三人が、ようやく全ての電飾を飾り終えた頃には、既に日が暮れかかっていた。
「コムイさーん!電飾の飾りつけ、終わりましたよー!」
「いっくらなんでも、もう、電飾の在庫ねぇさ?!」
「・・・・・・まだあったらブチ斬ってやる」
城中を歩き回って、大量の電飾を飾り付けてきた少年達は、さすがに疲れたのか、それぞれにうんざりとした声を上げ、談話室に入って行った。
が、そこにはもう、コムイの姿はなく、リナリーとミランダが、二人で楽しそうにクリスマス・ツリーの飾り付けをしている。
「アレ?リーバーもどっかいっちまったんさ?」
ラビの問いに、振り返ったミランダが頷いた。
「急なお仕事が入って、二人とも、科学班に帰ってしまったの」
「ね?あなたたちもツリーの飾り付けしない?」
リナリーが誘うと、
「やるっ!!俺、てっぺんの星飾るー!!」
ラビが、はしゃいだ声を上げ、脚立を持ってツリーに駆けていく。
そのラビに、
「あっ!ラビ、またずるい!!」
アレンは、抗議の声を上げて追いかけていった。
「なんでいっつも、そうやって抜け駆けばっかするんですかっ!!」
「ばーか!こんなんは、早いもん勝ちって、決まってんさ!」
「もー!ケンカしないの、あなた達!!」
キャンキャンと、甲高い声を上げて脚立を取り合う二人の間に、リナリーが仲裁に入る。
が、彼女とは逆に、神田は、ケンカ中の二人へ、忌々しげに舌打ちした。
「あら・・・?神田君、あなたはやらないの?」
黙って踵を返した神田に、ミランダが何気なく問うと、過剰に尖った視線が返る。
「ひっ・・・!」
その、あまりの凶悪さに震え上がり、引きつった悲鳴を上げた彼女に、神田は
「俺は、クリスチャンじゃねぇっつってんだろ!」
と吐き捨て、部屋を出て行ってしまった。
「・・・相変わらず、付き合い悪いですねぇ」
神田の態度に、星の争奪を諦めたアレンが軽く吐息し、杖型のキャンディーにリボンを結わえながら言う。
彼の凶眼にも怯えていないらしいアレンに、しかし、ミランダは、怯えた視線を返した。
「神田君、クリスチャンじゃないって・・・・・・あれって、プロテスタントだってわけでもないみたいだけど・・・?」
既にリボンを結わえたジンジャークッキーを、ティムキャンピーに渡しつつ、ミランダが問うと、
「うん。ユウは仏教徒さ・・・多分」
自信なげに、ラビが頷く。
途端、ミランダは、部屋中に響くような悲鳴を上げた。
「そ・・・そんな!大変だわ、神田君!
異教徒は地獄に堕ちてしまうんでしょう?!」
「・・・・・・・・・・・・は?」
ミランダの絶叫に驚いた少年少女は、一様に手を止め、目と口を丸くする。
「は?って・・・!教会でちゃんと、教わってないの、あなた達?!」
「・・・・・・ミランダ、教会は今時、そんなことを教えたりしないわ・・・?」
「まぁ!!これだから、英国は!」
リナリーの返答に、真面目なドイツ人であるミランダは、憤然と立ち上がった。
「いい?!正しい行いをしない者や、正しい信仰を持たない者は、地獄に落ちるのよ?!
神様は、常に私たちの行いを見ていらっしゃるのだから!」
常ならず、烈しい口調で断言したミランダに、アレンもリナリーも、気を呑まれて口をつぐむ。
「まぁ・・・ユウは、神も仏も信じてなさそうだけど・・・」
ラビの言葉に、心中、深く頷いた二人の間で、なぜか、ティムキャンピーだけが、ミランダに同意するかのように、身体を前後に揺らしていた。
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