」
 目の肥えた鑑賞者の感想に、歌仙は嬉しげに微笑む。
 「これからの季節、寒くなりますし・・・もう既に風邪で寝込んでいますから、できるだけ気分の晴れるようなものをと思って」
 くすくすと笑う歌仙に、皆が驚いたように瞬いた。
 「そこまで考えていたのか。
 ・・・と言うより、あれも少しは気を付けようと思わんのかな」
 季節の変わり目に必ず風邪をひく、と、三日月も笑い出す。
 「となると・・・俺が付き添わなきゃならんのかな」
 面倒そうに呟いた大典太はしかし、襖絵を目にした途端、満足げに頷いた。
 「あぁ・・・これはいい。
 病気治癒に長く籠ることになっても、退屈せずに済みそうだ」
 「長く加賀におられた大典太殿にお褒め頂くとは、恐悦至極」
 大仰なほどに一礼した歌仙へ、大典太は苦笑する。
 「なに、蔵の中には色々仕舞ってあったというだけだ。
 手蹟も見事だが・・・」
 じっくりと、彼は季節に添えられた歌を見つめた。
 「春は『よのなかに たへて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし』・・・在原業平か。
 夏の『こころざし 深き右葉のあやめぐさ ちとせのさつき いつかかるべき』は源順。
 冬は『田子の浦に うち出でてみれば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ』で、山部赤人だな。
 ここまで三十六歌仙で揃えていながら、なぜ秋は菅公なんだ?」
 雷除けか、と呟くと、三日月がはっとして歌に目をやる。
 「おぉ、おっしゃる通りだ・・・。
 秋だけが三十六歌仙から外れているな」
 「よくぞ気づいてくださった!」
 嬉しげに、歌仙は手を打った。
 「僕も本当は『奥山に』の歌を入れようとしたのだけど、主のたっての願いでね。
 好きな歌だそうですよ」
 「なるほど・・・。
 秋の寂しさよりも、紅葉の華やかさを選ばれましたか」
 主らしい、と微笑む数珠丸の隣で、三日月はくすくすと笑い出す。
 「あれならば、ちはやぶる、の方がふさわしい気もするがな」
 「三日月さん・・・意地悪です・・・・・・」
 小夜にじっとりと睨まれてた三日月は、袖で口元を隠した。
 「すまんすまん。
 小夜は、主が好きなのであったな」
 「みんなが・・・厳しいだけです・・・」
 ぷいっと、そっぽを向いてしまった小夜に、またくすくすと笑う。
 「しかし審神者になってより、敵の返り血で唐紅に染まってやったとは、あれ自身の言であるからな。
 物騒な主を持ったものだ」
 「それに関しては僕の教育が行き届かず、申し訳ない」
 でも、と、歌仙はにこりと笑った。
 「戦に積極的であればこそ、この本丸には皆様がお揃いなのですから」
 「・・・決して・・・喜ばしいとは言えませんが」
 「まぁ・・・そう言わずに」
 ため息をつく江雪に、歌仙が苦笑する。
 「刀剣でありながら、戦を好まぬ者は意外に多いが・・・」
 歌仙を援護するように、三日月が微笑んだ。
 「主にはせめて、我ら天下五剣を揃えるまでは励んでもらわねばな。
 なぁ、大典太殿。
 数珠丸殿と共に、おいでをお待ち申し上げていたのですぞ」
 「えぇ。
 待ちどおしゅうございましたね」
 嬉しげに笑い合う三日月と数珠丸を前に、大典太が困惑する。
 「なぜだ・・・。
 俺なんか別に、いてもいなくても・・・」
 「それは違いますぞ」
 にこやかに、三日月が否定した。
 「我ら天下五剣はその評価ゆえに、もてはやされもすれば敬遠もされる。
 ゆえに何の遠慮もなく、同等として接し、接していただくことは何よりの喜びなのです」
 「主にも上から目線の三日月さんが、敬語で話すのはお二人だけですからね」
 「お小夜・・・!」
 歯に衣着せない弟を、江雪は気まずげに袈裟で覆った。
 「・・・そろそろ宋三も遠征より戻って参りますので、私達は失礼いたします」
 小夜を抱えるようにして、そそくさと去って行った江雪を、歌仙が苦笑して見送る。
 「では、御三方には僕がお茶を進ぜましょう。
 天下五剣をおもてなしてきるなんて、光栄の至り」
 「ほらな?
