「・・・・・・辛気臭いさ・・・・・・」
ポツリと、傍らで呟いたラビに、アレンも微かに頷いて同意した。
「クリスマスパーティのはずなんだけどね・・・」
「オヤジどもの話が長ぇのは、いつものことだろ」
神田の毒舌には、苦笑を返す。
決して、仲がいいとは言えない彼にも同意したくなるほど、パーティ開始前のスピーチは長かった。
しかも、さすがに創設以来100年の歴史を誇る、ヴァチカン直属の機関だけに、『偉い人』の数は多く、その話は全く面白みがなかった。
既に飽きてしまい、騒ぎ出しそうな子供達が別室に連行されていたが、正直、その仲間に加わりたいと、願わずにいられない。
「・・・あと、何人ですか?」
お腹すいたよぅ・・・と、ご馳走の並ぶテーブルに、切ない視線を送りながら問うと、ラビが、乾杯用のグラスに口をつけながら指折り数えた。
「このおっさんの後に、5人待機してっさ」
「そんなに?!」
声を潜めつつも、悲鳴を上げたアレンに、ラビはこっそりと、自分のグラスにシャンパンを注ぎ足しながら頷く。
「一人平均5分としても、あと25分は俺ら、立ちっぱなしで拝聴しなきゃダメって事」
「えぇー・・・!!」
絶望的な声を上げたアレンの傍らで、神田も忌々しげに舌打ちした。
「めんどくせぇ・・・!
今年も、任務に行っておくべきだったぜ」
「そりゃ、しかたねぇさ。今回は任務がなかったんだろ?」
言いつつ、ラビは既に空になっていた神田のグラスにも、シャンパンを注ぎ足してやった。
「ラビ、僕も!」
「お前はダメさ、この大トラ」
コムイの誕生会での、アレンのとんでもない酒乱振りを思い出しつつ、ラビはジュースを注いでやる。
「ところでお前ら・・・協力するよな?」
にっ、と、いたずらっぽく笑ったラビの思惑を察して、神田とアレンは、わずかにグラスを掲げて同意した。
そして二人は、さりげなくラビの姿を周りの目から隠すように立つ。
「・・・オッケ♪」
ラビの陽気な囁きに頷き、神田とアレンは、周りの目を盗んで、素早くテーブルクロスで覆われた長テーブルの下に潜り込んだ。
「やってられっかってぇの!」
自分に続いて潜り込んできた二人に、ラビが笑ってグラスを差し出す。
「全くだ」
「お腹すきましたもんね」
そう言って共謀者達は、こっそりと、グラスを打ち交わした。
「乾杯♪」
「今年一年、お疲れ様でした」
「まだ終わってねぇだろ」
クスクスと、笑い交わしながら、ラビが持ち込んだ大皿を囲んでいると、少し離れた場所のテーブルクロスがめくれ、素早く何人かが潜り込んでくる。
「ありゃ、先客がいたか」
苦笑交じりの声に、三人はグラスを掲げる。
「メリークリスマス!」
「そっちもな!」
密やかに囁き交わしていると、また、新たなグループが潜り込み・・・本当の乾杯が始まる頃には、かなりの人数が、陽気に出来上がっていた。
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