「思ったより、寒くなくてよかったである」
にこにこと笑いながら、クロウリーは、防寒用の布を被せたバラの木々に異常はないか、見回っていた。
と、
「あ!クロちゃん見っけ!!」
「おはよーございまーす!」
甲高い声を上げつつ、走ってきた少年達に、クロウリーはニコリと笑いつつも、バラの木々を背後にかばう。
「そのまま突っ込んできたら、崖下に捨てるであるよ、二人とも?」
「ごめんなさいっ!」
慌てて急停止した二人に、クロウリーは笑みを苦笑に変えた。
「どうしたであるか、二人とも・・・あぁ、リナリーも」
二人の後ろに、リナリーの姿を見つけて、クロウリーが首を傾げる。
「えへへ。だってここ、滅多に人が来ないから」
「そう!まだ誰も踏んでないとこを・・・見っけ!!」
「あ!ラビずるい!!」
「早いもん勝ち!!」
奇声を上げつつ、ラビが未踏の地に飛び込み、両手両脚をばたつかせた。
「雪の妖精〜〜〜〜!!!!」
「僕が一番にやろうと思ってたのに!!」
不満げに言いつつも、アレンもまっさらな雪の上に飛び込み、同じ形を描く。
「・・・・・・子供であるな」
ハハ・・・と、呆れた笑声を上げつつ、クロウリーは傍らのリナリーを見下ろした。
「その点、リナリーはさすがにレディ・・・」
誉めようとした、その視線の先で、リナリーは眉を吊り上げ、雪玉をこねている。
「ずるい、二人とも!
私が一番に雪の妖精を作ろうと思ってたのに!!」
言うや、リナリーは、未だに雪の上に寝転がっている少年達に、次々と雪玉をぶつけた。
「でっ?!」
「なにすんさっ!」
「こんなことなら、ブーツを発動して、追い越して来ればよかったわ!」
「・・・・・・・・・」
真剣に怒っているらしいリナリーの、怒りの理由に呆れ果て、クロウリーはもう、何も言えなかった。
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