 こう言われてしまうのですよ」
 「隔意を感じてしまいますねぇ」
 冗談めかして言う三日月と数珠丸に、大典太もつい、笑みを漏らした。
 「快く受け入れてくれて、感謝する」
 「・・・仲睦まじくて・・・よろしいです・・・ね・・・」
 彼らを前に、歌仙が声を引き攣らせる。
 後刻、彼は『大典太の笑顔は心臓発作寸前の恐ろしさだった』と語り、怯まないどころか嬉しげな三日月達を、さすが天下五剣と改めて尊敬した。


 その頃、もう一振りの霊剣は、旧知の脇差と馬の世話をしていた。
 「元気ないな。どうした?」
 ソハヤノツルキに声を掛けられた物吉貞宗は、暗い顔を彼へ向ける。
 「いえ・・・」
 なんでも、と首を振る物吉の目が潤む様に、ソハヤは箒を持つ手を止めた。
 「なんでもないって顔じゃないだろ。
 今にも泣きそうだぜ?」
 主に何かあったかと問えば、物吉は首を振る。
 「今の主様ではなくて・・・」
 「家康公か?」
 かつての主の名を出すと、彼ははっと顔をあげた。
 「あいつのせいだろ?新しく来た、藤四郎」
 図星を突いてやると、物吉の目に涙が盛り上がる。
 「あの子が・・・・・・。
 包丁くんが、『前の主も好きだったから自分も人妻好き』だって言うんです・・・!
 しかも、大声で皆さんに何度も・・・!
 家康公ってそうだったの?って聞かれた時の主様の目が・・・冷たくて・・・・・・!」
 「いや、冷たくはなかったと思うぞ?
 包丁自身には呆れていたみたいだが」
 その場に自分もいたからと、ソハヤは泣き出した物吉の肩を励ますように叩いた。
 「主は、最後の藤四郎はぜひ増田でと言っていたのに、来たのがあれだったと、随分肩を落としていたからな。
 あいつなりの、主への嫌がらせじゃないのか?」
 腹も立つだろうと言ってやると、物吉は涙を拭って頷く。
 「だからって・・・家康公を貶めるようなことを言いふらすなんて・・・」
 「まぁ・・・若い頃は年上好きだった、ってだけだよな」
 それを言うなら信長公なんかもっと酷かったと、笑うソハヤにちらりと微笑んだ。
 「そうですね・・・。
 主様には、あんまり気にしないで下さい、って申し上げて・・・」
 「これは杞憂ならいいんだが」
 突然言葉を遮られて、物吉が瞬く。
 「もしかして、これは豊臣の陰謀じゃないか?」
 「豊臣って・・・え?」
 なんのことだろうと、首を傾げる物吉を、ソハヤは眉根を寄せて見下ろした。
 「俺は徳川を守るという役目柄、豊臣の連中を信用できなくてな。
 いつか何かやらかすんじゃないかと疑い続けているから、こんなことを考えるのかも知れないが・・・」
 腕を組み、考え込んだソハヤに物吉は眉をひそめる。
 「包丁くんは・・・家康公の持ち物と言う以前に、藤四郎だってことですね」
 「あぁ。
 そして藤四郎を束ねるのは、関白の愛刀だ。
 薄ら笑いの下で、何を企んでいるかわからない一期一振のな」
 ソハヤの疑いを、物吉は笑い飛ばすことができなかった。
 これまでも薄々感じていたことを今、はっきり言葉にされたと言う感覚だ。
 「それが本当なら、僕は家康公の名誉を守らなくちゃいけません」
 目に強い光を宿した物吉に、ソハヤは頷いた。
 「豊臣の好きにはさせない。
 それが俺の存在意義だ」
 「でも」
 あえて、物吉は首を振る。
 「判断は慎重にしましょう。
 さもないと、この本丸を二分しかねません」
 「そうだな。
 まずは・・・あの餓鬼の目的でも探るか」
 関ヶ原はそれからでも遅くないと、ソハヤは不敵な笑みを浮かべた。


 霊剣に目を付けられたとも知らず、包丁藤四郎はおやつを持って来てくれた乱の袖を不満げに引いた。
 「ねぇねぇ、乱ちゃあん!
