「ねぇ!さっき、どこ行ってたの?!」
クリスマスパーティの開始と共に、アレン達の元に駆け寄ってきたリナリーに、三人はそれぞれ、口元に笑みを乗せた。
「どこにも行ってないさ」
「ちゃんと、この部屋にいたぜ?」
意地の悪い笑みを浮かべるラビと神田に、リナリーは眉を吊り上げる。
「ウソ!スピーチの間中、いなかったじゃない!」
答えなさい、と、詰め寄る彼女に、いち早く降参したアレンが、苦笑した。
「ごめんなさい、リナリー。テーブルの下で、先に乾杯してました」
「えー!ずるい!」
なんで仲間はずれにするの!と、烈しく詰め寄られ、アレンが慌てて言い訳する。
「だって・・・!リナリー、コムイさんと一緒にいたから、誘えなかったんですよぅ・・・!!」
「なによ!男の子だけで先に楽しんでたなんて!」
憤った声を上げて、リナリーが三人に、無理やりグラスを持たせた。
「私も!乾杯するの!!」
ぷぅ、と、頬を膨らませたリナリーのグラスに、三人がグラスを当てて鳴らす。
「よし!」
にこ、と、満足げに頷いたリナリーに、アレンが思わず吹き出した。
「そんなに乾杯したかったんですか?」
「そうよ。私だけ仲間はずれなんて、哀しいもの」
「仲間はずれなんか、してませんってば」
そう言ったアレンの隣で、ラビが神田に、何事か囁く。
と、神田も頷き、二人でどこかに行ってしまった。
「ね?あーゆうのって、すごくカンジ悪いでしょ?」
「確かに・・・」
憤然とした口調のリナリーに、アレンは苦笑を返す。
「どこ行ったのかな?」
大勢の人で賑わう室内には、既に二人の姿はない。
「多分、談話室よ。
騒ぎ出しそうな子供達が連れて行かれるのもそこなの。
ラビ達、大人に長々とお説教されるのが嫌いだから、毎年そこに逃げるもの」
「そうなんだ・・・」
呟いたアレンの目に、いかにも説教好きそうな、聖職者達の姿が映った。
「え・・・?まさか・・・!」
ふと目が合った聖職者の一人が、近づいてくる様に、思わず眉をひそめたアレンの手を、リナリーが取る。
「私たちも逃げましょ!」
「はい!」
くるりと踵を返し、談笑する人々を掻き分けて、食堂を出た二人は、同時に振り返り・・・追跡者がいないことを確認して、思わず吹き出した。
「脱出成功!」
「やったわね!」
互いの手を打ち合わせると、駆け足を歩みに代えて、二人は談話室に向う。
が、子供たちの声で賑やかだろうと思っていたそこは、妙に静かだった。
「あれ?この部屋ですよね?」
不思議に思いつつも、ドアを開けたアレンが、明かりの消えた室内に目を凝らす。
途端、パァンッと、四方八方から破裂音が響いた。
「わぁっ?!」
アレンが驚いて飛びのくと、一斉に部屋の明かりが灯される。
「アレン、ハッピー・バースデー!」
びっくりして見やると、ラビが、クラッカーを持って笑っていた。
「ラ・・・ラビ・・・!神田も・・・!」
サプライズ・パーティに、アレンが呆然と立ちすくんでいると、子供達がわらわらと寄って来て、アレンを室内に引っ張り込む。
「ねぇねぇ、アレン、驚いた?」
「今日が誕生日って、ホント?!」
「ジーザスと同じ誕生日って、すごいねぇ!」
子供たちに囲まれたアレンは、はっとして、背後のリナリーを振り返った。
と、案の定、彼女もしてやったり、と言わんばかりの、いたずらっぽい笑みを浮かべている。
「ヤラレタ・・・!」
クスクスと、嬉しげな笑声を上げて、アレンは、ラビが掲げた手に、強く手を叩きつけた。
「つまんねーパーティなんかやめて、こっちはこっちで楽しくやろうぜ!」
赤くなった手を振りつつ、言ったラビに、アレンは、未だ納まらない笑声を上げつつ、頷いた。
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