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† Angels we have heard on high †
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アレンがツリーの飾り付けを終え、部屋に戻ると、相変わらずそこは、極寒の地だった。
「この寒さ・・・何とかならないわけ?」
乾いた笑みを浮かべつつ、アレンは、雪に濡れて、未だ生乾きのコートを脱ぎ捨てた。
クリスマス・ミサの参加者は、正装が義務付けられている。
エクソシストのアレンにとって、団服こそが正装と言えるが、さすがに雪に濡れたまま行くわけにも行かない―――― と言うより、濡れた団服のままで、寒い礼拝堂にこもれば、確実に風邪を引く。
「夏は涼しくて、過しやすいんだけどねぇ」
ブツブツと言いながら、アレンは手早く着替え、ティムキャンピーが運んできたリボンタイを結んだ。
「はい、完了〜♪行くよ、ティム!」
身なりを整え、部屋を出たアレンは、長い廊下を礼拝堂へと向かう。
いつもは薄暗い、石造りの廊下だが、今日は、自身らが飾った電飾で明るく照らされ、違う城にいるようだ。
「歌いだしたくなるような気分だね♪」
アレンが、弾んだ声を出すと、廊下の向こうから、きれいな歌声が響いてくる。
「・・・Angels we have heard on high♪ Sweetly
singing o'er the plains♪」
その声は細いながらも、石造りの廊下に幾重にも響いて、ハーモニーのようだ。
アレンはにこりと笑うと、立ち止まり、同じ歌を違う曲調で歌いだした。
「And the mountains in reply♪ Echo back
their joyous strains♪」
主旋律に比べ、単調で面白みのない副旋律は、廊下の交じり合う場所で同調し、見事なハーモニーを奏でる。
と、アレンの声に気づいたらしい相手も、囁きのようだった声をやや大きくした。
「Glo-・・・o-o-o-・・・o-o-o・・・o-o-o・・・ria」
歩み寄ってくる歌声に、アレンも再び歩を進める。
「Glo-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-・・・ria」
高く、長く、その代わり単調に変わった主旋律とは逆に、副旋律はあくまで低く、しかし、複雑に高下する。
「in excelsis Deo♪」
ぴたりと合った声に、思わず笑みがこぼれた。
「Glo-・・・o-o-o-・・・o-o-o・・・o-o-o・・・ria」
「Glo-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-o-・・・ria」
長い廊下の曲がり角で、声は再び合わさる。
「in excelsis De・・・e・・・o♪」
歌の終わりと同時に、曲がり角の向こうから現れた少女に、アレンはにっこりと微笑んだ。
「メリークリスマス、リナリー」
「メリークリスマス、アレン君。
ねぇ、エスコートして?」
「喜んで」
リナリーに腕を差し出すと、彼女は笑ってアレンの腕に手を絡めた。
「ふふ・・・!エスコートしてもらうのって、初めて!」
嬉しげに弾む声を上げる彼女に、アレンは笑みを深める。
「へぇ・・・意外だね。リナリーなら、みんながエスコートしたがるでしょうに」
言ってしまって、はた、と、アレンは目をしばたたかせた。
「あー・・・リナリーには、強力なガーディアンがいますもんね・・・・・・」
見られてないかな、と、不安げに周りを見回したアレンの腕を、リナリーは、導くように引く。
「大丈夫よ。兄さんは、科学班から礼拝堂へ直行だから」
「・・・・・・ホントに、遭わない・・・?」
「大丈夫!」
ドキドキと、鼓動を早くしながら問うアレンに微笑みかけて、リナリーは再び彼の腕を引いた。
「私から『お願い』したんだもの。兄さんに、報復はさせないわ!」
――――・・・リナリーが見てないところでやるんですよ、あの人は・・・。
アレンは、心中に呟いたが・・・きれいに着飾ったリナリーをエスコートできる幸運に、今は、後の不幸を忘れることにする。
「では改めて・・・・・・ミス・リナリー・リー、お供させて頂きます」
「よろしくてよ、ミスター・ウォーカー」
気取って一礼したアレンに、リナリーも鷹揚に頷いてみせ、二人は仲良く並んで歩き出した。
そんな二人を、廊下の角からそっと見送って・・・ラビは、額の汗を拭う。
「やっべぇー・・・!危うく、通りかかって辻斬りに遭うとこだったさ!」
アレンの腹黒さをよく知るラビは、そのままじっとして、二人が立ち去るのを待った。
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| 日本語訳詞 |
あらののはてに 夕日は落ちて たえなるしらべ あめより響く
グローリア インエクセルシスデオ グローリア インエクセルシスデオ |
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