 なんでここは男ばっかなの?人妻はいないのぉ?!」
 ねぇねぇとしつこく袖を引いてくる包丁を、乱はうんざりと見遣る。
 「包丁ちゃんってばうるさい・・・。
 大体、なんで人妻限定なの?
 お菓子くれて頭撫でてくれるなら、あるじさんもじゃないか」
 「そうだけど足りない!」
 きっぱりと言った包丁を、厚が興味深げに見遣った。
 「足りないって、なにがだ?」
 「もちろん、旦那だよ!」
 メインはそっち!と断言する彼の周りに、兄弟達が集まってくる。
 「え?なに?どういうことですか?」
 身を乗り出した秋田とは逆に、乱は自身の袖を掴む包丁の手を振りほどいた。
 「・・・人妻はカモフラージュで、男の人が好きってこと?」
 「違うよ!!」
 とんでもない解釈には、慌てて首を振る。
 「では、どういうことなのです?」
 「人妻でなければならない意味とは?」
 揃って首を傾げる平野と前田の見分けに苦労しつつ、包丁は鼻を鳴らした。
 「そりゃもちろん!
 優しく構ってくれる人妻越しに、旦那にドヤァってしたいからじゃないか!」
 そこに優越感を得る、と言い切った彼に、乱がため息をつく。
 「・・・思ってた以上に歪んでたんだね、キミは」
 「略奪とか!寝取りとか!!イイヨネ!!!!」
 こぶしを振り上げる包丁を前に、平野が困惑げな目を前田へ向けた。
 「ねと・・・?」
 「平野は知らなくていいことです」
 きっぱりと言って、前田は包丁を睨む。
 「少しは論調を控えてください」
 厳しい目にしかし、怯む包丁ではなかった。
 「いいじゃないか!
 前の主の影響だよ!」
 「いち兄みたいなこと言うなよ!」
 おかげでエロイヤルなんて陰口を叩かれていると、厚が慌てる。
 「・・・なんであるじさんは、こんな子追い出さないのかな」
 さすがにこれはダメだろうと、ため息をつく乱の肩を、厚が慰めるように叩いた。
 「本陣に押し付けられたって、大将が泣いてたぜ」
 「増田が欲しいって、ずっと言ってましたからねぇ・・・。
 ウズラと交換されたなんて逸話持ちなら、きっと可愛いだろうって」
 期待していただけに随分とがっかりしていたと、秋田も苦笑する。
 「ぼくも・・・増田くん、きてほしかったです・・・。
 でも・・・ウズラが虎に怯えちゃうかな・・・・・・」
 五虎退までが困惑げに虎を見遣ると、包丁はぱんぱんに頬を膨らませた。
 「なんだいなんだいっ!せっかく来てあげたのにぃっ!」
 「ごっ・・・ごめんなさい・・・っ」
 包丁の剣幕に、怯えた五虎退が身をすくめる。
 「もういいっ!
 みんなと遊んであげないっ!!」
 ぷいっと背を向けて、部屋を出て行ってしまった包丁を、皆が唖然と見送った。
 ややして、
 「ボク・・・自分を変わり者だって言ってたけど、全然及ばなかったよ・・・」
 しみじみと言った乱に、厚が苦笑する。
 「いいんじゃないか、それで」
 「いち兄が帰ってきたら、たぶん何とかしてくれますよ」
 だから気にしなくていいと、慰めるように頭を撫でてくれる秋田に、五虎退は困惑げに首をすくめた。


 「なんだよ、みんな!
 おれの趣味にもんくばっかつけて!」
 ぷりぷりと怒りながら、包丁は回廊を渡った。
 「もぉ!こうなったら主でもいいかな!
 主にお菓子もらって、いい子いい子されながら近侍にあっかんべーしてやろうかな!」
 などと、兄弟達が聞けば全力で止めにかかる事を言いつつ御座所へ向かっていると、厨房からいい匂いが漂ってくる。
 「お菓子の匂いだ・・・!」
 ふらふらと厨房に入ると、伊達の刀剣達が嬉しそうに作業台を囲んでいた。
 「ねぇねぇ、それお菓子?もらっていい?」
 湯気を上げる焼き菓子に目を輝かせて声を掛けると、同じく目を輝かせていた鶴丸が振り返る。
 「お、最後の藤四郎か。
 ウズラと交換された奴じゃないんだよな」
 「・・・うるさい、食材!」
 仕込まれた金串ごと切ってやろうかと睨みつけると、意外と大きな手で頭を掴まれた。
 「・・・誰が食材だ誰が。
 だったら陵丸と呼ばれていた頃に戻って、お前を墓に埋めてやろうか?」
 「いーたーいー!!いたいー!!はなせー!!!!」
 じたじたと暴れながら泣き声をあげる包丁から、光忠が鶴丸の手を引き剥がす。
 「鶴さん、大人げないよ?」
 「そうそう、もしかしたら厨房の役に立つかもだしさ!
