「・・・酷いさ、ジェリー姐さん!」
大きなコブができた頭を撫でながら、電飾を飾り終えたラビは、脚立を片付けた。
「お腹すいたんなら、ちゃんと注文しなさい!つまみ食いは許さないわよっ!」
厨房から大声で叱られて、ラビが亀のように首をすくめる。
「食堂の飾りつけは終わったし、昼食にしませんか?」
と、アレンの提案を聞く間もなく、
「天蕎麦一枚!」
神田は、既に厨房に声を掛けていた。
「希望のてんぷらはー?」
「蓮根、獅子唐、茄子、南瓜」
「アンタねー!たんぱく質も取りなさいって、いっつも言ってるでしょぉー?!
海老入れとくから!ちゃんと食べるのよ!」
「ちっ・・・」
問答無用で皿に載せられた海老に舌打ちしながら、蕎麦が茹で上がるのを待つ神田の隣で、
「じゃあ僕はー・・・」
と、アレンも声を掛ける。
「カキフライとナシゴレン、焼きニシンとジャーマンポテト、グリーンカレーはナンでもらって、小龍包とボルシチ、ローストビーフ・・・」
「・・・お前、毎回毎回、よくそんなにメニューが浮かんでくんな」
次々と出て来る料理の名前に、ラビが思わず感嘆の声を上げた。
「――――・・・デザートにみたらし団子!
その時に食べたいものを言ってるだけだよ?」
「だろうけど、1日3食、1回平均15種類のメニューを注文してんじゃん?
そんだけで45種類あんのに、その上、アフタヌーンティーの茶請けの種類とか、夜食まで注文してんさ?
俺、お前みたいに高燃費でワガママな注文する奴をさばくシェフ達を、マジ尊敬するさ」
「そのうち、毒を盛られるかもな」
「盛らないわよっ!!」
神田の皮肉に、だんっ!と、皿の底をカウンターに叩きつけ、ジェリーが怒鳴る。
「ジェリーさん・・・僕・・・・・・!」
「アレンちゃんも!神田の言うことなんか信じないの!」
涙目になったアレンに、ジェリーは眉をひそめた。
「で?ラビはなにを食べるの?」
「・・・・・・俺のことを気にかけてくれんのは、もう、姐さんだけさ・・・!」
アレンとは別の意味で、目に涙を浮かべつつ、ラビが言うと、アレンは、フルフルと首を振る。
「そんなことないですよ、ラビ!
僕も、気にかけてあげてます!」
「お前が気にかけてんのは、俺の注文するもんだろっ!!」
期待に満ちた視線を送るアレンに、忌々しく言うと、ラビは、自身の皿を狙うアレンを邪険に追い払った。
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