 お前、料理できんの?」
 笑いかけてきた貞宗に、包丁は頭をさすりながら首を振った。
 「包丁だからって料理できるなんて、安直だよ!」
 生まれてから聞き飽きるほど言われた、と不満げな彼に貞宗が笑い出す。
 「あー!わかるわかる!
 俺も、名前だけで騒がし賑やかな奴なんて思われてさー!
 普段の俺は物静かで知的な男なのに!」
 「どの口が・・・・・・」
 あまりに現実とかけ離れた言い分に、大倶利伽羅が呆れた。
 「伽羅ちゃんは物静かと言うより、無口だけどね」
 くすくすと笑いながら、光忠は焼きあがったばかりの菓子を包丁へ差し出す。
 「エッグタルトっていうんだ。
 まだ熱いから気を付けてね」
 「光坊、俺には茶もくれ」
 既に頬張っていた鶴丸に、光忠は思わず苦笑した。
 「はいはい。
 包丁君もお茶でいいかな?」
 見下ろすと、ふっくらとした頬を真っ赤に染めた包丁が目を潤ませている。
 「なにこれ、すっごくおいしい!!
 もういっこ食べていい?!」
 「どうぞ、好きなだけおあがり」
 嬉しげに笑った光忠が、大きな手で頭を撫でてやると、包丁はじっと彼を見上げた。
 「なにかな?
 ・・・あぁ、お茶か」
 踵を返した光忠の裾を、包丁が掴む。
 「燭台切さんを略奪するのもいいな!」
 「・・・え?」
 唖然とする光忠とは逆に、不穏な気配を察した鶴丸と貞宗の目が吊り上った。
 「なんだどういうことだ、おい?」
 「みっちゃんをどうしようだって、ちび?」
 鶴丸に再び頭を掴まれた上、貞宗に胸倉を掴まれて、包丁が哀れな泣き声をあげる。
 「たすけてー!食材とちびがいぢめるよぅ!!」
 「まだ言うか!!」
 「こらこら!
 鶴さんも貞ちゃんも、ちっさい子いじめちゃダメでしょ!」
 止めに入ろうとした光忠の腕を、大倶利伽羅が掴んで引き寄せた。
 「伽羅ちゃん?」
 「光忠は・・・やらない」
 恥ずかしげに目を逸らし、低く呟いた大倶利伽羅に、光忠も思わず頬を染める。
 「伽羅ちゃん・・・っ!」
 「よく言った、伽羅坊!」
 「そーだそーだ!
 みっちゃんは俺たちのもんだ!!」
 「ぎゃああああんっ!!」
 意外な握力で頭を締め付けられた包丁が本気の悲鳴を上げた。
 「・・・いや、だからってちっさい子をいじめちゃダメだってば!」
 「包丁くんっ?!」
 厨房の外にまで聞こえた泣き声を聞きつけて、五虎退が駆け込んでくる。
 「あ・・・あの、えっと・・・!ごめんなさいっ!!」
 「なんで五虎退が謝るんだよ!」
 「そうだ、俺がムカついているのはこの小僧にだぞ!」
 気弱な態度が許せないとばかり、睨みつけてくる貞宗と包丁を泣かせる鶴丸に怯えた五虎退が口ごもった。
 「ちょっと二人とも!
 五虎退くんまで泣かせない!」
 鶴丸と貞宗の腕を掴んで引き剥がした光忠は、泣きじゃくる包丁と怯える五虎退の頭を撫でてやる。
 「ごめんね。
 うちの子達、怒ると酷いけど、悪い子じゃないから、怖がらないで仲良くしてね」
 大きな手の下から包丁が鶴丸と貞宗を見やると、思いっきり睨まれた。
 「そこ!威嚇しない!」
 叱声には舌を出して応える二人に光忠がため息をつく。
 「えーっと・・・そうだ!
 これ、みんなでお食べ」
 エッグタルトを盛った皿を二人に渡し、背を押すと二人は逃げるように厨房を出て行った。
 「・・・まったくもう」
 呆れ顔で振り返った光忠は、まだ舌を出している鶴丸と貞宗に肩をすくめる。
 「みんなと仲良くしようね、って言ったのに!」
 「あれは例外だ!
 人を食材呼ばわりしやがって、無礼な小僧が!」
 「みっちゃんにちょっかい出そうなんて、千年早い!」
 「やれやれ・・・」
 大倶利伽羅にまで、縋るように腕を掴まれた光忠は、深々とため息をついた。


 「なんだよなんだよっ!
 お菓子なんかで許してやんないんだからっ!」
 食べるけど、と、頬を膨らませて回廊を戻る包丁の半歩後ろを、五虎退は泣きそうな顔でついて行く。
 ややして、付き従う虎に背を押された五虎退は必死に声をあげた。
 「あの・・・包丁くん・・・・・・」
 消え入りそうな声が、彼の歩を止める。
 「ご・・・ごめんね。
 さっき・・・増田くんにきてほしかったなんていって・・・。
 あれは・・・包丁くんにきてほしくなかったってことじゃないよ・・・?」
 「・・・しってるよ、ごこちゃんに悪気がないってことくらい」
 その言葉に少しほっとして、五虎退は包丁の隣に並んだ。
 「あるじさまだって・・・きっと包丁くんのこと、きらいじゃないとおもう・・・」
 「当たり前じゃん!こんなに可愛いんだから、俺!」
 自信満々の言葉に、五虎退は頷く。
 「ぼくもそうおもう」
 あまりに素直に返されて、さすがの包丁があっけにとられた。
 「どうかした?」
 小首を傾げる五虎退に、慌てて首を振る。
 「いや・・・ごこちゃんもかわいいよ!」
 「ありがとう・・・v
 あれっ?!わっ!!」
 不意に足元を何かが駆け抜けて行き、五虎退は手にした皿を落としそうになった。
 「あぶない!」
 転びそうになった彼を、虎ともう一人の手が、両側から支える。
 「あ・・・ありがとうございます」
 なんとか皿を持ち直し、ほっとした五虎退は、自分を支えてくれる大太刀を見上げた。
 「石切丸さま、おかえりなさい」
 「あぁ今、出雲から帰ってきたよ。
 ―――― こら!戻ってきなさい!」
 回廊の先へと声を掛けると、先ほど五虎退の足元を駆け抜けて行ったものが駆け戻り、石切丸の腕へ飛び込む。
 「うさぎですか?!」
 かわいい!と、歓声を上げる五虎退に石切丸は微笑んだ。
 「小さき子が多いのなら連れて帰るといいって、大国主からいただいたのだけど。
 お世話できるかい?」
 石切丸の腕に抱かれる白兎を見上げた五虎退は、嬉しげに頷く。
 「あの・・・おおくにぬし、って・・・かみさまのですか?
 お知りあいなんですか?」
 「私も一応、神だからね」
 くすくすと笑って、石切丸は大きな獣にも怯えない兎を五虎退の虎に預けた。
 早速じゃれ合う二匹を嬉しそうに見ていた五虎退が、ふと顔を上げる。
 「石切丸さま・・・。
 かみさまたちって、毎年出雲にあつまって、なにをおはなししてるんですか?」
 難しいことだろうかと、首を傾げる五虎退に石切丸は微笑んだ。
 「いつもは縁結びの話だね。
 だけど今年はちょっと別の話題でも盛り上がったよ。
 神によって意見が違うから、そりゃあもう大激論で・・・おや、新しい子かな?」
 てっきり見知った短刀の一人だと思っていたが、初めて見る顔だ。
 もりもりと皿の上の菓子を食べていた包丁は、こくりと頷いた。
 「俺、包丁藤四郎っていうの。よろしくー」
 「あぁ、よろしくね。
 お土産があるのだけど、食べるかい?」
 石切丸自身が大国主であったかのように、傍らに置いていた大きな袋を指すと、包丁は嬉しげに頷く。
 「うんっ!
 おれ、お菓子と人妻が好きなんだv
 「・・・・・・は?」
 なにかの聞き間違いだろうかと問い返した石切丸に、包丁は得意げに胸を張った。
 「お菓子と、人妻!
 お菓子はおいしいし、人妻は優しいし、構ってくれてる時には旦那にドヤァってできるし、最高だよね!ひゃっ?!」
 大きな手で頭を掴まれた包丁は、つい先ほどの苦痛を思い出して蒼褪める。
 恐々と見上げた先では、石切丸が笑顔を引き攣らせていた。
 「・・・今年、最も深刻だった議題はね、巷間に不倫が蔓延していることだよ。
 私達が侃侃諤諤の協議をして、せっかく結んだ縁をなんだと思っているんだろうね・・・?」
 大太刀にふさわしい握力で、ぎりぎりと締め上げられた包丁が悲鳴を上げる。
 「いっ・・・石切丸さまっ・・・!あのっ・・・!」
 五虎退の震え声を、石切丸はあえて無視した。
 「多くの反対意見もあったけれど、私の結論はね・・・本人含め、私達が結んだ縁を台無しにする輩は許さない!
 神罰を降すべきだね!!」
 「ぎゃああああああああんっ!」
 本丸中に響き渡るような大声に、厨房からも何事かと出てくる。
 が、状況を見て事態を察した鶴丸と貞宗は、嬉しげに手を打ち合わせた。
 「いいぞ、石切丸っ!」
 「カッコいーい!」
 「あぁ・・・もう!」
 あちこちで騒ぎを起こす新人に、光忠が頭を抱える。
 「一期さん・・・早く戻って来ないかな・・・!」
 自分では手に余ると、光忠はまたもため息をついた。


 「そうか・・・石切丸殿に止められてしまったのか」
 遠征から戻った一期一振は、まだしょげている包丁と、怯える五虎退から事情を聞いて、残念そうに肩をすくめた。
 「もっと貶めてやりたかったのだけど」
 誰を、とは言わないが、そのくらいは聞かなくてもわかる。
 「いち兄・・・ほんと性格悪い・・・・・・」
 「むしろ清々しいよね!」
 骨喰の隣で、鯰尾が大きく頷いた。
 「やっぱり、この本丸を掌握しようと思う以上は、邪魔な勢力を殺いでおかないと!」
 「邪魔って・・・俺も包丁も一応、徳川方なんだけど」
 呆れる後藤の耳を、鯰尾は笑顔で引っ張る。
 「それ以前に、お前は藤四郎。いいね?」
 「痛っ!!鯰尾兄、やめろっ!!」
 「わかったって言うまで放してあげなーいv
 「わかった!
 わかったからっ!!」
 ようやく解放された後藤が、涙目で耳をさすった。
 「容赦なさすぎ・・・!」
 「裏切ったら許さないよv
 その言葉には、骨喰も無言で頷く。
 「俺は裏切らないけど・・・」
 気まずげに、後藤は部屋の外を見遣った。
 「本丸の中で変な争いは止めたいな、って奴はいると思う・・・」
 「今頃、御座所かな」
 ここにはいない弟に思い至って、一期一振はくすりと笑う。
 「包丁、五虎退もこちらへおいで。
 怖かったね、よしよし・・・よくがんばったね」
 吹き寄せる秋風の冷たさから守るように、一期一振は悄然とした弟達を抱きしめてやった。


 その頃、
 「・・・馬鹿大将め、もう知るか!」
 据え付けられたばかりの襖を乱暴に閉めると、外で待っていた小狐丸が苦笑して小首を傾げた。
 「薬研殿・・・。
 歌仙殿の自信作をそのようにぞんざいに扱われては、叱られまするぞ」
 「あんたにも言いたいことがあるぞ、小狐丸!」
 吊り上がった目でぎりっと睨んだ薬研は、寝所の中にまで聞こえるように声を張り上げる。
 「大将が季節の変わり目に寝込むのはいつものことだろ!
 不摂生が原因なんだから、たまには説教の一つでもして、規則正しい生活をさせろよ!」
 それが一番の薬だと言う薬研に、小狐丸は微笑んだ。
 「お小言は歌仙殿のお役目。
 私はただひたすら、ぬしさまを甘やかしておりますよ」
 開き直りとも取れる言い分に、薬研はぎゅっと眉根を寄せる。
 「自分さえ可愛がってもらえれば、大将の体調なんざ知ったこっちゃねぇってか!自己中か!」
 「おや、とんでもない。
 私はぬしさまがお心安らかでいられますよう、尽くしているだけでございまする」
 言いがかりだと笑う小狐丸に、薬研は舌打ちした。
 「・・・ぬしさまはやはり、お止めにはなりませんでしたでしょう?」
 薬研の怒りは、主の体調のことだけではない。
 処罰覚悟で、兄がこの本丸を掌握しようとしている事を話したのに、あっさりと笑い飛ばしたのだ。
 「・・・そんなことはとっくに知っている。一期にはぜひ頑張ってほしい、だとさ!」
 かつて天下人だった太閤の愛刀が、粟田口と言う一大勢力を手に入れた。
 そんな状況で、本丸支配に乗り出すなと言う方が無理だ。
 ならば好きなようにやらせて、この本丸でどのように支配者が変わっていくのか、推移を見守りたい、と・・・。
 その上で、煽るように言われたのだ。
 「織田は参戦しないのか、だとよ・・・!」
 一期一振のような、旗印となる者が織田側にいないことを知っていながら、よくも言えたものだと歯噛みする。
 「旗印ですか・・・。
 徳川方も、物吉殿では少々力不足のように思われますねぇ」
 だからこそ、一期一振も今のうちに勢力を広げようとしているのだろうと、小狐丸は楽しげに微笑んだ。
 「なんとも、ぬしさまがお喜びになりそうな余興でございますな。
 このまま一期殿が勢力を確定されるか、徳川方が台頭するか、あるいは別の勢力が現れるのか。
 誰がどこに取り込まれるのか、今は楽しんでおられる最中でございましょう」
 「・・・それを三条は高みの見物、ってか。公家衆め」
 忌々しげに薬研が呟く。
 と、
 「おじゃましまーす!」
 のんきな声を上げて御座所へ入って来た今剣が、そのまま寝所へと飛び込んだ。
 「あーるじーさまv
 石切丸さまが、いずもからうさぎをもらってきたんですよ!
 かってもいいでしょう?ねぇ?」
 他愛のない話を振りながら、肩ごしにちらりと薬研を見遣る視線に舌打ちする。
 「・・・源氏の守り刀が、かむろの真似事か」
 かつて平氏が都に放ったと言う、少年スパイの姿を重ねた薬研の背を、小狐丸がそっと押した。
 「お薬をありがとうございました、薬研殿。
 あとは私にお任せください」
 「甘やかすって断言した奴に任せていいもんかね」
 鼻を鳴らして、薬研は肩ごしに寝所を見遣る。
 「せめて、薬だけはちゃんと飲めよ、大将!」
 憤然と御座所を後にした薬研は、ややして背後から響いて来た悲鳴に、ざまぁみろと舌を出した。




 了




 










刀剣SSその12です。
どんどんどす黒くなっていく我が本丸(笑)
せっかく、春に大掃除したのにね(笑)>春の夜の夢
いやしかし、いち兄に野望を持つなって言う方が気の毒じゃありません?>おいww
あの笑顔は、人を誑しこんで天下を取った、前の主の影響だと思っていますよ。
ちなみにこのSS、せっかく藤四郎が揃ったので書いた、というのもあるんですが、そもそものきっかけは石切丸遠征の際に、『神無月でもないのに、家を空けるというのは不思議な感じだね』って言われて、『今は神無月ですよ、石切丸』って答えたことでした(笑)
『そうだ、出雲に行ってるんじゃん、今月』と思って、じゃあご帰還のシーンでも書きますか、ついでに仲良し天下五剣と、食材呼ばわりされて本気でおこの鶴と、そろそろ台頭して欲しい徳川の守り刀も書きますか、って話に(笑)
ソハヤが来たことで、物吉くんが旗印になれるのか、別の徳川刀が来るのか、私としても今後の展開が楽しみ(笑)
鬼丸が来れば粟田口の状況が変わるかもしれないし、大包平が来ることで古備前がちょっかい出してくるかもしれないし、天下五剣が刀派を越えてつるむかもしれないし、どう推移していくのか、ものっすごくワクワクしています(笑)
・・・歌仙にバレたらアウトなので、めっちゃドキドキしています(笑)←













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